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タイミングを間違えたサプライズはドッキリと同列。:FGO『スペース・ファンタズムーン アナザー・クリスマス 真夜中のこんふぁんた』
『Fate/Grand Order』(以下『FGO』)の期間限定イベント『スペース・ファンタズムーン アナザー・クリスマス 真夜中のこんふぁんた』が終了したのでその感想などを記す。
このイベントは2024年のクリスマスイベントである『ポホヨラのクリスマス・イブ 夢見るサンタとくるみ割り人形』終了直後に一切の予告なく開始された、いわゆるサプライズイベントであった。
2024年12月25日0時、イベント開始と同時に実装されたのが★5サーヴァント『ファンタズムーン』。
貴重な単体バスター攻撃サーヴァントで、味方全体に豊富なNP&バフを配れる上に自身もクリティカルアタッカーとしても活躍できる破格の性能。
キャラクターデザインは武梨えり先生。
「なんでアルクェイドなのに社長(武内崇)絵じゃないんだよ!」との不平不満がネット上に乱れ飛んでいたが、初出が武梨先生の『TAKE MOON』である以上こちらこそが「公式」である。
「なるほどこれがジェネレーションギャップか」と一瞬納得しかけたが、自らの疑問を検索をかけて調べもしない短絡的な人間が恥を晒しているだけであった。
イベントもピックアップ召喚も12月31日23時59分までと期間が短いのも大きな話題となった。
運営にしてみれば「サプライズ成功!」としてやったりだったのかもしれない。
なにしろこれがやりたくて『ポホヨラのクリスマス・イブ 夢見るサンタとくるみ割り人形』イベント中に緊急メンテナンスが発生しようとも、なんとかかんとか帳尻を合わせたのだから。
が、SNSのトレンドを席巻したのと引き換えに、ユーザーからは大きな不満もまた2つ持ち上がった。
1つは周回のためのAP回復アイテムの枯渇だ。
待ちに待ったBOXイベントがクリスマスにして2024年初開催。
気合を入れて周回に周回を重ね、「やり切った」と脱力した次の瞬間にBOXイベント以上に美味しいレイドイベントの開催発表&TYPE-MOON屈指の人気ヒロインであるアルクェイドサンタの実装。
林檎どころか石だって残されてはいない。
つい先日まで恒常サーヴァントとは思えない性能のロウヒに石を突っ込んで人多数。
コアユーザーを自覚している者の中でも石割り周回までしている人はなかなかいない。
そしてこれである。
ファンズムーンの「私が本命!」発言が物議を醸す。
これを聞いたユーザーの一部が「じゃあなんだよ、アビゲイルは前座だったのかよ」と反発しだしたのだ。
それらの声はひとしきり燃え上がった後、
「アビーはしっかりと役割を終えただろ」
「その2つをつなげて考えるのはおかしい」
などの指摘に押されて沈静化していくことになる。
……結果、一時的に。
ここまでですでにいくつもタイミングが悪い。
なのに。
さらに。
せっかく消し炭になりそうだった種火に豪快にガソリンをブチ撒けた挙げ句火炎放射器でぶっ放した奴がいる。
そう、「キングサンタ」ことネコアルクVだ。
宝具の度にシエルに酷使された恨みからアヴェンジャーとして顕現したそいつがこう言い放った。
「アビーの活躍を台無しに」
あーあ。
頭を抱えるどころかもう溜め息しか出ない。
下を向いて力なく左右に首を振った。
ダメだ。
それはダメだ。
現代インターネットには通用しない。
今冬からFGOのやることなすことがことごとく空回りしてるのを見るに、TYPE-MOONのお家芸である内輪ウケという手法は今のインターネット文化からするともう完全に「古い」のではないか。
ファンタズムーンの配信画面も一見良く出来ているが、YouTubeというよりノリがまんま2ちゃんねるだ。
古参の型月厨であれば「HAHAHA、ネコアルクは相変わらずしょーがねーなー」と笑い飛ばせるのだが、FGOからのユーザーはそうはいかない。
前述したようにTYPE-MOON屈指の人気ヒロインであるアルクェイドすら「異物」扱い。
FGO純粋培養のアビーを虚仮にしたとしてアンチが再燃してしまう。
他のアプリゲームなら他社作品コラボをガンガンしているというのに、この敷居の高さは一体何なのだろうか。
もはやコンプライアンス()やらネットリテラシー()やらいう看板の前ではネコアルクという免罪符すら切れない時代になったのだ。
イベントのタイミング。
ガチャのタイミング。
そして発言のタイミング。
どれが悪かったというのではなく、ぶっちゃけどれも悪かった。
仕掛け人だけが面白がっているサプライズはもはや低俗なバラエティ番組のドッキリ企画レベルである。
せっかく良い所も沢山あったイベントだったのに。
自爆としか思えない悪ノリのせいでなんとももったいない。
では運営はどうすれば良かったのか。
せめてもっともっと匂わせるべきだった。
今回の件で言うなら、『ポホヨラのクリスマス・イブ 夢見るサンタとくるみ割り人形』のイベント終了時間がこれまでにないものであることから予想されてはいたが、皆が皆そんな予備知識のある勘のいい人間ばかりではない。
公式サイトやら公式Xアカウントやらゲーム内シナリオやらでガンガンしつこいぐらいに「この後すぐに何かあるかもよ?(圧)」と注意喚起すべきだった。
後で「あれだけ言ってたでしょ?」と言えるぐらいに。
されど後悔先に立たず。
まさに後の祭り。
今後二度と同じ過ちを繰り返さないことこそが肝要だ。
『あわてんぼうのサンタクロース』はクリスマス前にやって来てしまったが、こちらのサンタは遅れてやって来て失敗してしまった。
「良いお年を!2025年もよろしくね!」
じゃないんだよなあ。
『Fate Project 大晦日TVスペシャル2024』での数々のビッグニュースがなければどんな空気でFGOの2024年は終わっていたことか。
スベるのはソリだけにしてもらいたいものである。
サンタだけに。