弘前大学医学部の面接を考える(2025)(あと学科試験復活の話も)
みなさんこんにちは。
お世話になっております、キムラスコラの木村です。国立前期試験、みなさまお疲れ様でした。本当に大変な思いをされたと思います。皆様の努力に頭が下がりません。
さて、きょうは二次試験も終わったので弘前大学医学部の面接について考えたいと思います。おそらくこのnoteに到達する方は弘前大学は再受験、県外、多浪に非常に厳しいと言う噂が立っており、インターネットで調べるとかなりの「口コミ」が書かれていることをご存知かと思います。きょうはそのことについてと、弘前の面接の方針、何が準備できるかを含めて書いていこうと思います。私のリサーチと、在学生や25年受験生の経験も聞きながら書いたものです。いずれ有料公開にしようと思います。
自己紹介
バトルフェイス木村
阪大理系卒、東京慈恵会医科大学在籍
山形大学医学部トップ5で合格
早慶理工や理科大など理工系も合格経験⚪︎
0.そもそも
そもそも弘前大学は面接が厳しいのでしょうか。もちろん開示を見れば県外や多浪生が低くついているような傾向もあるんですが、それを考える際には色々な要因を考える必要があります。まず、本当に理不尽な年齢による差別などをつける大学は存在しうるとは思います(可能性はゼロでは無い)
しかし、筆記試験がすぐれて取れていて、客観的に見て説得力のある志望理由を用意したうえでそれでも理不尽に落とすと言う大学はほぼ存在しないと思います(エクスキューズ重ねですが、可能性はゼロでは無い)
では、弘前で何が起きているのかを考えると
①そもそも弘前大学のAPやパンフレットに「郷土を愛する医師の養成」を掲げている以上、もちろん現実的な話として多少の地元へのリップサービスは存在しうる
ものの、
②弘前大学のAPふくめ方針と合わない志望理由と面接態度を取り、筆記試験の点数も不足している
ケースが多いのではないかなと思います。
まず、弘前に県外や再受験、多浪で本当に弘前大に出願したくてされている方は、申し訳ないですがかなり限られるのではないかなと思います。英数二教科かつボーダーも低く、倍率がついているにもかかわらず足切りのボーダーも著しく低いことから、やはり受験者層のレベルは国立医学部平均に比するとあまり高くないのではないかと推察します。では、そういった受験生が面接試験にどう望むかということを考えていくと、何が起きているのかがわかってくるというような感覚があります。つまり、メタ認知能力に乏しかったり、「弘前は県外に意地悪だから」という他責思考で、面接試験への準備そのものをあまり詰めないようなケースも多少あるのではないかなと思います。
また、筆記試験の出来も気になるところです。確かに弘前大は医学部の問題といえども、2018年以降はかなり平易な問題が並んでいます。…が、そもそも数学なら本番の環境で求値をきっちり全部当てることはそれなりに難しく、英語も自由英作文がこのレベル帯できちんと要求通り書けているかはわかりません。また、自分で「できた」と思うハードルが低い方もそれなりに受けてくるので、そうしたメタ認知の歪みが合成されてこうした弘前は県外、再受験に厳しいという言説ができているのでないかなと思います。もちろんきちんと点数を取っていてしっかりとした志望理由を立てた上で落とされている方も存在しうるのですが、そういう事象はことさら弘前だけで起きるものではないので、弘前を論う必要もまたないかなというのが木村の目線です。
実際に、一般枠では県外出身者も、少数でありながらも再受験生も合格していますから、本当に理不尽な差別が行われている可能性というのは、どうなんでしょう。
ずいぶん弘前大への愛というか、弘前大贔屓のような態度を取りました。しかし、ここできちんと言っておきたいのは、木村としてもそういった不当な差別への疑いがないとは申し上げません。
しかし、弘前を受ける学生さんを見ていると、そもそも地域医療についてざっくりとでも概念を知らない(地域医療を志望理由に立てているのに)総合診療医として働きたいとコピペしただけで、総合診療医が何をするのか知らない、ましてや青森県の医療状況の最低限の知識(絶対的に医師少数であるし、さらに地域偏在がかなり激しいこと、また日本一の短命県、高い喫煙率や塩分の多い生活など)を持たないで行く学生が多く、そういった方は然るべき対応をされているような気もします。現役の高校生ならいざ知らずですが。
