システムはどこまでユーザに寄り添うべきか
こんにちは!
BFT名古屋支店・インフラ女子(?)のやまぐちです。
少し前に非対面でチェックイン・チェックアウトができる宿に友人3人と宿泊した際、ユーザの視点に立つべきか、システムの立場で考えるべきか、複雑な気持ちになったお話です。
本音すぎて友人には見せられません笑
ユーザはシステムを信頼しない
無人でチェックイン・チェックアウトなんてこの時代に合ってるね〜なんて言いながら着いた宿。予約した友人がチェックインするために宿に置いてあるiPadを見ながらこう言いました。
「え?予約番号なんて知らないけど」
どうやらチェックインにはiPadに予約番号を入れる必要があるらしい。
メールを確認してもらうように伝えると「〇〇(旅行予約サイト)からは来てるけどその番号は桁数違う」とのこと。予約番号入れろとある以上、それを連絡しない訳はないので迷惑メールも見てもらうように伝えるが、手入力でもチェックインできるようで友人はその情報を入力し始めました。
名前、住所、年齢、体温…iPadで入力し慣れていない彼女は四苦八苦。入力中、宿に電話して予約番号はメールで送ってもらっていること、予約番号がわからないのであれば情報は入力してもらわないと宿泊できないことを伝えられ、もう一度友人にメールを確認してもらうが「ない」との返答。
ようやく友人が情報を入れ終えたと思ったら今度は一緒に泊まる人の情報も同じように入力が必要ということが判明する。ええええええええええ、面倒!!!と思いながらも渋々入れる。住所を入れて身分証明書の写真をアップロードし終えた頃、友人からの「あ、ごめん、迷惑メールに入ってた!」という言葉。
…でしょうね、なんて言えない。予約してもらったし。
だから二回も言ったじゃんか、迷惑メール見てみてって。なんて言えない。
〇〇(旅行予約サイト)からは迷惑メールに入っていなかったんだから入ってるわけないって普通の人は思うのかもしれない…などと心の中で一生懸命フォローしながら「そっか、メール来ててよかったね」と伝える私でした。
でもきっと、顔はひきつってたんだろうな…(泣)
ユーザは「決して」システムを信頼しない
予約番号はメールに記載してあると確認をとった後、友人はこんな風に言っていました。
「メール送れてないんじゃないの?絶対来てないし」
システムのミスよりも人間が気づかないとか迷惑メールに入ってるとかそっちの方が確率は高いんじゃないかなぁ。なんてやんわり伝えると
「でもこの予約だけ送られてない可能性もある!」
「そうだそうだ!」
との2人。うーん、もちろん何らかの障害でメール飛ばないとか考えられるけどなぁ…どうかなぁ…とボソボソ言いながら、心の中では今までそういう経験が友人たちにあったのだろうか、それは果たして本当にシステム側の問題だったのだろうか、もしそうならそれはどのくらいの確率なんだろうかとぼんやり考えていたのです。
人は経験したことが知識になる。リテラシーが低いことでうまくいかなかったことがシステム側の責任と思われてしまうならば、システムを信頼しないのは当たり前だし、やはりリテラシーの低い人にもっとシステムは合わせなければいけないのではないか…もはや現実逃避である。
ちなみに友人は仕事の同僚を「全然パソコン使えなくて何度も聞いてくる」と表現したことがあり、普段の生活の中で自分より高いITリテラシーを持つ人が周りにいないようであった。そのため、最終的にチェックインできた後も、自分でさえ手間取ったのだからお年寄りとかもっと大変なんじゃないか、と言っていた。
それは、確かに、その通りだ。
今後の高齢化社会に向けて、もっとシステムに慣れていない人にフレンドリーな作りにしなければいけない。それに関しては激しく同意する。
初めての非対面チェックインは30分くらいかかって、次は自分が予約しようそうしようと固く心に決めるのに十分な時間だった。
どういう作りであれば、防げた問題なのか
