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[アーカイブあり]正論パンチを繰り出していた私が、「対話」を覚えて”真の”マネージャーとなった軌跡
こんにちは!
私たちは、女性IT/Webエンジニアのためのハイスキル転職サービス「WAKE Career」を運営しております。
当社のビジョンは、『「なりたい」を解放する』。
ジェンダーギャップのあるIT業界で、女性・ITエンジニアが新しいことにチャレンジし、自分の「なりたい」を解放することを応援しています。
女性・ITエンジニアとして現在ご活躍されている方に、現在に至るまでの失敗やバイアスからのしくじりなどをお聞きしました。
今回は第11弾となります。
前回の記事はこちら:
バックナンバーはこちらをご覧ください:
今回お話を伺ったのは、株式会社LayerX でエンジニアリングマネージャーとしてご活躍中のあらたまさんです。
音大卒業のバックグラウンドから、ソフトウェアエンジニアとして就職。エンジニアとしてのキャリアを積む一方、マネージャーやCTOとしてマネジメントも経験されます。
しかし、正論を優先させるあまり、相手を追い詰めてしまった過去も…。
今では「自身の成長を実感する」と語るあらたまさんが、失敗をどのように乗り越え、変化させたのか。
現在マネジメントをしている女性エンジニアや、「これからリーダー層を目指してみたい」という方はもちろん、「マネージャーを打診されているが、迷っている」という方の参考になるエピソードがたくさん詰まった記事です。
※ あらたまさんは、記事執筆当時は株式会社LayerX にてソフトウェアエンジニアとして勤務されていました。2024年7月より、エンジニアリングマネージャーとなられました。
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正論パンチを繰り出していた過去
ーーこれまでのキャリアを教えてください。
国立音楽大学を卒業後、ソフトウェアエンジニアとして株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)に入社しました。音大では作曲科に所属しており、授業でプログラミングを使って作曲する機会があったんです。そこから、創作活動よりもプログラミングに興味を持ち、エンジニアになりました。
その後は、株式会社セオ商事、株式会社ロコガイド(以下ロコガイド)を経て、4社目の株式会社Cake.jp(以下Cake.jp)ではCTO候補として採用され、正式なマネジメントポストを経験しました。今は、株式会社LayerX(以下LayerX)でソフトウェアエンジニアをしており、バクラク申請・経費精算の開発をしています。
ーー初めてのマネジメントがCTOとは、驚きですね!実際に経験されて、いかがでしたか?
会社に所属しているからには、会社が生み出す価値の総量をあげたいと考えています。そのためには、チームが機能することが不可欠。うまく機能するためのチームの仕組みづくりをしていきたい想いがもともとあり、マネジメントはとても良い経験でした。
そう思えるのも、過去の反省が大きく活かされているからなんです。
ーー具体的に教えてください。
1社目のDeNAで初めてメンターをしたとき、担当の新卒の方に正論パンチを繰り出していました...。
DeNAは周りが優秀な方ばかりで、自分自身の自己肯定感も低かったんです。客観的に見たら出来ていることでも、出来ていないと思い込み、私自身が典型的な「インボスター症候群」(自分自身を過小に評価して否定的に捉えてしまうこと)にかかっていました。
だからこそ、「自分が出来ることは、周りもできて当たり前」のスタンスで過剰なコミットメントを求め、相手を追い詰めてしまっていたのかもと思います。書籍を読むなどの試行錯誤はしたものの、私自身どうしていいか、その時は分かりませんでした。
3社目のロコガイドのプロジェクトチームでも、プロジェクトを成功させたい一心で、正論でアドバイスをしてしまい、相手を追い詰めてしまったこともあります。その時は、「あなたとは分かり合えない」とはっきり言われてしまいました。
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「マネージャーの仕事について、どのぐらい知ってる?」VPoEからの言葉
ーー正論パンチのコミュニケーションが変わるきっかけはありましたか?
ロコガイド時代、チームが個人技の集合体になっており、あまり雰囲気が良くないと感じて、マネージャーになんとかしてほしいと思っていることを当時のVPoEに訴えたことがあるんです。その時、「ところであらたまさん、マネージャーの仕事について、どのぐらい知ってる?」と言われ、ハッとしたんです。
私は、マネージャーにはどんな職務があり、それがチーム作りにおいてどのように発揮されるのか、何も知らない中で一方的に意見を伝えてしまっていたのだと気付きました。
そこで、マネージャーに求めるだけでなく、メンバーでも発揮できるマネジメントの形もあるのではと考え、マネジメントに関して勉強を始めたんです。VPoEともディスカッションをする中で、過去の自分は正論パンチをしているだけだった、対話が出来ていなかった、だからメンターもうまくいかなかったんだと気づくことができました。
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ーー気づきを得てから、何か変化はありましたか?