もちろん東北大学や山形大学を筆頭に、地域医療のチの字も知らなくても通してくれる大学はあるわけですが、それはそれとして、仮に弘前大学が最低限の知識や態度、メタ認知能力を求めているのであれば、それはそれでreasonableな大学としての態度でないかなと思います。もとより弘前大学はひろくいろんな属性を2016年ごろまでは取っていたわけです。
1.面接の形式とキモと思われるところ
面接は15-20分で、3人の先生が面接官としていらっしゃるようです。交代交代で質問していき、3人の質問の雰囲気はバラけるようです。(バラけず、終始和やか、あるいは終始厳しい態度で終わることもあり)
様々な情報を統合した結果、面接の勘所というか急所は
①自分の言葉で語っているかどうか
②礼儀正しさ、身嗜みといった社会の基本的なマナー
③弘前大学へのリスペクト
の3点に集約されると感じました。地域医療への興味、青森県に残留し総合診療で働く意思表示より、余程こういった人としての大前提を重視しているのでないかと考えます。
頻出の質問
弘前大学医学部医学科の面接では、以下のような質問が頻繁に行われています。
自己推薦書の内容について
高校での総合学習について
弘前大学を志望した理由
成績が悪かった科目とその理由
県外の大学への志望はなかったか
青森の医療の課題についての考えと、
自身ができること
弘前大学に入学して自慢できることはなにか
地域医療とは何か
AO 入試を受験しなかった理由
浪人した理由と自己分析
座右の銘
浪人して学んだこと
大学でやりたいこと
将来青森で働く意思
センター試験(共通テスト)の得点
具体的な将来の目標
部活動について
大学でも部活動を続けるか
面接では、高校時代の活動や青森県の医療への貢献意識などが重視される傾向があります。普段から志望理由や将来の目標を明確にし、青森への貢献意識を持って面接に臨むことが重要です。特に「なぜ弘前大学か」「青森に残る意思」など、地域へのコミットメントが問われる傾向があります。この4行はGPTが書きよりました。まったく当たり前。どれも地方国立医学部を受験するならば基本的な内容です。上のうち、必ず聞かれる質問が二つあります。いつかまたまとめて書きます。(DMで聞いてもらっても可)
なお、再受験生なら以降のポイントに注意してください。
1. なぜ医学部再受験にいたったのか(簡潔に説明できるように、超重要)
2. なぜ医学部でなければならないのか
3. もともとどういう仕事(研究・勉強)をしていたのか
4. なぜ弘前大学なのか
5. 診療科に関して、総合診療・地域医療に本当に興味があるのか、なければどういう診療科で働きたいのか、なぜそのために弘前に来たのか
6. 現役の高校生や、若い既卒生とうまくやれるのか
7. なぜ編入でないのか
8.再受験で入るからこそできること
詳細はまた別のnoteで書きます。
3. 弘前大学そのものについて
■医学部の理念
1. 人間の尊厳を希求し、医学の発展の一翼を担います。
2. 豊かな人間性と高度の医学知識に富み、求められる社会的役割を的確に果たすことができ、広い視野と柔軟な思考力をもつ医師、医学研究者を養成します。
3. 科学の進歩と専門性を生かした国際水準の基礎的、応用的な医学研究を推進します。
4. 国際的視点に立った高度で先端的な医療と健康増進を、地域社会と連携しながら実践します。
医学部医学科では、以下のような目的を定めています。
1. 豊かな人間性と高度の医学知識に富み,広い視野と柔軟な思考力をもって社会的役割を的確 に果たすことができる医師及び医学研究者を養成する。
2. 常に進歩を続ける医学を効果的に教育するためのカリキュラムを整備し,具体的な到達目標を明示することによって,学生が自主的に学習できるような教育を行う。
3. 明確な目的意識と使命感を持った医師及び医学研究者を養成するために,学生が深く真理を探究し,人間性と社会性を高めることのできる教育を行う。
4. 国際水準の基礎的,かつ応用的な医学研究を推進するとともに,高度で先端的な医療を地域社会と連携して実践する。
基本的には上から重要な順番ととらえるのが自然です。弘前大学は確かに地域医療を非常にプッシュしている大学ですが、と同時に医学研究にもプライオリティがあることを確認してください。弘前大学は東北に次ぐ長い伝統と歴史があることを、先生がたは非常に誇りに思っています。地域医療色、総合診療色一辺倒にならないよう慎重に、注意してください。
