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#13 T1 vs. JDG | WORLDS 22 | SEMIFINALS 振り返り

はじめに

T1 vs. JDG | WORLDS 22 | SEMIFINALSが行われ、T1が見事決勝に進出した。
T1はJDGに対する対策を完璧に用意しており、JDGは自分たちの得意な形をほとんど行うことができなかった。
今回はT1のJDG対策がどのようなものだったのか振り返ってみる。

Game1

B/P

T1はFirst PickでナミをPIckし、Botレーンの主導権を握る。それに対してJDGはアフェリオスルルで対抗する。ここまでの試合でもJDGはルシアンナミに対してアフェリオスルルをPickしており、レーンでも十分に戦えるマッチアップになっている。その後、JDGはタリアジャックス、T1はガリオカミールをピックする。T1としてはヴァイカミールのエンゲージにガリオまでを合わせたオールイン構成。JDGはオールインに対して強力なタリアルルをピック出来ており、アフェリオスにオールインされてもジャックスやヴィエゴが動きやすくなるので、構成ではJDGが少し有利を握ったように見える。

インゲーム

T1は瞬時の判断でアフェリオスに入っていき、アフェリオスを倒すことに成功するがJDGはヴィエゴやジャックスといったチャンピオンがフリーになったりその逆にアフェリオスがフリーになるなど、集団戦でJDGが上回り、Game1に勝利する。やはりレーンを終えてからの影響力ではアフェリオスのほうが高く、集団戦ではJDGのほうが有利に立ち回ることができた。

Game2

B/P

Game2でT1はKanaviのヴィエゴをバンする。First Pickでナミルシアンを優先したので、JDGとしてもアフェリオスルルのGame1と同じで問題がなかった。
しかし、ここでT1はサイラスに対してカウンターであるライズをピックする。2ndフェーズでJDGはヴェルヴェスをピックし、JGでの主導権を握る。JDGはZeusのヨネを見てマルファイトで耐える選択にしてTOPサイドゲームから集団戦構成に切り替える。T1はライズとヨネのスプリットプッシュを活かす構成なのに対して、JDGは集団戦を意識した構成となった。

インゲーム

JDGはヴェルヴェスの序盤の強さを活かしてヘラルドを獲得し、有利を広げることに成功。レーンスワップも成功し、そのままアフェリオスにタワーゴールドを集めるかと思われたが、Kanaviはヨネを狙うことを選択する。
試合時間10分のタイミング

BOTサイドの2v2でT1がカウンターを決める

Kanaviのガンクをあらかじめ予想していたOnerがカウンターガンクを決めて369のマルファイトを返り討ちにする。更に後から来たサイラスも無理なダイブをして倒されてしまい、T1が2-0交換に成功する。JDGとしてはTOPのマルファイトは放置してもよかったが、ここでのダイブが成功していれば大きく有利を取れたので難しい判断だっただろう。しかし、ここは無理をせずに構成通りBotレーナーからのゲームメイクをしてほしかったところでもあった。
その後、Botに戻ってきたアフェリオスにヘラルドを出すが、1テンポ遅れたことでタワーを折りきることができなかった上に、2ndヘラルドに向けた準備が間に合わなくなってしまう。ここで大きくゲームのテンポを失ったJDGは、T1のヘラルドを絡めた動きに対応する必要があった。しかし、JDGは、ここでもう一度ヨネへのガンクを狙う。
倒すことには成功するが、このタイミングでT1はヘラルドを利用してTOPのタワーを2本折ることに成功し、MIDでも敵が近くにいないことが分かったのでルシアンがオールインを仕掛けアフェリオスをキル。ここでの一連の動きで不利を背負っていたT1がゴールド差を逆転する。

マルファイトのレーンをガンクするJDG
この間にT1はTOPのタワーとキルを獲得

試合時間22分にゲームが大きく動く。JDGがヨネのキャッチを狙うがZeusがぎりぎりのところで生き残る。ここでサイラスがTPを切ったのを見てT1は即座にTPを使ってバロンを判断し、取りきることに成功する。

ヨネのキャッチを狙うが上手くいなされる
次の瞬間にはTPを使ってバロンを獲得

バロンを獲得したことでスプリットプッシュが可能になり、ライズとヨネでTopのインヒビターを狙う。JDGとしては5v5の集団戦をしたいがT1はスプリットをしてタワーを獲得していく。
耐えかねたJDGはエンゲージを狙うがFakerとZeusが完璧にいなしきり、そのままT1が勝利した。

