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拝啓、生まれてしまった命たちへ。 〜ボカロP愛天下一武闘会2023春 セトリ解説〜
※サムネイルはニコニコ動画版『ブレス・ユア・ブレス』より引用しています
はじめに
初めましての方は初めまして、そうではない方は年末ぶり。B,F(@BigBigfriend333)と申します。普段はボカロリスナーとして全曲チェックをしたり、曲紹介配信をしたり、ボカクラでDJをしたり、曲レビュー記事を執筆したりと、ありがたいことに色々と活動をさせて頂いている者です。
今回のお話は、私が長年温め続けてグズグズに腐った、とあるボカロPへの愛憎に対して、やっとケリをつけることができた。そんなお話です。
つまりクソデカ激重感情殴り書きnoteってことだから、
振り落とされないよう注意してくれよな!!!
ボカロP愛天下一武闘会2023春とは?
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『ボカロP愛天下一武闘会2023春』とは、96ZUMMER(@96ZUMMER)さん主催の、先日04/08に恵比寿で開催されたボカクラです。
1DJ・1ボカロP、しかもエントリー制という、どう足掻いてもクソデカ感情のぶつけ合いになる未来しか見えない、そんな激アツイベントです。
改めまして、P愛お疲れ様でした!!!
各DJの、各ボカロPに対するクソデカ感情を全身に浴びることができて、そして私の愛憎に対して折り合いをつけることができて、本当に最高のイベントでした……。
また絶対エントリーさせて頂くので、対戦よろしくお願いします。
さて、そんなお祭りにDJとして参加した私は、一体誰を担当したのか。
そう、『和田たけあき(くらげP)』です。
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いや〜〜〜、なにこのアンセム祭り!?
普段私のDJを聴いてくださっている方はお分かりかとは思いますが、実は私、全然こういうDJしないんですよね。
得意なBPM帯は80〜120だし、アンセムより私の好み最優先だしで、マジで普段とは正反対のセットリストを組みました。
勿論、普段通りにやろうと思えば全然出来たんですが、皆が聴きたい『和田たけあき(くらげP)』オンリーDJってそうじゃないじゃないですか。『くらげP』オンリーじゃないんだから。
もうお分かりですね?そうなんです。
私は『くらげP』を愛しています、
そして同時に『和田たけあき』を憎んでいました。
『未成年』だった私と、『くらげP』を辞めた『和田たけあき』
彼が『くらげP』ではなく、『和田たけあき』になってから、もう7年という月日が流れたんですね。
2016年の私は未成年で、受験生で、不安定で。今振り返ると本当に視野の狭い、ただの子供でした。当時は狭義のリスナー界隈ができたばかりで、6年もの歳月を注ぎ込んだ演劇から身を引いた私には、VOCALOIDが何よりも大きな心の支えでした。
私はいわゆる毒親育ちで、健全とは言えない家庭環境で育った人間です。幸い友人関係には恵まれましたが、家族や親戚、部活の顧問など、信頼できる大人には中々出会えなかった。それ故に物語や音楽など、創作物に救いを求め、細い細い綱渡りを繰り返していた、非力な子供でした。
そんな私の救いになっていたボカロPの1人が、くらげPでした。彼の紡ぐ音楽は温かくて、優しくて、そして寂しくて。確かにそこにある痛みを知っている、そしてそっと寄り添ってくれる、そういう作品達だったんです。
2014年に『それは、いいことだよ』で出会ってから、2年間。彼の作品を遡り、新曲も余すことなく聴きました。『さいごのよるのきりん』は、もしレコードだったならば擦り切れるほど聴いたし、『さよならはだれのせい』は、私がシューゲイザーというジャンルを好きになった1要因でもあります。
『わたしのアール』が10万再生を突破した時は、我が事のように嬉しかった。嬉しくて嬉しくて、泣いてしまったほどに。
そうやって私はずっと、彼の曲を聴く度に勝手に救われて、年月を歩んでいました。そう、あの日が来るまでは。
今までも彼は、似たタイプの作品を何曲か投稿していました。今まで通り、その筈なのに。私はこの時、とてつもなく嫌な予感がしました。
何かが、そう何かが今までとは決定的に違うのです。そしてその予感は、的中してしまいました。
あの日、私の愛した『くらげP』は死に、
見知らぬ『和田たけあき』という人間が生まれました。
いや、本当はきっと、出会った時には既に。
もう本当に、当時の私は心をグッチャグチャに掻き乱されました。大好きな作家の、実質的な死を、到底受け入れられなかった。負の感情が渦巻いて嘔吐いてしまうような、そんな日々の始まりでした。世間で彼が称賛され、新しく投稿された曲が評価されていく度に、身が引き裂かれるような気分になってしまいました。
なんとも身勝手で、情けなくて、青臭い。お手本のような愛情の裏返りですね。
それでも私は彼の曲を聴き続けました、もう執念ですここまで来ると。リスナー仲間に愚痴り散らかし、歯軋りしながら聴いていました、ガチで。
2018年に1stメジャーアルバムであり、そして『くらげP』という名乗りが使われた最後の作品『わたしの未成年観測』がリリースされた際には、まだ『和田たけあき』と名乗っていなかった筈の、『それは、いいことだよ』『わすれんぼう』『わたしのアール』までもが、『和田たけあき』の作品として収録・セルフオマージュされていたことに、言い知れぬ怒りを覚えていました。
それと同時に、「未成年だった」なんて言ってくれるな、そんな言葉で済まさないでくれ。私を、まだ未成年の私たちを置いていかないでくれ!
