シンデレラフェスブラン2周目島村卯月は「アイドルの盾」なのか。
2024年2月28日、『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』(以下『デレステ』)のガシャ『シンデレラフェス ブラン』に島村卯月が追加された。
初のシンデレラフェスブラン2周目である。
まだまだシンデレラフェスどころか限定SSRすらないボイスありアイドルがいるのにもかかわらず、だ。
卯月自身の前回のSSRはシンデレラフェスノワールの[フォーリン・パラダイス]島村卯月で、約8ヶ月しか経っていない。
「次のSSRは前回から少なくとも1年以上経ってから」が不文律だったのは今は昔だが、それでも早い。
デレステのサービス縮小路線が発表される以前からすでに限定ガシャはボイスありの人気アイドルばかりが採用され、露骨な集金体制が顕著になってはいたが、あまりにもあまり、と言わざるを得ない。
だが、ここで感情のままに書き連ねてはそこらのアンチと同レベルにしかならない。
ここでシンデレラフェスブラン2周目卯月が登場した意味をできる限り冷静に、フラットに、考察してみたい。
私はまだシンデレラガールズ運営を嫌いにはなりたくない。
島村卯月といえばシンデレラガールズの不動のセンターポジションであり、看板ユニット『ニュージェネレーションズ』(以下『ニュージェネ』)のひとり。
いわゆる信号機トリオのレッド担当。
過去このコンテンツにおいてニュージェネは、なにかと区切りの役割を果たしてきた。
「○周年」などの記念の宣伝担当だったり、デレステにおいては新特技の皮切りとして実装されたり。
アンサンブルやミューチャル、ドミナントなど、衝撃的な強い新特技を引っ提げて彼女たちは度々我々を驚かせてきた。
ならばその例に倣って今回もなんらかの「区切り」であると見るべきだ。
では今回は一体何の「区切り」なのか。
この期に及んでもう遠慮や忖度など要らないだろう。
端的に言って「切り捨て」宣言ではないか。
「もう儲けさせてくれないアイドルたちにスポットライトが当たることはありません」という、なんとも無慈悲な。
運営は当然ユーザーが知り得ないデータの数々を保有している。
そこにはこれまでの生々しい記録がある。
そう。
どのアイドルがどれだけの利益を上げたかという具体的な数字が。
前述したように、デレステはサービス縮小運営に入っている。
現在はもうデレステがシンデレラガールズ唯一のコンテンツであり、すなわちグッズ収入などを除いてはほぼ「デレステ=シンデレラガールズ」なのだ。
つまりは『アイドルマスターシンデレラガールズ』というコンテンツが延命するためにはデレステの売上(つまりはガシャ)の重要度がとてつもなく高いことを意味する。
背に腹は代えられない。
逆に言えば、ガシャの売上が悪ければ、延命どころか寿命が縮むことすらあるということも意味する。
だから、2周目の島村卯月が来た。
難波笑美、浜口あやめ、大和亜季、松永涼、道明寺歌鈴、藤本里奈、脇山珠美はボイスありアイドルなのにもう1000日以上新規SSRの追加がない。
藤本里奈、大和亜季、松永涼、脇山珠美、難波笑美、浜口あやめ、上田鈴帆、辺りにはフェス限定SSRどころかまだ限定SSRそのものがそもそもない。
デレステ運営は実装する気があるのかないのか。
……残念ながらきっとない。
なんなら『シンデレラフェスノワール』に採用されたボイスなしアイドルたちよりも扱いが悪いとすら言える。
正直デレステがすっかり迷走気味で何がしたいのかよく分からなくなってきた。
縮小運営のはずなのにLIVE機能は積極的にアップデートしてるし。
単にずっと前から作ってたのがようやく実用化しただけ?
……分からん。
全然分からん。
だが、1000日以上SSRがないボイスありアイドルたちを救う気が一切ないことだけはよーく分かった。
ひとつ言っておきたい。
アイドルにしんどい告知を代弁させないでもらいたい。
分かるよ?
運営の口から「ゼニにならないからもう本当に人気キャラしかガシャもイベントも使わないから!」とはとても言えないことは。
どんなに美辞麗句で飾ろうともそれは。
でも、ダメだ。
アイドルに、キャラにヘイトを向けさせるような真似は。
それじゃあまるで「アイドルの盾」じゃないか。
思えば「声優の盾」の元祖は無印の『アイドルマスター』でしたね。
あまり語りたい話題ではないので、語源を知りたい方は各自自己責任でお調べください。
346プロのアイドルは実在しない。
感情も意志も自由もない。
それでも。
どうか便利な道具扱いはしないでくれ。
デレステにはどうか晩節を汚さずにサービス終了のその日を迎えて欲しい。
一人でも多くのユーザーに綺麗な思い出を残して欲しい。
それが紛れもない私の本音。
なんだが。
それこそが一番なんだが、ぶっちゃけビジネスとして少しでも稼げるだけ稼いでおきたいという心情は私自身も取締役のひとりとして経営に携わる身であり分からないでもないでもないのだ。
運営は慈善事業ではない。
ガソリンのないエンジンは動かない。
だからこそ感情がぐちゃぐちゃになってしまっている。
扱いの差を嘆き叫ぶユーザーの気持ちも分かる。
アンユーザーライクな経営方針に走らざるを得ない運営の気持ちも分かる。
……もっとも、もう少し他にやりようがあったのではないかとはさすがに思うが。
デレステの、いや、『アイドルマスターシンデレラガールズ』というコンテンツの歴史において、間違いなくひとつの転機となった今回の出来事。
つくづく人気商売は難しい。
全員を幸せにする選択肢などないことなどは理解しているが、今回それでも鉛を飲み込んだような気分になってしまったことは確かだ。
デレステが、『アイドルマスターシンデレラガールズ』が、これからひとりでも多くのファンのいい思い出になってくれることを切に願う。