FakerとZeusがエンゲージをいなす

アフェリオスルルは集団戦になれば活躍することができるが、JDGはサイドレーンへの対応に追われて上手く集団戦のタイミングを作ることができなかった。また、T1はドラゴンを捨ててTOPのタワーを獲得するなど集団戦を上手く避けて有利を広げていた。これも1つ目のドラゴンをOnerがスティールしていたことで、ドラゴンソウルのプレッシャーを受けずに捨てる判断ができたことも大きかっただろう。
JDGは序盤の有利こそ握っていたものの、ゲームプランのところで放置する予定だったマルファイトにリソースを割きすぎてしまった事で大きくゲームのテンポを失ってしまった。それに対して、自分たちの構成の強みを生かし的確にカウンターアクションを決めたT1のマクロの上手さが目立つ試合となった。

Game3

B/P

Game2でZeusのヨネに掻き回されたJDGはヨネをバン。First Pickでヴィエゴを抑えJGの主導権を狙う。それに対してT1はルシアンナミを継続。JDGとしてもアフェリオスルルが悪かったわけではないという判断かアフェルルを継続する。3rd PickでT1はGame2で上手くいったライズを選択。MIDのプッシュ主導権を優先する。2ndフェーズでT1は、グローバルスキルを持つガリオとタリヤをバン。そしてノクターンをPIckしてサイドレーンのプレッシャーを高める。JDGはレネクトンをピックし、TOPサイドからゲームを作りに行く。これに対してT1はレーンを耐えながらBOTサイドのアシストもできるGPをピック。
T1はルシアンナミのレーニングをノクターン,ライズ,GPのグローバルスキルでサポートしながらサイドレーンでも有利を取れる構成になっている。
対するJDGとしては、GPの弱い時間帯を攻めてレネクトンヴィエゴのラインで有利を取り、Botはレーンを耐えながら集団戦に持ち込むことができれば序中盤に有利を取れる構成になっている。

インゲーム

JDGは構成通りレネクトンの序盤の強さを活かしてTOPサイドで勝負を仕掛け、有利を広げる。

レネクトンの強い時間を活かしたTOPサイドゲームで有利を広げる

それに対してT1は、TOPサイドでは張り合わずにBotのナミルシアンの有利を活かしてBotサイドで勝負を仕掛ける。ライズのプッシュ主導権とノクターン.GPのグローバルウルトによってキルとドラゴンを獲得する。

JDGのTopサイドゲームに対してBotで試合を進めるT1

JDGとしては思ったよりもBotが耐えることができずにビハインドを背負ってしまう。しかし、レネクトンのスノーボールは成功してBotも集団戦で強さを発揮するピックでもあるので、20分当たりのパワースパイクではJDG側が有利なことに変わりはない。
試合時間19分頃のタイミング
JDGはドラゴン前に先にグループアップし視界を取り返しに行く。Kanaviを先頭にしながら視界外の後ろに369とYagaoが隠れて戦闘の機会を伺う。
しかし、JDGのこの動きはWorld'sでも何度も見せている動きで、T1としてもどうせ後ろに隠れているんでしょと分かっているかのようにゆっくりとラインを下げる。この辺りの動きは、JDGがしっかりと対策されていることが分かる。

JDGの動きを警戒してラインを下げるT1

ここで予想外に簡単に視界を取り返すことができたJDGは、レネクトンがルシアンの誘いに乗ってしまい前ブリンクをして倒されてしまう。
育っているレネクトンが倒されてしまった事で、ウィンコンディションを失ったJDGをT1は見逃さずにエンゲージを判断。3キルを獲得し、そのままバロンを獲得する。

ルシアンのポークにつられてレネクトンがバーストで落とされてしまう
3キルを獲得したT1がバロンに繋げる

JDGのTOPサイドゲームに対してT1もBotサイドでプレイし、同じテンポかそれを上回るスピードでローテーションを成功させた。MIDのプッシュからサイドレーンへ流れてサイドのタワーを獲得。更にTopサイドではGPのRを使ってウェーブクリアすることで、一方的にタワーとインヒビターを獲得する。

MIDを押し込んでBotに流れるT1
TopはGPのRでウェーブクリア
戦わずにBotのインヒビターを獲得する

この動きも、KanaviがTOPサイドの有利を活かしてTOPの2ndタワーを狙いに来ることを予想しての動きで、Knaviのいない逆サイドでの完璧なカウンターアクションだった。T1はJDGの動きを完璧に対策して、インゲーム内でのマクロでもT1が上回っていた。