■医学部長 石橋先生ご挨拶要約
歴史と地域貢献
• 1944 年に青森医学専門学校として開校し、戦後弘前市に移転。
• 東北地方で 2 番目に古い国立医学部で、多くの医師を輩出。
• 青森県を中心に秋田県北部や北海道南部を含めた地域医療を支える。
教育の特色
• 地域医療志向:1 年次からの早期臨床実習、地域医療入門、へき地医療実習など、
地域密着型の医療教育を実施。
• 社会の変化への対応:医療倫理、医療安全学、被ばく医療などの授業を導入。
• リサーチマインドの育成:3 年次に研究室に所属し、マンツーマンで研究指導を受けることができる。
研究・医療の拠点
• 岩木健康増進プロジェクト:住民の健康データを活用し、短命県返上を目指す。
• 医学部附属病院:青森県唯一の特定機能病院として高度医療を提供。
• 被ばく医療:原子力災害医療の拠点として、東北・北海道の医療支援を担う。
グローバルと地域の融合
• 「世界に発信し、地域と共に創造する」を理念とし、地域医療と国際的な医療研究の両立を目指す。
弘前の環境
• 文化・歴史が豊かで、四季折々の祭りや自然を楽しめる学習環境
弘前大学については、たしかにいずれも地方国立らしい説明ですが、青森の地にあっても国際性も重視していることと、そして弘前についてわざわざ医学部のページを割いて書いているわけですが、弘前を気に入るか、愛せるかという視点も重要だということがわかります。「郷土を愛する医師の養成」とパンフレットに書く大学です。メッセージをとりましょう。
■アドミッションポリシー系
①AP
・医学教育を受けるに十分な素養で,入学後に修める教養教育と専門教育の基礎となる学力
・他人を思いやるやさしさと社会性を持ちながら,高度で先端的な医療を地域社会と連携しながら実践してゆく行動力
・生涯にわたり医師として医療・医学に貢献したいという明確な目的を持ち,何事にも前向きに取り組み,知的・人格的に成長していこうとする意欲
②入学志願者に求める学習の取組
・医学を修めるために,理系科目だけでなく,英語や文系科目もしっかりと履修し,応用力を 伴った総合的学力を身につけておくことが必要です。
・将来,様々な医療職と連携し,多様なニーズに対応できる医療を実践するためには,コミュニケーション能力と協調性を身につけておくことが必要です。
・医学・医療を取り巻く社会問題や地域の動向に関心を持ち,自ら積極的に学ぶ姿勢を身につけておくことが必要です。
自分が凄いというアピールではなく、協調性を重要視し、若い現役の地元、あるいは東日本の学生たちと足並みをそろえて医学を謙虚に学習できるという指針を見せることが肝要と考えます。また、大前提ですが地域のために働きたいと考える、やさしい人材であることを示すことも必要だと思います。同時に、地域医療一辺倒ではなく、なにかしら受験生の身にあっても医療の状況やニュース、テーマに興味関心があり、前向きな方が求められていることがわかります。
■弘前大学医学部の教育
「本学の医学教育の特色は、地域枠学生数と地域医療教育である。…地域医療に関連した授業科目が各学年に設定されており、地域医療入門(2 年次)、社会医学実習(3 年次)、へき地医療実習(6 年次)などが代表的な授業である。地域医療入門の授業では、青森県の保健医療システムや疾病構造、地域における災害医療、自殺対策、国際医療について学び、将来医師として取り組むべき地域医療の課題と対策について能動的に学修している。社会医学実習では、前述の本学を代表する大規模な地域健診研究事業「岩木健康増進プロジェクト」に医学生が参加し、住民と接しながら地域保健活動の実際を学んでいる。6 年次のクリニカルクラークシップ II では 4 週間のへき地医療実習が義務付けられ、定められたへき地医療実習病院の内から一つを選んで実習する形式をとっている。」
https://www.chnmsj.jp/chiikiiryou_torikumi_series3/chiikiiryou_torikum
i_series3_25.html
「令和 4 年度には本学は、文部科学省が公募した大学教育再生戦略推進費「ポストコロナ
