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戦前三輪車を工作する①

1934年式のモーガンスリーホイーラーというクラシックカーに乗っているのですが、前のオーナーがボディを色々といじっている(というかバラバラの
車体をくみ上げたのかも)せいで、納車されたときからあちこち寸法がおかしかったり、左右が揃っていなかったりという状態でした。

最初の状態

戦前の前二輪タイプ三輪車
よく観察するまでもなく左右が無茶苦茶歪んでいる

恐らく、元々はバレルバックというリアにスペアタイヤが付けられているタイプのボディだったのを、ビートルバックの形に作り変えたのだと思われますが、その時の工作があまり褒められたものではなかった、という感じですね。

ボディだけでなく、左右で排気管の高さが揃っていなかったり、後輪がスイングアーム根元の摩耗で微妙に傾いていたりと、既に色々と修理しているのですが、今回は大掛かりなボディの修正を行っていきます。
素人作業のなので効率の悪い上に、道具不足は工夫で対処。

フレームの作業

まずはボディパネルを外します。
あちこちの数字を測ったところ、上側のループと下側のループの長さも違っていたので、そのあたりも統一することに。

ビスと木ネジで留まっているボディパネルを外す

ラインを作り直す

下側のフレームは左右のゆがみがほぼ無かったので、このラインを基準に上側もそろえる方向で作業を進めていきます。
あとから思えば、この時点でRのとがり具合をもう少しよく考えておくべきだった。(もう少し先端をとがらせた方がよかった)

ラインを決める

ラインが決まったら、上側の木製フレームを切り取ります。
本当は切り取るのではなく1枚板としてもっと前の方から解体、作り直した方がいいのだけれど、さすがに大掛かりになり過ぎるので今回は根元でカット。

元の木製フレームを取り除く

オリジナルの車両はこの部分に木製フレームはそもそも入っていないみたいなのですが、強度とか考えると合ったほうがよかろうという事で同じように作っていきます。

木材のカット

合板は断面が見えるので普通のシナ合板とかではなく、内側にサンドされている木材の質も良い、ちょっと高いものをチョイス。

決めたラインで合板をカット
ダボと裏からの補強金具で接合

上下のフレームをつなぐバーの部分を凹に切り欠いて取り付けたのち、塗装。

塗装

枠の完成

ボディの取り付けが微妙に片方に寄っていた問題などがあったので、ボディのマウントも調整した上で、後部フレームが完成。
最初の状態に比べると左右対称になってとてもスッキリ。

パッと目には完全に左右が歪んている印象は無くなった

座面の作業

水平面のRはきれいになったので、今度は垂直面のRも調整。
シート背もたれ裏の板もRが非対称なので切り取って新しい板をつないでいきます。ここも本来は1枚板で作り直せばいいのだけれど、作業量が増えるので必要な部分だけを修正することに。

上下に切断

背もたれ上部の作り直し

雇い実で接いだけれど、合板にはあまり向かない

今回は鉄のステーや荷室の板があるので雇い実接ぎでどうにかなりましたが、補強が無いと強度的には厳しいものがありますね。

Rを決める

このシート背もたれも元のRに合わせて作ってあるらしく(或いはこのシートを元に板のRを決められたために)微妙に左右が対象になっていないんですが、これを作り直すのは現状厳しいので、少し大きめのRに変更して余白で胡麻化すことにします。

切断、粉まみれ

構造上、単純にジグソーで切断しただけではカバーと沿わないので、切断面が水平になるようにサンダーで削っていきます。ガレージが粉まみれになってしまった。もっと養生しっかりすべきでしたな。

シートを浮かして荷室にアクセスするための穴をあける
あまり見れない、パネルが外れた状態

バッテリー置き場の調整

元々、バッテリー入れの仕切り位置が少し左に寄り過ぎていたためにバッテリー入れにバッテリーが入らないという状況になっていて、バッテリーが荷室の真ん中に鎮座していたんですが、ついでなので仕切りをずらしてバッテリーが左側の空間にちゃんと入るように調整して荷室もすっきりしました。

元の荷室
バッテリーがちゃんと収まるように

これでようやく水平と垂直の基準となるRが完成した。

ボディパネルの作業

続いてボディパネル。このパネルはアルミでできています。
まず、元の塗装をスクレーパーでバリバリと剥がしておきました。

塗装を剥いだ状態

後部のパネル継ぎ

リアの曲面を調整したため、一番後ろの位置でパネルが足りなくなってしまっています。この部分は中央に切れ目があるのもあまりよくないので、アルミを継いだ上で接合部分を均してしまうことにしました。

パネルが足りない
継ぐパネルの切り出し

アルミを接合するのは技術的にかなり難しく、アルミ溶接がベストではあるんですが自分では道具を用意するのも難しいので、「アルミソルダー」というロウ付けを試すことに。

とりあえずは付いたけれど

アルミソルダーは小さいアルミ同士のロウ付けは問題なくできたものの、ここまで大きいパネルだと熱が散ってしまってかなり厳しかったです。
そのため、裏側から別のアルミパネルをリベットで留めて補強することにしました。

補強

パネル自体で剛性を出しているわけではないので、ここまでやったうえでパテで隙間を埋めてやれば大丈夫だろうという判断です。

穴埋めとパテ作業

元々パネルを固定されていたビスについても、間隔もバラバラで上下一も揃っていなかったので、元の穴をすべて埋めて開け直します。

穴埋め

塗装作業

パテの研ぎだしが終わったら、下地にサフを拭いた後、カシュー塗料を刷毛塗りしていきます。

プラサフ下地
カシュー本塗装

カシューは漆の代替塗料としても使われるもので、普通のスプレー塗料などに比べると塗膜がふっくらしていて深みのある黒になるのでとても好きなのですが、乾燥が遅いのでちゃんとした塗装ブースではない我が家のような環境では空気中に埃が舞っていてかなりブツが付着してしまいます。
塗るのが難しくて研ぎだしが大変。

ボディパネルの完成

まだリアライトやナンバープレートが付いていないけれど、これでボディの整形が完了しました。
最初の形を知っていると、感動的ですらあります。

本業の合間にDIYをすすめて、2か月ほどでようやくここまで漕ぎつけました。

ボディパネル完成

次はFRPでリアの蓋を作っていきます。

続く。

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