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【被害者家族と加害者家族 死刑をめぐる対話】原田正治 松本麗華 共著 Amazonブックレビュー

この本は、弟を保険金目的で殺害された原田正治さんと、オウム真理教の教祖の三女であり、マスコミから「アーチャリー」という名で幼女時代呼ばれていた現在はカウンセラーとして活躍している松本麗華さんとの2回にわたる対談を記録したものである。司会は「望むのは死刑ですか オウム”大執行”と私」の映画監督である長塚洋さんで、1回目は2018年、2回目は2022年に行われた。その間には地下鉄サリン事件などオウム真理教がやったと言われる事件に関わった教祖麻原彰晃(松本智津夫)以下12名の死刑執行があった。

非常に重要な、誰もが考えなければならないテーマであり、多くの人に読んでもらいたいブックレットだと思った。マイナーな出版社ではなく岩波書店から出ているのも重要な意味がある。

わたしは、犯罪加害者と犯罪被害者には明確な善悪なり責任関係は存在すると思っているが、加害者家族と被害者家族は本来無関係であり、人権上同等であり、どちらも尊重されうるべきと考えている。また事件に関与がなければ、加害者家族も加害者による被害者といえるし、夫と妻、親と子が別人格であるように、人格上全く別の人間であり、責任を負う必要は全くないし、法によって被害者家族同様守られるべき存在だと考える。

わたしは凶悪事件などで、犯人が明らかになるたびに、テレビに向かって「こいつを死刑にしろ」と正義感のように叫ぶ人を見て「この人と犯人あるいは被害者と何の関係があるのだろう」「無関係の人がそういうことをいうのはいかがなものか」と違和感を感じていた。

わたしの友人に死刑囚との面会を続けている人がいる。その人と何度か講演会をしたが、その人の話を聴くと、死刑囚にも親兄弟や子どもなど家族がおり、死刑判決や死刑執行があるたびに泣き叫ぶという話がある。弟を殺害され、自身も犯人から騙されていた原田さんは、最初犯人を極刑にと言ったそうだが、犯人が死刑判決を受ける中、拘置所で面会を続けていった結果、犯人を許すことは決してできないが、死刑が執行されれば責任を果たせなくなるから死刑を執行しないようにと訴えるようになった。よく被害者遺族感情が死刑制度の最大の理由だと言われるが、被害者遺族感情というのも「処刑して欲しい」という共通のものではなく様々である。

またマスコミがセンセーショナルに事件を報道し、犯罪の凶悪性、犯人の逮捕と量刑、被害者遺族の怒りの3点セットで報道するのも人権上いかがなものか?と考える。

先日、元プロボクサーの袴田巌さんが死刑判決後、再審の末53年ぶりに無罪を勝ち取ったが、死刑には冤罪がつきものである。同じく冤罪事件と言われる飯塚事件は死刑囚の執行がすでに行われていて、再審請求も却下されている。地下鉄サリン事件と並びメディアによって大々的に報道された和歌山毒カレー事件も冤罪だと言われており、多くの文化人が冤罪だと表明するようになった。死刑囚の林真須美さんは一貫して無罪を主張し、直接証拠もないまま、目撃証言と状況証拠だけで死刑判決がされていることは日本の裁判史上の大きな汚点だと思っている。
オウム真理教にしても、本書でも麗華さんが明かしているように、麻原彰晃の意識が回復しないまま処刑されたので、事件の全貌や真実がわからなくなっている。
多くの犠牲者を出したオウム真理教の一連の事件も不可解な点がたくさんあり、動機や真の目的がはっきりせず、特に地下鉄サリン事件は、麻原彰晃氏が収監後意識不明のまま回復が施されなかったため、直接の動機や命令などの指示系統がわからないままである。

わたしは地下鉄サリン事件で唯一自衛官として上九一色村に乗り込んだ方や事件の全貌を知る方に直接話を聴いているが、元々麻原彰晃氏はカリスマ性のある目がほとんど見えない人で、オウム神仙の会と名乗っていた頃は、素朴なヨガの修行団体であった。そこに医師など外部から怪しい人間が入り込んで組織が急変していった。具体的にはMKウルトラと呼ばれるCIAの人体実験のヘッドギアが修行で使われるようになったり、なぜか急にロシアに信者が増え、前述の元自衛官の高官の人の目撃によれば、一宗教団体の力ではあり得ないのだが、ロシアの戦車や兵器などが上九一色村のサティアンにたくさんあったという。明らかに国家レベル以上の力が働いている。その自衛官の意見によれば、日本に混乱を起こした上で、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の軍隊に日本を占領させる計画があったという。

麻原彰晃氏も、オウム神仙の会がオウム真理教となり、急速に規模が大きくなる過程で、国政選挙にたくさんの立候補者を出したり、テレビに出演するなど、一新興宗教単独の力だけではありえない変貌をしていた。麻原彰晃氏がテレビ出演し、ビートたけしらと対談している映像がYouTubeなどで見られるから見ているといい。明らかに主教指導者としてはありえない不自然さで、話の辻褄も合わず、脳に何らかの細工が施されている感じがする。具体的には麻薬などに溺れているかMKウルトラなどの洗脳プログラムが実施されているように思われる。麗華さんが父に面会した時は、すでに「廃人」となっていて娘だということもわからず、意思疎通が一切できなかったと言っている。これらの麻原彰晃氏に対する薬物投与の結果か、事件後口封じに誰かがそのようにさせたか、そのような可能性が強い。日本政府や検察も国家を超える力には全く無力なので、積極的な治療・回復はさせず、事件の真相を闇に葬った。

つまり、地下鉄サリン事件や松本サリン事件などオウムが主犯だと言われている事件は、オウム真理教単独の犯罪ではなく、日本に事件を発生させて何かを企む大きな力の一環に利用されたと考えるのが話を総合していくと見えてくる。

日航機123便の墜落事故に始まり、ロッキード事件、東日本大震災から能登半島地震まで、日本の国力を弱らせて利益を得ようとする集団が起こした計画犯罪であり、人工現象だと言われている。この4年間世界を席巻した新型コロナパンデミックも、全て計画犯罪であり、人類から自由を奪い完全支配体制を構築したい精力の演出であることがだんだんわかってきた。もはや各国国家には権力がなく、国家を超える権力が世界を動かしているのは否定し難い事実である。具体的には軍産複合体、製薬会社、金融マフィアなど。陰謀論と片付けるにはあまりにも実態が明確であり、弱々しい各国首脳の姿を見るにつけ非常に納得できる世界構造である。

だとすれば、オウム真理教だけに責任を負わせ実行したと言われる人々を処刑したところで、何の解決にもならないし、真相を闇に葬るようなものだ。
被害者遺族、加害者遺族の問題から逸れたが、両者とも自殺者を出したりして本当に苦しんでいる。無責任なマスコミや第三者の心ない言葉に本当に傷ついている。

われわれにできることは新型コロナやウクライナ報道を見てもわかるように、偏向報道によって常に冤罪を作り続ける新聞テレビなどのマスメディアの情報を鵜呑みにせず、嘘かもわからない情報によって誹謗・中傷することを止めることではないか?

少なくとも被害者が帰ってこず、誰のためにもならない死刑制度は廃止すべきだと考える。


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