抱っこ紐、一つ買えばずっと使える!の落とし穴🕳
はじめに
こんにちは! 抱っこについて国際的なレベルでの共通見解(解剖学、理学、医学、社会学、動物行動学などの多くの視点からの総合的見解)を学んだ専門家、BFCS(ベビーウェアリングファミリーコンサルティングサポート)のかとうです☺︎
赤ちゃんを迎えたらほとんどの人が使う抱っこ紐には、実は落とし穴がいっぱい!買ってみたけれど使えなくてお蔵入り、使い方がわからず赤ちゃんにも自分にも危険な状態を知らずに使い続けている、ネット上で良質な情報に出会えない、などの現状があるんです。
BFCSでは、養育者や子育て支援、医療従事者にベビーウェアリングを伝えてきた経験、さまざまな抱っこ紐メーカーさんとのお仕事経験、抱っこ紐関連の雑誌企画協力などの経験から、抱っこと抱っこ紐の”ホント”をお伝えしていきます😃
さて、今回のテーマはこちら!
抱っこ紐、一つ買えばずっと使える!の落とし穴🕳
近年、抱っこ紐の価格が上がり続けています。
3万円近くするものもあり、その金額の数字だけを思ったときに、「できるだけ長く使いたい」と思うのが人の心理ではないかと思います。
それだけはなくて、実際に「生まれてすぐからずっと使える」ということを押し出した商品もたくさん。
それでは実際に、ひとつ買えばずっと使えるのか、考えてみましょう😎☝️
多くの抱っこ紐の仕様に見られる”使い始め”の目安。
生後14日、生後1ヶ月、体重3500g以上、身長55cm以上など、実は生まれてすぐからずっと使える、とうたっている商品でも使い始め時期を明記していることがほとんどです。
なぜ、14日なのか、なぜ1ヶ月なのか、なぜ身長体重を目安にしているのでしょう?
みなさんは、生まれてからすぐに立ち上がることができる哺乳類の動物を知っていますか?
馬やキリン、象などの哺乳類。
では、非常に未熟な状態で生まれる哺乳類はどうでしょう?
(この写真はイーンです!かみかみか写真展さんブログからお借りしました。)
犬や猫、ウサギやネズミなどの哺乳類。
人間を、哺乳類のヒトとして考えた時、赤ちゃんはこれほどまでは未熟ではありませんが、自分で歩行をするようになるまでおよそ1年かかりますね。
私たち人間やサルなどの霊長類は「子が親に抱きつき、また親も子を抱く能力がある動物」ということが動物行動学でわかっています。
さらに人間は、生まれてすぐの時期は”第4の妊娠期(第4トリメスター)”と言われ、重力下の環境に慣れる期間を過ごします。
重力の中で、身体を思うように動かせない時期、重力には慣れてきたけれど、身体を思うようにはコントロールできない時期、
首が座り、肩甲骨が動かせるようになり、背中の筋肉も発達し、骨盤を思うように動かせるようになり、、
赤ちゃんって、とにかく日々、すごい発達をしています。赤ちゃんすごい!人間ってすごいんです。
そうそう、生まれて数ヶ月は、右脳と左脳を繋ぐ脳梁も未発達なので、交差する動き、というのもできません。自分の体の正中線を超えた動き、たとえば右手で左側のものをとる、とかね。
赤ちゃんが手を伸ばしておもちゃを取る。その動き一つ、ものすごい発達を遂げた証なのです。
できるようになってしまえば、できなかった頃のことはすぐに忘れてしまうけれど、今私たちが生まれたての赤ちゃんになってみたら、ものすごい不自由を感じることでしょう。
長くなってきましたが、何が言いたいかというと、、1ヶ月ごと、1日ごとに変化していく赤ちゃんは、発達段階ごとに”違う生き物”と思ってもいいくらいの違いがあります。
そして、その発達段階によって、抱っこをする時に身体のどこを支えてあげるとより発達に良いのか、逆に良くないのかも違います。
腰抱き、前向き抱っこ、おんぶなどの様々な抱き方も、発達段階によって適切な時期や方法があることがわかっています。
こんなにも変化する赤ちゃんを、ひとつの同じ抱っこ紐でずっと適切に抱き続けることって、本当にできるのでしょうか?
単純にサイズだけで考えてみましょう。
最近では、新生児の赤ちゃんから使えるように、抱っこ紐のサイズ感の調整ができる道具が増えてきていますが、「調整ができる=調整の幅には限界がある」ということです。
一番小さく調整しても抱っこ紐の方が大きくて、未熟な赤ちゃんの身体を適切に抱くことができないことはよくあること。
産後に使うために準備してみたものの、赤ちゃんが成長するまで使えなかった、という経験談もたくさん。
3500g以上、10日以上、などという目安が叶えば抱っこ紐の形に対し赤ちゃんを抱いても安全だ、という目安なわけですが、実はこの目安を満たしていたとしても、形が決まった道具に目の前の我が子の体格が合わないことも多いのがホントのところです。
そして、体格やサイズは合っていたとしても適切に使えなければ”安全”は叶いません。
逆に、数ヶ月、1年と経っていくと、一番大きく調整しても赤ちゃんの方が大きくなってしまい、これまた適切な方法で抱っこできないこともあります。
たとえ抱っこ紐自体の対荷重は20kgだとしても、20kg以下の赤ちゃんを”適切に抱けるかどうか”は別問題なのです。
つまり。ひとつの道具をずっと使えるかどうか、それは”ケースバイケース”。
サイズの調整幅があり、様々な抱き方に対応していれば、調整ができず一通りの抱き方しかできない道具よりは使える場面は多くなることは確かではありますが、目の前の赤ちゃんの今の発達段階にとって適切な方法ができるかどうかは、その都度考える必要があります。
そして、全ての発達段階において安全に、大人の身体にとっても負担がより少なくなるような状態でずっと適切に使える道具は、ないことはありませんが、かなり限られます。
抱っこ紐は靴のように・・・
成長と共に買い替えて、雨が降ったら長靴で、夏になったらビーチサンダル、運動する時はスニーカー、フォーマルな時にはローファー。
当たり前のように使い分けている靴のように、抱っこ紐も発達や必要な方法に合わせて使い分ける、目の前の赤ちゃんの発達に合わせて抱き方も変えていく。合った道具を選んで適切に使うだけで、日々の抱っこが変わります。赤ちゃんのぐずりがへったり、パパの寝かしつけが成功したりもしますよ♪
抱っこ紐は靴のように使い分ける。そんな新しい価値観が、子育てを変えていくかもしれません。
それでもやっぱり、一つの道具を長く使いたい!道具を変えるのではなく、同じ道具の使い方を買えて対応していきたい!という方には、そういった道具もあります👍
自分たちの価値観に合うモノ選びで快適な子育て生活を送りませんか^^
適切な道具を選べば、赤ちゃんの心身の健康にも良く、大人の身体の負担も減って楽になる!
もっと具体的に知りたい方はぜひご相談ください☺︎
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