時代の医療人材養成 拠点形成事業」の全国 11 拠点のうち一つに、北海道東北地方から唯一選定された。本学の事業は「多職種連携と DX 技術で融合した北東北が創出する地域医療教育コモンズ」と題し、本学医学部、秋田大学医学部で拠点を形成し、これに加えて弘前市内の医療系学部を有する弘前学院大学及び弘前医療福祉大学を協力校としているのが特徴である。4 校が連携し、多職種連携教育を基盤とした総合的に患者・地域住民を
診る資質・能力を持つ医療者教育により持続 可能な地域医療共同体を北東北に構築する
ことを目的としている。秋田大学とは医学教育に特化した連携により、デジタルオンデマンド教材を開発し、将来的には両校での共有を計画している。また、5 年生を対象とした遠隔シミュレーション教育のトライアルも開始している。本学内での本事業のキックオフとして医学部保健学科との連携を強化し、従来から医学科1 年生に実施していた早期医療体験実習を、令和 5 年度から保健学科看護学専攻の学生と合同で実施することを開始し、医学生と看護学生が少人数チームとなり病棟実習を実施している。また、4 年次には医学科の全学生と保健学科看護学生有志学生とによる医療安全チームビルドワークショップ、さらには医療系多職種連携合同演習と称し、本学と医学科と保健学科の学生に加えて、弘前学院大学及び弘前医療福祉大学の有志学生による小グループワークシップなどを実践している。
本事業では早期からの地域防災・災害医療教育の実装のために、令和4年度に設置された災害・被ばく医療教育センターを中心とし教養教育に防災科学・災害医学等で構成される防災教育プログラムを構築し、本年の医学科 1 年次全学生が履修している。このプログラムの特徴は履修により「防災士」の受験資格が得られることにあり、5・6 年次の青森県各地でクリニカルクラークシップ実習をした際に「防災」という観点で地域を捉え、地域防災のリーダーシップ教育の基盤形成の意義も備えている」
■国際教育
「将来的に複数の SDGs(持続可能な開発目標)、とりわけ SDG3「すべての人に健康と
福祉を」への貢献を見据え、日本国内にとどまらず、アジア諸国を中心とした世界への展開を目指しています。すでにベトナムでの展開を開始し、現地の健康医療関係の行政機関や大学等研究機関、日系企業などの訪問調査を実施、独立行政法人国際協力機構JICAの「草の根技術協力事業(草の根協力支援型)」の事業として採択され、2023
年 7 月にはハイフォン市疾病管理センターの医師を招聘し、「QOL 健診」の研修も実施し
ています。将来的にはここで得た知見をもとに、周辺の開発途上国などにも普及展開していくことを目指しています。」
文中の展開とは、岩木健康プロジェクトで実施されている「QOL 健診」の展開のこと。
■弘前大学医学部の研究
・弘前大病院で青森県内初のがん光免疫療法
https://mutsushimpo.com/news/fb0zfb83/
「弘前大学医学部附属病院で18日、県内で初めて、がん細胞にくっつく抗体薬とレーザー
光で同細胞だけを破壊する「アルミノックス治療(光免疫療法)」が行われた。口腔(こうく
う)がんの患者に対しての治療は東北初。担当した同大大学院医学研究科歯科口腔外科学
講座の小林恒教授は治療を受けた患者(60代男性)の状態が安定しているとした上で、
「1カ月くらいで腫瘍が懐死(えし)していき、新しい組織が置換されていくことが予想され
る」とした。アルミノックス治療は、米国立衛生研究所の小林久隆主任研究員が開発したが
ん光免疫療法を基に、世界に先駆け楽天グループ(本社東京都)の関連会社「楽天メディカ
ル」(本社米カリフォルニア州)が薬剤、機器といった治療システムを完成させた。切除がで
きない局所進行性、または局所再発の患者が対象。」
・世界初!がん幹細胞の考慮により臨床の放射線治療効果の予測に成功
https://www.hirosaki-u.ac.jp/topics/83323/
• 基礎細胞実験で扱われる均質な培養細胞と放射線による殺傷効果の関係は、数学
的予測モデルにより表現することが可能だが、体内のがん組織は不均質な細胞集
団であるため、患者さんの治療効果予測に応用することが不可能です(下図)。
• 本研究では、不均質性をもたらす原因であるがん幹細胞の定量的な測定法を利用
し、その割合を考慮した新たな予測モデルを開発することで、細胞実験で得られる
がん細胞の殺傷効果と患者さんの治療成績を同時に再現することに世界で初め
て成功しました(下図)。