……なんて、その年に成人を迎える私は思ったものです。
しかし、2017年の初音ミク10周年特集『初音ミクの10年 〜彼女が見せた新しい景色〜』や、マジカルミライ2019特集のインタビュー記事、『わたしの未成年観測』初回限定版コミック記載の、ご本人による楽曲解説を読まれている方はお察しでしょうが、結果的に上記の怒りは、完全に見当違いのものでした。
と言うのも、あの3曲は既にご本人の中で『和田たけあき』として生み出された作品だったのですから……。
出会った時には既に好きな人が死んでいたなんて、
それ何ていう名前の地獄???
このジェットコースターのような感情のうねりの果てに、私はある種の悟りに辿り着きました。諦めとも言います。
だって出会った時にはもう死んでいて、生まれ変わった姿が本当の自分だと言うのならば、仕方ないじゃないか。何も言えないじゃん。何なら私が最初に好きになったのって生まれ変わった方じゃん、はい俺の負け〜〜〜!!!
因みに『トラッシュ・アンド・トラッシュ!』や『ひとごろしのバケモノ』は厳選マイリストに入っていますし、他の作品も、背景を色々抜きにせずとも、今では私にとって大切な作品になっています。
拝啓、生まれてしまった命たちへ。
改めて、ボカロP愛天下一武闘会2023春の話をしましょう。エントリー開始のツイートを見つけた時、私は迷うことなく2人のボカロPで申し込みをしました。1人は私が敬愛してやまない、この世で1番好きなボカロPであるHaTa(@Mad_HaTa)さん。
そしてもう1人は勿論、散々っぱら語り明かした和田たけあき(くらげP)(@WADATAKEAKI)さんです。
厳正なる審査の結果、なんとかDJとして出演することが叶い、愛憎渦巻いていた当時の気持ちを、そして今なお心の奥底で燻っていた感情を、全てをぶつけるためセトリをこね始めました。
本当は大好きなくらげPの曲を沢山かけたい。けれども「果たしてそれは正しいのか?」そう問いかけてくる自分がいました。好きなだけの曲なら、いつでもかけることができる。今本当にかけなければいけないのは、『和田たけあき』の作品なんじゃないのか、と。
先述した通り、私は普段BPM180以上の曲は殆ど使いません。おそらくこの機会を逃せば、複雑な感情を向ける彼の作品の内、その多くを使うことなく過ごして行くでしょう。ならば、今しかない。そう思いほぼ『和田たけあき』オンリーのセトリを組むことにしました。
その結果が今回のアンセム盛り盛り超アッパー系DJですね、本当に新鮮で楽しかった。
ただ、最初と最後の曲だけは、実はエントリーする前から決めていたんです。
かつて未熟で、自分勝手で、自分で自分を傷つけてばかりだった、そんな未成年だった『私』から。
ハロー。
皆の歌姫『初音ミク』、そして彼女と分かたれ、生まれてしまった『貴方』へ。死にきれず、大人になってしまった『私』へ。こんな身勝手なDJを聴いてくれた『貴方たち』へ。
そして、海にとけて消えた、くらげのような『貴方』へ。
そんな命たちの誕生日を、心から祝って。
敬具
おわりに
ここまでお付き合いくださり本当にありがとうございました!
今まで表立って言えなかった7年越しのモヤモヤを、こうして大義名分(?)を持って昇華できたお陰で、ようやくスッキリすることができました。
こんなDJ、P愛でしかできねぇ〜〜〜!!!
本当はこのnote、再現MIXを録ってから投稿したかったんですが、去年のフラボカ以降再現MIXを録れていないので、待っていたらいつになるか分からないから勢いのまま書ききっちゃいました。
録れてない理由のひとつに、mixcloud以外のプラットフォームへ引っ越したいけれど目星がないっていうのもあるので、オススメがあったら教えてください。
それでは皆さん、またどこかで。
良きVOCALOIDライフを!!!
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