まず、思考が理解できないと思った相手でも、「興味をもつ」ように心がけました。「私は白色に見えるけど、あなたには何色に見える?」と聞くことで、お互いの立場をクリアにしていく、それを「対話」と呼ぶのだと、あとから理解できましたね。
そして、せっかく会社という組織に属し、チームという仕組みがあるならば、それぞれが得意な仕事や楽しいと思う仕事をする方が良い。だからこそ、相手が「何をしている時が楽しいのか?」をヒアリングするようにもなりました。
正しさはひとつじゃない。「対話」を覚えて、コミュニケーションパターンが変化
ーーマネジメントを学んだことで、他にも気付きはありますか?
以前の私は、自分が正しいと思う唯一解だけ追い求め、そこに対して120%努力することが当たり前だと思ってきたんです。「対話」を覚えたことで、「正しさ」は見方によっても、人によっても変わることを知りました。
ライフステージによって、必ずしも仕事に100%コミットできないことがある。それなのに、「これぐらい出来て当たり前」という暗黙の期待を持ち、それが満たされないことに不満を感じていた過去の私は、理不尽だったんですね。
それに気づいてからは、対話をすることで相手の状況を深く理解し、コミュニケーションパターンを変化させることができました。
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ーーコミュニケーションパターンが変わったことが、Cake.jpにおいてのCTO抜擢に繋がるのでしょうか?
Cake.jpにはロコガイド時代の同僚が誘ってくれました。自分にCTOが務まるのか不安もありましたが、周囲のCTOの先輩方も背中を押してくれたんです。
これは、かつて正論パンチしか知らなかった私のコミュニケーションが変わったことも、きっかけのひとつだったと思います。
最近は、メンバーから「あらたまさん、怒ることなんてあるんですか?」と聞かれたり、「やった方がいいことを柔らかく伝えてくれるからありがたい」と伝えてもらったりと、自分自身の成長を実感しています。
かつては、「マネージャーの仕事について知ってる?」と言われもした私ですが、インプットと実践を繰り返した今なら、「知ってますよ!」と言えますね。
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死ぬわけではないのなら、大切なのは「おもしろがり力」
ーーあらたまさんの今後の展望を教えてください。
会社に属するということは、会社が生み出す価値の総量をあげて、1+1=2ではなく10や100にしていくことが大切だと考えています。そのための仕組み作りをしていきたいですね。
例えば、優秀な人だけが集まった少人数のチームが、短期間で良いパフォーマンスを出せるのは当たり前。そうではなく、いつでもうまくいく、再現性のあるチームの仕組みを作っていきたいと思っています。これは、自社の安定成長のためだけでなく、同じように課題を抱えるテック業界に、ナレッジとして還元していきたいと考えているからです。
その目標のため、タイトルに就くことにもさほどこだわっていません。現職のLayerXでは、当初はEMとして転職しましたが、今はプレーヤーとしてプロダクトを作っています。前職のCTOからの転職ということで、CTOもしくはVPoEになるべきかと悩みましたが、これはただの見栄だと気付いたんですよね。共通の目的のために自分の力が発揮でき、それが求められているのであれば、その場に応じた適切なポジションがついてくるのだと思っています。
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ーーマネージャーを目指す女性に向けて、メッセージはありますか?
キャリアブレイクがある前提で捉えたとき、枯れない技術を身に付けることは大切だと考えます。マネジメントスキルは、大きなポータブルスキル。会社や業界に合わせて多少の調整は必要ですが、基本的にはどこでも使える技術です。
誰しも、最初はマネジメントポストを怖いと思う可能性がありますが、結局は慣れの問題だと思います。私も、CTOのオファーを受けたとき、本当に取り返しがつかないことは人生においてそうそうないので、もしCTOが向いていなかったとしても、死ぬわけではないなと考えました。
エンジニアという職業は、方向性さえ選べばいろいろと自由にチャレンジできる職種です。それこそが、エンジニアのいいところだと思っています。
その上で、大切なのは「おもしろがり力」。これは、他者に依存せず、自分で完結できる力です。まずは、何でもおもしろがって一旦やってみると良いかもしれません。合わなかった場合や嫌だった場合、何が嫌だったかを要素分解することで、自分や周りを深く知ることができますよね。そうして、おもしろがれる範囲が広がっていくとも思います。
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私のエンパワーメントルーティン
ーーあらたまさんの日々のエンパワーメントルーティンを教えてください。
複数のコミュニティに所属することです。会社だけでなく、EMのコミュニティを運営したり、共通の趣味を持つ友人と集まったりしています!
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インタビュー・執筆:くぼちゃん
サムネ写真:丹野雄二(ほか、あらたまさん提供)