貞操観念の低い私が、セックスはリスクだと感じた話

「貞操観念が低い」とは言っても、誰彼構わずにヤるとか、そういった類の女ではなく、好きな人とセックスすることの何が悪いのだ、それが付き合う前であろうとなかろうと、というレベルの貞操観念の低さだ。

そんなわたしは今、前の彼と別れてからここ半年以上誰ともセックスしていないのには理由がある。もちろん、他人と会話をするだけでもリスクのあるこの時代だからということも理由の一つではあるが、それ以上の理由があるのだ。

至って真面目なお話だ。

今年の2月に5年ぶりの健康診断を行った。なぜ5年も空けてしまったのかというと、転職時期と重なったり、フリーランスになったりとタイミングが合わずにズルズルと後回しにしていたら、いつしか行くのが少し怖くなり、そのまま避け続けてしまっていたのだ。

その5年ぶりの健康診断の結果で一つ特筆されていたのが、「子宮頸がん」の要精密検査だった。

若くとも癌になりうる、そんなことは知っていたつもりだけれど、20代の自分とは程遠い病気だとどこかで思っていた。だからその結果を見て、気が少し動転して、慌ててあれやこれやと調べてすぐにかかりつけの婦人科の予約をした。

ここまで読んで少し驚かせてしまったかもしれないので最終結果をお伝えすると、何度か再検査をした結果、今はもう正常な体に戻っている。

というのも、子宮頸がんというのはHPVというウイルスに感染し、5~10年程そのウイルスに感染し続けると癌になるという病気なのだ。ウイルスの感染レベルにも何段階か存在し、わたしの場合は一番レベルの低い「LSIL」で、この場合は人間のもつ免疫機能で8~9割の人は自然に排出される。
どのようにしてHPVというウイルスに感染するのか、それはほとんどがセックスが原因なのだ。

HPVを持っている男性は多いらしいが、彼らは自覚症状も無ければ検査のしようもないらしい。そして女性のように感染しつづけて癌になる、というものでもないらしい(詳しいことはまだ解明されていないらしいので、詳細は他の文献などでお確かめください)。精液に含まれるのではなく、性器全体に存在するので偏にコンドームをつけたら万事解決、ということでもないらしい(つけた方が安全性は高いらしいけど、口内でも感染する可能性もあるようです)。

だから、性交渉の経験のある女性は、70%の人が人生で一度はHPVに感染するらしいのだ。

HPV感染についてもう少し詳細に書くと、感染の中でも一番レベルの低い軽度異形成と呼ばれる「LSIL(ローシル)」の場合は、基本は経過観察をするのみだ。わたしの場合は、細胞診やコルポスコピーという精密検査を経て、やっぱりLSILだとなり、3ヶ月後の経過観察で再度細胞診を行ったところ、もうウイルスがいなくなっていた。
LSILが進行すると、中等度異形成や高度異形成であるHSILというものになり(詳しい分類はこちらなど参考にしてください)、子宮を傷つけずにウイルスを照射する治療や手術などができるようです。子宮を傷つけないので、妊娠出産が可能です。HSILになると自然と治癒する確率も減っていきます。

お恥ずかしい話、わたしは今回LSILという結果を受け取らなければ、ここに書いた話の1割も子宮頸がんに関する知識を持ち合わせていなかった。そして、これほど高確率で感染すること、それが癌になる可能性があることに非常に驚きました。普通に怖いし、普通にリスクだ。もう気軽にセックスなんてしたくないと思った。

「あんまり気にしないで、美味しいものたくさん食べて」という婦人科医からの助言通りに過ごしていたら、幸いにしてウイルスがいなくなってくれたけれど、またいつ感染するかわからない(調べたけど、一度感染したからといって抗体ができるということでもなさそうだ)と思うと、仮にまた感染して高額な検査費(コスポスコピーが特に高額だった)を払うことになったとしても、許せる相手とだけセックスするようにしよう、と思いました(ちなみに今回はすでに別れた元彼だったけれど、許せます。伝えられないのがちょっと悔しいけど笑)。

セックスに限らず、冒頭でも書いた通り、会話をするだけでもリスクのある世の中だ。普段は保守的という言葉が非常に似合わないわたしでさえも、守りの姿勢になってしまっていて、ずっと家に一人でいたって人生やっていけるわなんて思っているけれど、リスクを抱えてまで会いたい人に会えるような人間になりたいと思います。



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のんにゃん
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