• 今回は、肺がんの放射線治療効果についてのみ検討したが、今後は、様々ながん
組織への応用や、がん幹細胞の含まれる割合が異なる患者さんに合わせたオーダ
ーメイド治療への発展も期待されます。
・CT 検査の先駆け
・血便の検査方法の確立
・社会医学の総本山
青森の社会医学の先駆者である中路重之先生のもとで社会医学について詳しく勉強できます。『岩木健康増進プロジェクト』では、ビッグデータの研究解析で病気を未然に防ぎ、青森から世界に予防医学を広めていこうとしています。この取り組みは弘前大でしか学べないと思えるでしょう。また、大学と学生が連携し、積極的に(ヒロマガ等)情報発信しています。地域貢献できる大学です。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/atv/1692251?display=1
「弘前大学の「健康に関するビッグデータ活用」の研究が国の事業に採択 今後 5 年間で
最大 55 億円の支援「世界で唯一のビッグデータになる可能性を秘めている」
・弘大大学院は一つに統合「幸福」研究拠点に
「弘前大学(青森県弘前市)は 27 日、現在全部で八つある大学院の研究科を 7~8 年後
に一つに統合する構想を発表した。統合後の名称(仮称)は「グローバル ウェルビーイング
研究科」。大学院医学研究科を中心に進めてきたウェルビーイング(=Well-being、幸
福)研究を文系・理系の全ての分野に広げ、持続可能な開発目標(SDGs)の次の国際目標
になるとの見方もあるウェルビーイングの世界的研究拠点を目指す。」
青森の地からポスト
SDGs的な立場である well-being の研究を、国際的・学際的に行っている。長い伝統がありながら、進取の気質があって魅力的かも。
https://coi.hirosaki-u.ac.jp/overview1/
「健康を基軸に、地域の人々を健康にする魅力的な産業を創出することによって経済発展
し、全世代の人々が生きがいをもって働き続けることができ、心身共に QOL の高い状態
での健康寿命を延伸する、well-being な地域社会モデルの実現を目指します。…世界で唯一無二の超多項目ビッグデータと強固な社会連携基盤を有する「弘前(HIROSAKI)」を、ヘルスケア(健康・予防)領域で革新的なチャレンジを目指す多様な企業・ベンチャー企業・大学・研究機関等が集結する世界最先端の一大健康(予防医学)研究拠点・プラットフォームへ発展させて参ります。」
↑マジで弘前大が自分でめちゃくちゃ押してるん
で、これは使えます。
★岩木健康増進プロジェクト
「日本は超高齢化社会を迎え、高齢者における健康増進および医療費の削減が社会的課
題となっています。なかでも、もっとも寿命の短い青森県は、日本で最も多くの健康・医療課題を抱えた地域であり、加齢性疾患および生活習慣病により県民の健康は大きく損なわれています。
この様な状況の中で、弘前大学・弘前市・青森県総合健診センターは、短命県返上を目的に、平成 17 年から弘前市(岩木地区)において岩木健康増進プロジェクトを立ち上げ、19 年にわたり、同地区住民を対象に健康状態の現状とその問題点を詳細に調査し、健康指導など住民の健康増進活動を実施してきました。
本プロジェクトは、教育・研究・実践の拠点で地域住民を軸に医学・健康に関係する多職
種が集うプラットフォームでもあります。」
https://coi.hirosaki-u.ac.jp/iwaki_pj/
■青森県の医療状況
https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/iryo/files/hokeniryoukei
kaku_1_4_gaikyou.pdf
https://inomori-aomori.info/info/p02
https://www.city.aomori.aomori.jp/_res/projects/default_project/_pag
e_/001/003/300/07_arikata01_shiryo2.pdf
○人口減少や少子・高齢化が進行しており、令和5年4月現在で 120 万人を下回る
○主要死因は老衰が増加
○平均寿命は、男女ともに全国最下位(令和2年)
○健康寿命は、男性 42 位、女性 13 位(令和元年)
〇県自殺死亡率(人口10万人対)高め
