ジュビリー(祝祭)とその先。
『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』(以下『デレステ』)の星街すいせいデレステコラボイベント『ジュビリー』が昨日2024年4月2日20時59分に終了し、本日4月3日12時にその結果が発表された。
私の結果は1764位。
デレステ初心者の方には「?」かもしれませんが、2000位以内に入るというのはイベントを走り切ってランキング上位に入ったとのひとつの証明になるのです。
これまで星街すいせいデレステコラボについての記事を連打してきた身としては面目躍如と言えるでしょう(自画自賛)。
参照→
○ 『星街すいせい×デレステコラボは流れ星か大花火か。』
○ 『星詠み及びホロリスのデレステ入門者向け星街すいせいコラボ&『シンデレラキャラバン リコレクション』指南。』
○ 『星詠み及びホロリスのデレステ初心者向けイベント『ジュビリー』指南&星街すいせいコラボガシャ情報詳細など。』
○ 『星街すいせい関係アイドル紹介(星詠み及びホロリス向け)。』
これでめでたくイベントSRはどちらも完凸(なんならスタラン17)。
一定の役割は果たせたのでは。
それではイベント自体の感想などを語るとしますか。
ストーリーの始まりはプロデューサーがネットサーフィンで情報収集をしている最中、星街すいせいとのコラボを思い付くところから始まる。
「アイドルたちの次のステップとして必要なのは、ファンに求められているのは」
との想いからだったが、前者はともかく後者はややこじつけ気味だ。
結果として大成功には終わったが、VTuberアンチたちの狂ったようなネガティブキャンペーンやそれを面白がる『ねとらぼ』を始めとした火事手伝いメディアの炎上助長により、結果「良くも悪くも話題になった」という何のひねりもない総評が大多数を占めてしまった。
「噂には聞いていたがなるほど……。この人となら、あるいは……」
とプロデューサーは目論む。
そう。
断じて勘違いしてはいけないのは、今回のコラボはあくまでデレステ運営側からの打診であり、断じてホロライブからのねじ込み案件ではないのだ。
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」で風評被害を撒き散らさないように。
『ジュビリー』イベントコミュの参加者は、メインとなる高垣楓の他には346プロダクションからは渋谷凛、安部菜々、辻野あかりの3人。
歴代シンデレラガールが3人で賓客をお出迎え。
シンデレラガール経験者ではないあかりの存在は当初は謎だったが、ストーリーを読み進めていくにつれて彼女の存在が必要不可欠だったことがよく分かった。
ちなみにこの面子も楓さん以外は星街すいせい個人の要望ではないことも特記しておくべきだろう。
そちらはデレステ運営側からの選定であり、彼女にはそこまでの権限は当然ないので勘違いしないよう。
あ、そうそう、もうひとりいた。
配信に「僕がこの場にいないことだけがめっちゃやむ。でもそれによって生まれるプライスレス」とのコメントを打った(ちなみに赤スパ)『ピンクあたまてゃん』。
あれ、言わずもがなドルヲタアイドル・夢見りあむです。
それぞれの関係性が面白かったですよね。
お互いの呼び方とか。
菜々から星街すいせいへは「すいちゃん」で、星街すいせいから菜々へは「菜々ちゃん」。
アイドルに理解の深い菜々からは「ちゃん」呼びで、1歳年上である星街すいせいからは「菜々ちゃん」。
何もおかしくはない。
星街すいせいは18歳で、安部菜々は17歳なので。
たとえ「永遠の」であろうとも。
星街すいせいから菜々への印象は「ウサミン星人!ハートウェーブやウサミンビームを食らいたい!」だそうで、シンデレラガールズへの造詣の深さが伺えた。
「ウサミンビーム」はともかく「ハートウェーブ」が出てくるのはさすが。
菜々から星街すいせいへの印象は「フレッシュで歌がとっても上手。名前に親近感がある。うさぎ好きという共通点もある」とのこと。
こちらもさすがによくご存知で。