それでもJDGは自分達の得意な形を狙い、Topサイドでアクションを起こす。

Fakeをキャッチして集団戦を始める

しかし、ここでもグローバルスキルですぐに駆け付けることができるT1の構成の強みが出る。GPのRとノクターンのRですぐに駆け付けると、ルシアンが4v2の場面から2人を倒し4-3交換に持ちこむ。

ルシアンが2人を持っていきバロンを阻止

ここでの集団戦に勝ち切ることができなかったJDGは、Botのスーパーミニオンの処理を迫られ。人数差によってTopサイドの視界を失ってしまう。

視界が無いJDG
バロンを取り切るT1

その隙にT1がバロンを獲得し、その勢いのままエンゲージを決めて0-5エースでゲームを締めくくった。

T1が0-5エースで勝利する


Game4

B/P

Game4でJDGは、ライズとルシアンをバンする。MIDの主導権を握るためにはこの2体は消さざるを得ない。JDGはセジュアニをPIck。T1はBotのレーンの強さとJGの取り上げの意味も込めてヴァルスヴィエゴを選択。JDGはこれに対してKanaviの得意ピックでもあるヴェルヴェスと、Botの主導権を渡さないためにカルマをPick。これによってほぼセジュアニのTopが確定する。ここまでのJDGであればこれでTOPサイドヘビーの構成から集団戦構成に切り替えることが多いため、ADCには集団戦に向けたチャンピオンを選ぶことが多い。しかし、ここまでの試合のBotレーンが不安定なこともあり、ジンをピックする。これでBotレーンは耐えることはできるが、TopのピックがセジュアニなこともありJDGにしては珍しい少しちぐはぐな構成になった印象を受ける。それに対してT1はヴァルスレナータで強力なBotの組み合わせを取りながらMID.JGには今のメタのアジール.ヴィエゴのラインを揃えながら、Topには耐えることができるグラガスのPIckと、序中盤からかなり強力な構成になっている。JDGとしては有利を取れるレーンがほとんど無い上に序中盤に負けてしまうとそのまま試合が終わりかねないかなりピーキーな構成となった。

インゲーム

JDGはBotは絶対に負けられないマッチアップの中で、Keriaがフラッシュインでカルマを倒しきり、暗雲が立ち込める。

迎えた1つ目のヘラルドファイト。

レナータのRが三人に当たる

このタイミングでKeriaのレナータの6レベが間に合ってしまう。
何とかヘラルドを獲得することに成功しTopのタワーを獲得することに成功するが、Topレーンはセジュアニなのでゴールドを集めたところであまり影響力はない。

更に、このタイミングでT1はBotレーンにプレッシャーをかけBotの有利を広げることができた。その後の2v2でKeriaのエンゲージから2人が倒されてしまう。

Botの2v2でT1がキルを獲得

2ndヘラルドのタイミング。JDGとしては戦える状況ではないが、このまま続けても勝ち目がないので集団戦を狙う。

T1が1-4交換で集団戦に勝利する

だが、T1もしっかりと勝ち切り、1-4交換で集団戦に勝利。そのまま構成の有利を活かしてT1がGame4に勝利し、決勝進出を決めた。

まとめ

このシリーズを通してT1のJDGへの対策がかなり準備されていたように感じた。JDGは自分達の得意な集団戦の形をほとんど作ることができずに、ローテーションで有利を広げるT1に上手く対応することができなかった。
T1はMIdのプッシュ主導権 .Botのレーン有利 ,Topに耐えるチャンピオンを選んでおり、サイドレーンでも戦うことができるチャンピオンを選択することで集団戦以外の勝ち方をすることができた。JDGの強みである、Topサイドゲームと集団戦をしっかりと対策したB/Pになっていた。
ローテーションで有利なのはMIDを押し込むことができている側で、JDGのほとんどのアクションはMIDのプッシュ主導権から始まっている。
しかし、シリーズを通してレーン戦ではライズにプッシュ主導権を取られ、レーンが終わってからもルシアンナミに主導権を握られてしまい、JDGはMIDのプッシュ主導権を取り返すことができなかった。ヨネやライズなどのポケットピックがここまで機能してしまうと勝つことはかなり難しくなってしまう。もちろんJDGが有利なタイミングもあったが、そのタイミングで上手く勝ち切ることができなかった。
ただ、ルシアンナミに対してはアフェリオスルルでここまでの試合では上手くいっていた上に、ライズもここまでのWorld’sのメタではあまり見られないチャンピオンでもあった。JDGとしては予想が難しいゲーム展開だったことは明らかだろう。B/PからインゲームまでT1がJDGを上回る内容となった。


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