小松伊吹と相原雪乃が持つ大きな武器が明らかになった『ススメ ! シンデレラロード』(ネタバレあり)
2024年2月19日から『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』(以下『デレステ』)にてイベント『ススメ!シンデレラロード』が開催されている。
そのイベントコミュを全て読み終わったので、それぞれのルートのシナリオなどについて語ってみたい。
<小松伊吹 編>
伊吹に恋愛映画の主演の仕事が舞い込んで来る。
相手役はなんと向井拓海(男装)。
うん、ちゃんと配慮されていて安心安心。
もしも相手が男性アイドルだったりしたら大炎上してしまう。
伊吹は映画のラブシーンを観るのこそ苦手だが、映画好きとしての経験値から演技には絶大な自信を持っていた。
が、あえなくその自信はすぐに打ち砕かれてしまう。
肝心の恋愛シーンの演技が何度やっても上手く行かない。
そして原因はヒロインに共感し過ぎてしまうからだという。
そうだったのか。
私はこれまで伊吹は単純にラブシーンが恥ずかしくて直視できないのだとばかり思い込んでいた。
それはヒロインに共感し過ぎていたからだったのだ。
すなわちこれは、小松伊吹に感受性の強さと没入力というアイドルとしての大きな武器が備わっていたことを意味する。
ふむ。
ダンスにとって重要なファクターである感性も、もしやそこに由来していたか。
彼女のパーソナリティの重要な部分を補完できたのは望外の収穫だった。
2本立ての相原雪乃編との最大の違いは、こちらはタイムリーな(過ぎてしまってはいるが)バレンタインデーと絡めていたことだろう。
映画の相手役である拓海をはじめ、『ルミナスボーダー』の相方の速水奏、様々なユニットやコアなファンならニヤリとさせられるであろう「マキノ先生」ネタまで、シンデレラロードならではの魅力であるオールスター感は健在。
プロデューサーに贈るチョコレートを自作するために女子寮に場所を移し、キャッキャウフフしつつも思いがけないところから突破口を見付ける。
最終的に伊吹の背中を押すきっかけとなったのが関裕美だったのは最初は意外だったが、「ハンドメイド=手作り」と考えるとなるほど納得の人選だ。
ストリートダンスが得意なアクティブアイドル・小松伊吹の魅力がギャップも含めて遺憾なく発揮された良いシナリオだった。
悩める乙女は「ためらったらチャンスは流れていっちゃう」ことを知り、意欲的になった。
だが古参ファンも安心して欲しい。
これを機に伊吹が一気に積極的になることはなく、今後もちょいちょいいつもの乙女っぷりを見せて我々を楽しませてくれることだろう。
それにしても、拓海の伊吹への「お前もしかしてプロデューサーのこと……」という台詞にはドキッとさせられた。
このシンデレラガールズ世界においてなかなかここまでの直截的な表現はお目にかかれない。
そういった意味でも印象に強く残るエピソードだったと言える。
<相原雪乃 編>
雪乃に新商品の紅茶の香りがするシャンプーとリンスの商品プロデュース及びイメージキャラクターとしての仕事が舞い込んで来る。
でも「紅茶の香り」って、ぶっちゃけどうなんでしょうね?
私としてはコーヒーに比べて紅茶って香りも味も圧倒的に存在感がない印象なんですが。
並べられると絶対負ける。
いやまあだからこそ、存在感のある紅茶フレーバーの商品プロデュースのブレーンとしてスペシャリストとして名高い雪乃を招聘したのかも。
思えば今回のシナリオのパートナー的存在がコーヒーのスペシャリストである東郷あいなのもよくできている。
今回雪乃に声がかかったのは、紅茶のスペシャリストとしてのみならず、双璧をなす理由があった。
そう、美容雑誌の企画で彼女は「髪が綺麗なアイドル」に選出されたのだ。
おそらく大勢の中の1人ではなく、グランプリ的な扱いだろう。
346プロダクションだけでも190人いるというのに、当然いたであろう他の事務所のアイドルたちも加えるとどれほどの規模になるのか。
その中から見事イメージキャラクターに選ばれた雪乃の髪の美しさたるや、我々の想像を遥かに超えたレベルだったのだ。
彼女が普段三つ編みをしているからそれが目立たないだけで。
そこまでだったとは。
相原雪乃というアイドルを今まで舐めておりました誠に申し訳ございません!
黒髪ロングやプラチナブロンドだけが美髪の象徴ではない。
ヲタク男子はまたひとつ大きな学びを得た。
シンデレラガールズのセレブアイドルたちは浮世離れしている子が多い。
雪乃もそのご多分に漏れなかったのだが、今回彼女は「予算」という問題が物事ひとつひとつにいかに立ちはだかっているのかを知った。
そこで「では足りない分はウチが出しましょうか?」などと言い出さないのが雪乃がセレブアイドルたちの中でも比較的常識人ポジションにいることを示している。
東郷あいの「雪乃くんはプロデュースに向いてる」評は実に的を射ていた。
あいとプロデューサーのお墨付きを得、雪乃は「『最高』をプロデュースするスーパープロデューサーになってみせる」と宣言する。
We Are 315!!
日課のティータイムが3日ぶりになるほどに忙殺されている雪乃をばあやが心配する。
相原家のキッチン初公開とともに、かつてないほどにばあやの台詞も多く、雪乃のプライベート描写がとんどん充実していく。
デレステの1コマ劇場でもお馴染みの、雪乃の三つ編みとばあやとのエピソードも改めて補強され、まさに雪乃P垂涎のものとなった。
今回のシンデレラロードで伊吹に芽生えたのは意欲だったが、雪乃に芽生えのは挑戦心だった。
伊吹がチョコレートの手作りにこだわったように、雪乃は商品発表会の手作り感にこだわる。
商品を自ら手渡しし、封入されるカードのメッセージも全て直筆。
破損して欠品してしまったティーポットの代わりも自慢のコレクションを提供。
そりゃあここまで徹底したファンサービスを行なってくれれば、雪乃に憧れて髪を伸ばすファンも現れますわ!
ところで「ミックスベリーティー」フレーバーってもしかして……。
ダメダメダメダメ!
ただでさえ推しが使ってるシャンプー特定して飲んじゃう奴とかいるのに!
……あ、シンデレラガールズ世界ではそんな心配なんてしなくてもいいのか。
ホッ。
嗚呼、つくづくスマホ画面の向こうに移住したい。
<総括>
今回のシンデレラロードには両シナリオともに各アイドルに気付きと成長があった。
対比というよりはリンクのさせ方が実に巧みで楽しめた。
バックボーンの補完あり、新たな魅力の付与あり。
やはりシンデレラロードは改めてボイスなしアイドルたちにとってのストーリーコミュだと再認識した。 →参照
アクティブアイドルが見せる乙女心。
乙女アイドルが見せる侠気。
堪らない。
もっともっとボイスなしアイドルたちのストーリーを読ませてくれ!
いっそ『シンデレラキャラバン リコレクション』とイベント開催頻度を逆転してくれ!
ボイスなんてなくてもいい!
いや本当は欲しいけど!!
……言うだけ言ってみた。
奇しくも「『デレステ』の2025年サービス終了のリークが中国からあった」などとX(旧Twitter)のトレンドに踊った本日、1人でも多くのボイスなしアイドルがシンデレラロードに採用されることを重ねて望むばかりだ。
もちろん願わくば全員分!