なるほどそれなら粗相をやらかす危険性が高かったりあむよりよほど適任だったわけだ。
あかりから星街すいせいは「すいちゃんさん」で、星街すいせいからあかりへは「あかりちゃん」。
あかりはまだ15歳なので「ちゃん」呼びは妥当。
「すいちゃんさん」はニックネーム+さんで、あかりならではの少々余所行き感もありつつも。
まあぶっちゃけ「アーニャちゃん」とかも似たようなもんだし。
いわゆる「さかなクンさん」的なアレ。
トマトが苦手つながりはよくぞ引っ張ってきたと褒めたいナイス。
当然そこだけであかりに白羽の矢が立ったわけではないが、ライターとしては内心ほくそ笑んだに違いない。
凛から星街すいせいへは「すいせいさん」で、星街すいせいから凛へは「凛ちゃん」。
SNS上などで「凛にも『さん』付けで呼ばせるのかよ。接待が過ぎる」などとのてんで的外れなV憎し故の運営への糾弾をしばしば目にしたが、初対面の他事務所の3歳年上の同業者に対して呼び捨てから入ってはそれこそ「スイコパス」どころの騒ぎではない。
渋谷凛は島村卯月や本田未央、高垣楓と並んでシンデレラガールズのアイコン的存在である。
それを身内が貶めてどうする、という至極簡単な話だ。
凛は自ら作詞をもこなし、絵心もある星街すいせいをひとりのアーティストとして純粋にリスペクトし、『Stellar Stellar』のデュエット相手に立候補する。
「『待ってるだけのシンデレラじゃない』との歌詞があるこの曲を私が歌ってもいいのか」との葛藤を抱えつつも、またとないチャンスを逃がしたくはなかったのだ。
心情を赤裸々に吐露した凛に対し、星街すいせいは「自分の足で歩いていくシンデレラでしょ?」と返した。
自らがスカウトされてアイドルとなったことにコンプレックスを持つ凛であったが、『ガールズ・イン・ザ・フロンティア』の歌詞を巧みに引用されたとあってはその洒落っ気に脱帽するしかなかった。
ちなみに星街すいせいは最初からホロライブプロダクションの所属ではなく、元々は個人勢として全て自ら手掛けつつその活動をスタートしている。
そして高垣楓。
楓から星街すいせいへは「すいせいさん」で、星街すいせいから楓へは「楓さん」。
だったのだが、エンディングコミュにて「できれば『すいちゃん』でいいですか?」との提案が本人からあり、めでたくそれが実現するエモくてぇてぇ光景が見られる。
星街すいせいが高垣楓担当Pというのはこのコラボ企画が持ち上がるはるか以前からホロライブリスナーの間では有名な話だ。
それだけに「楓さんのダンスはすごい!高身長が美しい!かっこよくて綺麗な歌姫!」とのっけからベタ惚れ全開。
とはいえコミュ5話では「元々結構前から楓さんのこと知ってて。『言っちゃうとなんかズルになるかなって』って黙ってた」と告白。
ミーハー心をぐっと押さえ付け、プロとしての姿勢を全うしていた。
楓さんから星街すいせいへの印象は「負けず嫌い。私と経歴が似ている。たくさんたくさん努力を重ねてきて今がある」とさすがの視点。
モデルから転身したアイドルであり、今では「歌姫」と称される自分の立ち位置を冷静に振り返っている。
が、同時に凛も「昔の私じゃとても考えられない姿になった」と回顧し、菜々もまた「まるで魔法にかけられたみたい」とこぼしていることから、やはりシンデレラガールの座に輝いたものにしか見えない景色があるのだと再認識させられた。
今回この『ジュビリー』のイベントコミュにおいて特に評価したいポイントが3つある。
ひとつはアンチの存在を包み隠さずしっかりと描き切ったことだ。
コミュ1話ですでに「ファン層ちがくね?なんでここコラボしてんだ」とのコメントが跋扈し、対立勢力も黙っておらずさながらアンチVS.アンチの様相を呈する。
それに対し高垣楓は「批判は付き物。万人に受け入れられる人間なんて存在しません」と達観。
星街すいせいは「1の批判は100の応援よりも心に刺さる」とならではの苦労を重ねる。
私はVTuberの配信を観始めてまだ3年にも満たないが、それでも何人もの誹謗中傷などによる配信者の休止や入院、訴訟などの事例を目にしてきた。
