「縁(えにし)」:『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS UNIT LIVE TOUR ConnecTrip! 石川公演』雑感&ツアーを通して。
2024年6月17日(日)、石川県本多の森北電ホールにて『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS UNIT LIVE TOUR ConnecTrip! 石川公演』が開催された。
本来であれば本ツアーの皮切りとなる予定だったが能登半島地震の影響で延期となり、奇しくも千秋楽公演となったものだ。
夜公演のMCでも触れられていたが、元々の開催予定日だった1月13日は浜口あやめの誕生日でもあった。
<セットリスト>
1:Vast world / 全員
2:Shinobi 4.0 忍者のすゝめ
3(昼):花簪 HANAKANZASHI
3(夜):薄紅
4(昼):祈りの花
4(夜):日々あどべんちゃーなのでしてー
5:美に入り彩を穿つ / 羽衣小町
6:義勇忍侠花吹雪 / 可惜夜月
7(昼):青の一番星
7(夜):Private Sign
8(昼):小さな恋の密室事件
8(夜):Merry Warm Bodies *白坂小梅ソロ3曲目
9:桜の頃 / 春霞(小早川紗枝&依田芳乃&道明寺歌鈴&浜口あやめ&脇山珠美)
10:廻談詣り / かくりよがたり
11:満願成就♪巫女の神頼み!
12:碧空ノ一路
13:Enishi / 羽衣小町 *ユニット曲2曲目
14:夕映えプレゼント / 白坂小梅&道明寺歌鈴&浜口あやめ&脇山珠美
15:Come to you / 全員
参加ユニットは『羽衣小町』(小早川紗枝&塩見周子)、可惜夜月(道明寺歌鈴&浜口あやめ&脇山珠美)、かくりよがたり(白坂小梅&依田芳乃)。
「和」のユニットで統一された本公演、前述のように締め括り公演となったことで日本の底力を示すことができたのではないか。
などと言えるのはきっと私が被災者ではないからだろう。
被災地では未だ復旧が進まず断水しているままの地域もあると聞く。
「ここでコンサートなどしてくれるな」という空気にならず快く開催させていただけたことに深く感謝するとともに、一日も早い完全復興を心より祈るばかりだ。
今回のセットリストで特筆すべきはやはりサプライズ披露された『羽衣小町』の新ユニット曲『Enishi』と、白坂小梅のソロ3曲目となる『Merry Warm Bodies』だろう。
『Enishi』はもちろん「縁(えにし)」から来ており、本公演の曲でもしばしば歌詞に「縁」が登場し、まさしく本公演のみならず、本ツアーそのものを『Come to you』とともに象徴する曲となった気がする。
作詞・作曲・編曲はウツミタカアキさん。
『ささのはに、うたかたに。』に続いての担当。
ふたりが指を組む振り付けがあるのだが、「尊いヤッター!」などと狂喜していたら、「つながる」などの意味を表す手話であるらしく、己の見識のなさを恥じる羽目になってしまった。
いっぽうの『Merry Warm Bodies』はこれまでの2曲は激しいロックテイストであったが、一転してスローバラード……と思いきや、根本はメロディアスシンフォニックメタルであった。
終盤には台詞パートもあり、「白坂小梅の集大成」感が強い。
ちなみに2013年に公開された『ロミオとジュリエット』を元にしたゾンビ映画『Warm Bodies』というのものが存在するがどこまでオマージュしているのかはリリース後に歌詞を読み込んだ上で調査してみたい。
作詞は八城雄太さん、作曲・編曲は山本真央樹さんで意外にも初タッグ(『無限L∞PだLOVE♡』は睦月周平さんとの共同作曲・編曲)。
「和」公演ということもあり、実に小道具による演出が随所で利いていた印象だ。
『Shinobi 4.0 忍者のすゝめ』では他の出演者たちが花吹雪を撒き(最後まで誰も滑って転倒しなかったのは幸いだった)、あやめの分身の術を意識した万華鏡のようなカメラワークが実に見事。
他にも『花簪 HANAKANZASHI』での和傘、『祈りの花』での枝、『青の一番』での扇子、『廻談詣り』での狐面、『満願成就♪巫女の神頼み!』でのオオヌサ(先端にはしっかりバナナが付いていた)などなど、あの手この手で楽しませようとする意識に脱帽。
脇山珠美役の嘉山未紗さんが夜公演の終わりのMCで仰っていたが、昼公演が終わると同時に現場から改善案が続出してそれが即夜公演に活かされたとのことで、シンデレラガールズの現場の進化は今なお止まることはない。
他にも各所に散りばめられたご当地ネタの数々や、終演時のマイクなしでの全員での「ありがとうございました!」などなど、まさに日本人ならではの気配りに満ちた公演だった。
本ツアーは構成上アンコールを現地プロデューサーたちは要求することができなかったわけだが、夜公演終了後に一度ハケた出演者たちが戻って来ての千秋楽挨拶はその最たるものではなかっただろうか。
石川公演が最終公演で本当によかった。
あえてそう言いたい。
言わせていただきたい。
そんな公演だった。
まさに「縁」を全身で感じた。
公演が振り替えになったのもそう。
『春霞』のオリジナルメンバーが全員揃って『桜の頃』を歌唱できたのもそう。
今回もたくさんの現地参戦組がいたのもそう。
小早川紗枝役の立花理香さんが締めのMCで仰っていたが、公演が延期になったことによってセットリストが当初の予定から変更になったそうだ。
もしかすると『羽衣小町』の2曲目や白坂小梅のソロ3曲目の初披露は1月13日公演時点ではなかったのかもしれない。
ああ、「縁」だなあ。
しみじみとそう想う。
本公演の最後の曲は『Come to you』だった。
私は今回も『お願い!シンデレラ』になるのではないか、夜公演ではそうなるのではないか、とチラッと予想したが、そうはならなかった。
本来であれば最終公演となるはずだった東京公演を『おねシン』に決めた時点で、石川公演はあえて『Come to you』のままで行くことも同時に決定したのではないか。
シンデレラガールズ運営は「一区切り」よりも「継続」が色濃い方を選んだのだ。
「縁」、「タイミング」、「巡り合わせ」。
表現はどうだっていい。
石川公演が千秋楽公演となったことで『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS UNIT LIVE TOUR ConnecTrip!』に「旅」、「つながり」、だけでなく「縁」という要素が加わり、なんとも印象深いライブツアーになった。
シンデレラたちの「旅」は終わらない。
その道はどこまでも「つながって」行く。
そう。
これまでとこれからの「縁」がある限りずっと。
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