ドクターストレンジMoM
初っ端から「あのやり方しかなかったのか?」とストレンジに聞くのはやめてくれ……。ストレンジはタイムストーンを使って何千何万通りの未来を見た上で、あのやり方を選んだ……アイアンマンを犠牲にする覚悟を決めたんだよ……。
別の宇宙のストレンジは、きっと盲目的に「これしか道はない」と突き進んでしまうタイプなんだろうな。ありとあらゆる可能性を模索した上で、選択肢を選ぶのではなくて、「この方法であればきっと成功する!」って視野が狭くなってしまう。だから今回「このスティーブンは違う」だとか「ストレンジはみんな同じね」みたいな言い方をされてしまうんだろうな。
至るところは同じでも、過程が違えば、違う未来が拓ける。それがMCUに生きるストレンジを知らない人にはわからないのかな、と。
鏡や反射というモチーフを使って別の自分、あったかもしれない人生、を何度も何度も克明に描いてくるのが辛すぎた。姿は同じ。でも鏡に映る像は反転していて、違うところもある。似ていても違う。別の存在。別の宇宙。だからスカーレットは母親にはなれない。本当に悲しくて辛くて号泣してしまった……。「必ず愛すると誓うわ」のところで嗚咽をこらえるのに必死でした。
スカーレットが別の宇宙のキャプテンアメリカを殺したのも辛かったし、殺した直後の顔面アップも辛かった……。ここにスティーブがいてくれたならって何度も思ったし、そう思ってしまう自分も嫌だった。いつまでもキャプテンアメリカに頼っていてはいけない、スティーブの強さにすがってはいけないと思うのに、ふとした瞬間に彼を思い出して辛くなる。
キャプテンアメリカがどこにもいないのがとても悲しくて辛かった。ワンダのそばにいてほしかった。どこにもいないことが本当に寂しくて悲しい。
別の人生もあったんじゃないか? と繰り返し問いかけるのはやめてくれ……エンドゲームのスティーブを思い出してしまうから……。
スティーブが最後に誰かのためではなく、自分の幸せを選んでくれたことが本当に嬉しかったけれど、本当に寂しかったんだよ……。幸せになってくれてよかったと思うと同時に、キャプテンアメリカという肩書きは彼からどれだけのものを奪ったんだろう……と泣いていた日を思い出した……。
ストレンジはスティーブとは別の道を選び、進んでいく。大いなる力には大いなる責任が伴う。だから普通の人生ではなく、世界の番人を選ぶ。それはわかる。スティーブとは違う道を往くヒーローがあの宇宙には必要。
でもストレンジだって好きな人と幸せになる権利はあったはず。辛い。
よくよく考えてみると愛する人と最終的に結ばれたのスティーブくらいではないか……。
時計が修理されてストレンジが前に進むことを選べたのが嬉しい。もうとにかく早くスパイダーマンやヴェノエディと合流してほしい。
それにしてもサムライミの映像表現すっごかった……めちゃくちゃ怖かった……マジで……。