匿名というだけで透明人間にでもなったつもりのアンチたちの短慮による悲劇はどの業界でも、いつの時代でも後を絶たない。
冒頭でも触れた面白半分の仕組まれた炎上騒ぎしかり、発表された瞬間から覚悟はしていたが、予想以上に見るに耐えないものばかりだった。
運営としても覚悟した上で「それでもやる価値の方がはるかに大きい」と判断したからこその企画遂行だったのだろうが、大局に立ったり俯瞰で物事を見られない、後先を考えない者たちまで否が応でも巻き込んで商売をしないといけない苦労は想像を絶する。
もうひとつは、「星街すいせい」をVTuberとして扱わずにひとりのアイドルとして同じ舞台に立たせたことだ。
VTuberとして扱ってしまえば画面越しでのコミュニケーションしか取れずなんのこっちゃ分からんとかいう話ではなく、そこは346プロダクションのアイドルたちとて2次元の存在であることを上手く利用した実に妙手だった。
イベントコミュ5話で番組前に機材トラブルが起こる。
そこでシンデレラガールズのアイドルたち以上に肝が据わっていたのは他ならぬ星街すいせいだった。
「配信に台本なんてない」「いつも通り」とアドリブを織り交ぜて難局を凌いでみせた。
高垣楓はそんな彼女を「ひとりのアイドルとして最もファンと近い距離にあった」と分析。
これはあくまでも画面越しの存在であるVTuberに対しての最大限の称賛ではなかっただろうか。
また同時に楓は「私はあまり器用なアイドルではない」とも自嘲。
内面を曝け出してもギャップとして面白がってもらえるVTuberという存在への羨望は、これまで以上に彼女の人間性を垣間見ることできた貴重な場面だった。
最後の3つ目。
これは本当に望外のものだった。
いっそ僥倖と言ってしまっても良い。
それは辻野あかりの急成長だ。
辻野あかりはその見た目や雰囲気に反して中身は意外にもサバサバした現代っ子だ。→ 参照『辻野あかりこそ最先端の現代っ子だった。』
彼女は自身のストーリコミュ『Sweet Apple on Stage』においてにすらまだアイドル活動を続けるかどうか悩んでいた。
それがどうだ。
すっかりやる気ではないか。
これぞ星街すいせいコラボの好影響か。
アンチの存在に対しても「こういうのには耐性がある。りんごもたくさんあったらアレなのは何個かあるし」と達観。
「そういう人たちには『好きに言わせておけばいいやー』って」と、全VTuberに会得してもらいたいレベルの強メンタルぶりを見せ付けた。
この『ジュビリー』イベントにおいて辻野あかりの存在が必要不可欠であった理由が分かった。
そしてまた同時に辻野あかりにとってもこの『ジュビリー』イベントは必要不可欠であったのだ。
エンディングコミュにおいて、凛は「ただコラボの仕事をやって終わりなだけじゃない。私たちが次に進むための大事な糧になる」と言い、菜々は「この経験を活かせるのはこれから」と言い、楓は「きっとまたいつか」と言った。
我々は信じてもいいのか。
その「次」と「これから」と「またいつか」を。
アイドルたちにそう言わせたのであればその可能性を見せてほしい。
最近のデレステ運営からはとてもそれを期待できるような姿勢は見られないのだが。
コミュのラストで楓に「新参」からのファンレターが届く。
星街すいせいの配信には「これまでちょっと穿った目で見てた」という「初見」からや「コラボから星詠みになりました」とのコメントが届く。
私も実際インターネットを通じてそんな場面に幾度となく出くわしている。
だったら。
だったらなおさら。
デレステ運営はそれらの手応えを「先」へと続けるべきだ。
終わっていなければ汚名は雪げる。
『ジュビリー』イベントは終わったが、デレステは「まだ」終わってはいない。
だったら「まだ」やれることはあるはずだ。
だったら「まだ」やるべきことがあるはずだ。
「ジュビリー」は「祝祭」。
祭りの後を寂しい気持ちにさせないでくれ。
どうかこの「特別な交流」を一筋の流れ星で終わらせないで。
たくさんの願いを託せる流星群だったはずだから。
夢ではなかった現実を。
夢では終わらなかった現実のその先が見たいんだ。