この宿の予約システムはおそらく感染対策として、宿泊客全員の住所、氏名、年齢、電話番号、身分証明書、チェックイン時の体温を記録するのだが、どうやら事前にその情報を入力していれば予約番号とチェックイン時の各々の体温だけで済んだらしい。
ちなみに何通も来ているリマインドメールを確認した友人はこう言った。
「入力してないんだったら、メール見てない可能性もあるんだから電話するとかしてくれればいいのに。不親切だなぁ」
この時ばかりは心の中でシステムに「君は悪くない。むしろ何通もリマインドありがとう」と謝る。
入金されていないならいざ知らず、情報入力しないくらいで電話するならシステム化の意味がなくなる上、このご時世旅行を中止するかもしれないことを想定してギリギリに入れようと思っている人もいるかもしれない中で、電話して逆にクレームになることの方があるのではないかなどと考える。システム寄りになりすぎていないかと不安を抱えながら。
だから考える。どうすればこのモヤモヤな30分は防げたのか。
① 予約完了後に、もう一つの宿専用システムに飛んで情報の入力を促す
2つのシステムがリンクされていれば、予約からの情報入力(できれば情報連携もしていてほしい)がスムーズ
② 宿専用システムのドメインをメジャーなものに変える
実際のメールを見ていないのだが、ドメインが微妙だったから迷惑メールに振り分けられたのだろうという推測。
③ 個人情報は予約者のみに限定
もし感染が疑われた場合でも予約者から辿れるので、一緒に宿泊する人の情報をすべて入力させるのはそもそもどうなのか、というシステムへの提言。
家族6人で泊まるとしても6人分どの項目もコピーできず手入力するのはちょっと骨が折れるし、そもそも個人情報を書きすぎて不安が残る。
また、宿泊するのに身分証明書を要求されるのは初めてだ。何か過去に事件があったのかもしれないが、対面でないことで逆に不信感に襲われた。
何にしても情報入力を1人にしてしまえば時間は短縮できたに違いない。
④ iPadじゃなくてPCを置いておく
iPadって入力しにくいんですよね。ちなみに友人たちはハイフンの出し方がわからず時間がかかっていました。最終的に「はいふん」と入力して変換する、という策で乗り越えた模様(現実逃避して近くにいなかった駄目な私)。
以上!!これ以上はアイディア出ません!!
ユーザとして困らない考え方や行動とは
次に、リテラシーを高めるユーザの行動を考えてみる。
① 初めての非対面チェックインであれば、チェックインの仕方を事前にきちんと確認しておく
これに限る。ちなみに旅行の準備を一週間以上前にするしっかりさんの友人だったので、この行動も期待できる。
② システムを信頼する
これはぜひお願いしたい。もちろんシステムにもバグや障害、ヒューマンエラーだって起こり得るが、人が間違う確率とは比較にならないほど低いし、障害が頻発するシステムなど高いお金を払ってシステム化した意味がない。
これはもはやシステムにかかる費用を一般の人が知らないからなのかもしれない。
自分は間違っていない、と考えるよりも自分の見方・やり方が違うのかもしれない、と考えた方が精神衛生上健康的だし、新しいことも受け入れやすいのではないだろうか。
社会インフラであるITはどうしても障害情報が目立ってしまう。つながって当たり前・できて当たり前、それを維持するのにどれだけ大変だろうとそこは見えない・見せないのがインフラ。
白鳥のように水面下でバタバタもがいていようと優雅に泳いでいるように見せるのがインフラの意地。だから、わかって!とは言わないけども、悪い面ばかり見られて全体的に悪いと印象付けられてしまうのは少し寂しい。
終わりに
何をこんなに長く語ってるのかと自分でも悲しくなるが、それほどショッキングなことだったのだと今更ながら思う。
ちなみに今後は顔認証とかでサクッと登録、楽々チェックイン、お買い物〜♪な世界がやってくるはずなので諸々の問題は解消されると信じている。
・・・新しい問題も起きるだろうけども。
以上、ここまで読んでいただきありがとうございました〜^ ^
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