◆取引先との駆け引き◆ vol.035 2015/7/28
多くの中小企業は特定の“上得意様”との取引があって事業が成り立っています。
特に自動車関連の製造業は、大企業との取引があることで事業が成り立つ。その得意先とうまく付き合うことが事業の持続性を確保できるたった一つの道、といえます。
このような状況下で、もし上得意から値下げ交渉があった時どのように対応するのか。要求に応じざるを得ないという弱者の対応から、言われるがままになりがちです。最悪のケースでは、赤字の取引となってもこの要求案件を取らなければ存続できない、ということもあるでしょう。
この場合、企業として打てる手は
①販路を開拓して新たな得意先を見つける = 売上UP
②コストダウンのための施策を打つ = 経費削減
といったことはありますが、容易なことでなく現実には難しいと言えます。
しかし、もう少しできること考えたい、というのが本日のテーマです。得意先が圧倒的に強い立場であったとしても、取引している相手が「何に興味があるのか」、「本当に価格だけなのか」ということ探ります。
読者の皆さん自身がテレビを購入したいと思い、家電量販店に行った場合を想像してください。本当に価格だけで選んでいるでしょうか。大きさや画面の映り、デザイン、ブランド、といった様々な要因があって、その上で価格を見て、それに見合うものであれば購入していると思います。
一番価格が安いから、という理由だけでは商品を選んでないこと思います。
得意先との取引でも実は同じことが起きていると考えられます。
強い値下げ要求があった場合には、次の点を検討しましょう。
①担当者の思惑は何かを知る
・本当に価格だけがトピックスなのか?
・性能、機能、スペックで実は自社製品しか選択がないのではないか?
②競合他社はどういう価格を掲示しているか
・探れる範囲で他社動向を掴み、競合の価格を調査します。
・実は競合も苦しんでいるのであれば、協働することを探るのも一つですお互いが疲弊する戦いを避けるためです。
・協働できず、真っ向から戦う必要がある場合、如何に優位性を得意先に説明できるか、というのもポイントです。
③これまでの経緯を見直す
・値下げ要求を受けていれば、ずっと受け続けているから追加の値下げ要求が来ているとも考えられます。そこで、過去の値下げ要求を受けてきた履歴を洗い出し、自社の負担額を算出し、これだけ得意先に貢献してきた、ということを説明します。
・度重なる値下げ要求の中で、自社のやってきた努力を説明しますもちろん納得はしてもらえないとは思いますが、話を逸らす意味でも必要なことです。
もちろん上述の通りにいかないことも多いでしょう。
しかし、多くの中小企業でできていないことに「情報収集」があります。
例えば、得意先担当者やその上司が会社から与えられているミッションや趣味・趣向といった個人の特性などの情報。得意先が所属している組合や団体、その団体等の目的や会合頻度など、ご存知でしょうか?
そういった小さな情報収集の積み上げからコアな情報に当たります。
こういった準備から、上得意を失うようなリスクを回避できると考えす。
◆執筆者紹介◆山本広高 (BFCA経営財務支援協会 取締役)
群馬大学工学部大学院卒業後渡米し、フロリダ国際大学にてMBA取得。
外資系コンサルティング会社にてERP導入などITコンサルティングに従事。
退職後、経営財務支援協会取締役、株式会社THINCESS代表取締役に就任。
大企業から中小零細企業まで規模、業種を問わず、事業計画策定や、
サービス開発のプロジェクトに携わっている。
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