⇒非常に短命県として青森県は有名です。また、非常に厳しい少子高齢化が進行していま
す。
○病床数は、病院 16,334 床、診療所 1,607 床で、人口 10 万対で比較すると全国
を上回る
○保健師、看護師及び准看護師は、人口 10 万対で比較すると全国を上回る
○医師、歯科医師、薬剤師及び助産師は、人口 10 万対で比較すると全国を下回る
市町村の開設が、全国 7.3%に対して、本県は 24.4%と多いのが特徴 となっていま
す。つまり、公主導の医療政策が進んでいるということです。へき地、救急・災害、周産期
など民間医療機関が 参入しづらい不採算・特殊部門での中核的な役割を担っています。
医師そのものは不足しています。医師は人口 10 万人にたいして 210 人程度で、埼玉・茨
城・千葉・新潟などと比べるとまだ多いが、全国七番目に少ないので非常に厳しい。
【短命の理由】
「その原因 はいわゆる 3 大 成人病 による死亡率が高いためで あるが,そ のうち心臓病,脳 卒中の循環系疾患が 特に高い。 そのため,短 命県返上のためには循環 系疾患の対策が極めて重要」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcdp1974/31/2/31_2_107/_pdf#:
~:text=%E9%9D%92%E6%A3%AE%E7%9C%8C%E3%81%AF%E5%B
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「短命の原因は社会の総合力と前回は結論しました。今回はその詳細についてお話しします。 ずば
りお聞きします。どうして青森県は日本一の短命県なんでしょうか? 私はこれまでこの質 問を何
回も受けてきましたし、投げかけてきました。 様々な答えがありますが、具体的には以下のようです。①塩分摂取過多、②高い喫煙率、③運動 不足、④雪、⑤低い県民所得、⑥医師不足、⑦高血圧・糖尿病の人が多い、など。 その答えのほとんどが間違いではありません。しかし、どの答えも全体を言い表してはいませ ん。 答えは総合力です。長野が明らかに悪いのは塩だけであります。青森が悪いのは、塩プラス多量 飲酒、それから、肥満、運動不足、喫煙。そのほかにもあります。健康診断の受診率は全国的にみ ると高くありません。がんの患者が医師からがんと診断されたときにすでに進行した例が多い。ま た、糖尿病の進んだ例が多く、ちゃんと通院していないことがうかがわれます。以上のことはすべ て数字が示しています(表参照)。 総合力を分かりやすく説明します。我々が中学生のときに、国語、英語、数学、理科、社会と受 けて総合点で順位が発表されていましたけれども、長野の場合は、英語は苦手だけどもほかは 100 点をとっているから一番になれる、ということです。この総合力を反映したのが平均寿命であると 私は思っています。だから、問題の根は深いし広い。解決は簡単ではないのです。 短命県返上のためにはやるべきことは簡単に説明できます。たとえば、喫煙率を下げ、運動をし て、多量飲酒を慎めばいいのです。 しかし、それを実行することは簡単ではありません。いや、超のつく難問です。どうしてでしょ うか? 氷山を思い浮かべてください。海面に突き出た氷山は全体の 1 割で、大部分は海中に存在しま す。それと同じ。で、喫煙などの生活習慣、健診・病院受診は海上の 1 割を見ているだけなのです。 その基盤(海中)には、より多くの巨大な理由が隠されています。つまり、そこには、文化、教 育、経済、気候などの社会の大問題が横たわっていて、その部分に手を突っ込まないと海上の一割 すら解決できないのです。」
★地域別
津軽・八戸・青森では患者流入率が流出率を大きく超えているが、西北五、上十三、下北で
は非常に偏っている。つまり、地域別の偏在が激しいことが大変よくわかる。
■弘前大学医学部の面接を受けるうえで結局重要なこと
面接基本事項(医師志望理由、医学部志望理由…)に加えて、弘前大学医学部について地域医療以外の側面も理解しているか、青森県の医療状況について理解しているか、青森県の文化についてなにか知っているかということと、しっかり周りと合わせて学習して進級できるか、郷土(青森)を愛し、良い医師になれるかということが伝わるかが大事なのかなと思います。そしてなによりも、自分の言葉で話せるかどうか、です。