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”BASiCS”で自分の強みと登る山について分析する 〜BeyondVET第4回開催報告〜

こんにちは!Beyond VET運営チームです。
もうすっかり秋ですね。
もうすぐ紅葉も綺麗になってくる季節で楽しみです。


さあ来週の日曜日11月15日には第5回のイベントも控えてということで、前回のイベントの開催報告をさせて頂きます。


参加登録者分析

・年齢 平均23歳

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・所属 社会人:学生=4:1
学生:東京農工大学・日本大学・山口大学・麻布大学など
社会人:小動物臨床獣医師・海外研修


・初参加 or 第1回のみ参加・前回参加の割合

初参加 : 前回参加=1:4

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・Beyond VETを通じて学びたいもの、将来に関して悩み

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BASiCSとは何か

今回のイベントでは、「BASiCS」というマーケティングのフレームワークを用いて、自分の特性やリソースを洗い出し、自分の価値を求めてくれる領域や、その領域への売り込み方を言語化するワークショップを行いました!

「BASiCS」とはそれぞれB/A/S/C/Sの5つの要素の頭文字をとったもので、本来はマーケティングで使う内容なのですが、この要素をそれぞれ人材としての市場価値の分析用に言い換えると、

Battlefield / 戦場
⇒ 働く場所・環境
※業界、業種、企業の種類、専門領域など
Asset / 独自資源
⇒ 強みの源泉になっているものは何か
※環境、ネットワーク、コミュニティ、経歴、性格など
Strength / 強み
⇒ 自分が相手から選ばれる理由、自分の提供出来る価値は何か
※得意な事(出来る事)、経験、語学力、人柄、人間性など
Customer / 顧客
⇒ 自分を必要とする相手は誰か、また一緒に働く相手は誰か
※自分の人材としての価値にお金を払ってくれる人は誰か
Selling message / メッセージ
⇒ 端的な自分の説明
※自分の魅力をシンプルに伝えるとどんな表現になるか

ということになります。

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Beyond VET運営の在田の例を示すと

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自分の人材としての価値をきちんと言語化できているとこのように埋めることができます。

このBASiCSの考えを念頭において、以下をお読みください!


トークセッション

第4回のBeyond VET のテーマは『自分の強みと登る山について分析する』という事で、ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン株式会社で獣医師としてMRのお仕事をされている清水遥介先生をお迎えし、色々お話を伺いました。

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まずは在田が、いつも決まってするこの質問からトークセッションは始まります。

なぜ獣医師の道を選んだのですか?
小学生の時から、卒業文集に獣医師になりたいと書いていたくらい動物は小さい頃から好きだったんです。上野動物園で働く先生の本を読んで、獣医師になりたいと思っていました。建築などにも興味は持っちましたが、やっぱり生物が好きなところがありました。
ただ、生物単独で生きていくのはのは大変で、「ムツゴロウ先生」や「千石先生」レベルの人間にならなきゃ生きていけないなぁと思ったんです。そういった先生たちが出ていた「どうぶつ奇想天外」というテレビ番組にも影響されました。でも、そういう方向性じゃなくて、「動物のお医者さん」としてなら手に職つけて食ってはいけるし、少なくとも死なないだろうと、そう思って獣医を目指すことにしたんです。

続いて在田はなぜ大阪府立大学を選んだのかについて聞きます。

大阪府立大学に進学した理由は?
新潟県出身だったので近いところに獣医科大学がありませんでした。なので、まずはどこでもいいから受かれるところにいきたいというのがありました。次にあった判断軸としては、獣医師の学生あたりの教員数が一番多いところがいい、ということでした。そして大学院に行きたいから大学院を持っている病院がいい。共同の獣医学部ではなくて、単独の獣医学部があるところがいい。そういった判断軸の中で残ったのが大阪府立大学だったんです。

というのが半分表向きのカッコイイ理由ですが(笑)

もう半分は実は、センターを受けて数Iがボロボロだったということなんです、60点くらい。でも数IIBは100点だった。宮崎大は採点方式の関係で良い方の点数を2倍できるからセンターでA判定だったけど、他は厳しい感じ。でもチャレンジで前期で府大受けたら受かった、というところです。
府大だけ、駿台かどこか一個の模試の結果でD判定だったんですよね。他の大学は全てE判定だったけど。だから府大を受けました。笑

そして在田は、自分と清水さんの最初の出会いが大学院にいく前だったこと、そして当時学生だったのに転職エージェントに連絡していたことの珍しさを振り返りながら、当時の行動理由を尋ねます。

大学生時代になんで転職エージェントに連絡しまくったの?
ワクチンが好きだから、動物用製薬会社に行きたいと思ってました。それで、いくなら外資系がいい!と思ったんです。でも、外資系の企業は当時、新卒採用をやっていなかった。就業経験がないと応募できない・・・はずなんですが、別に送ったからといって何のリスクもないし、とりあえずいろんな外資の製薬会社に履歴書を送ってみたんです。そして、転職エージェントの登録フォームにも特に「学生は登録禁止」って書いてなかったし、登録してみたんです。きっと想定してなかっただけなんでしょうけど(笑)
その流れでエージェントに面談依頼を出しまくってみたら、たまたま連絡が返ってきたのが在田さんだった。ありたさん本当にナイスです、見る目あります(笑)

なるほど。「ルールに書いてないならやっちゃえ!」という行動力がその先の結果につながっているんですね。

そして実際に大学院に通いながらアニコム に就職することになります。

そこから、どういう流れでアニコム に入ることになった?
府大は結構博士号をとるのが緩くて、博士課程3年(獣医の博士課程は4年間)の時点で、このままやっていれば卒業できるなというレベルになっていたんです。だから、1年間働こうかなって思いました。よく考えれば、大学院生だから就活しちゃダメというルールなんてどこにもないんです。だから、「大学院生やりながら雇ってくれませんか」って話して雇ってくれるところを探していました。
それでアニコムやIDEXXに履歴書を出してみたら、アニコムが読んでくれて、今の会長になっている小森さんと面談をしたんです。そこで
  ①アニコムのテーマ:予防型保険
  ②アニコムのカルチャー:ベンチャー気質
がマッチ自分にしていると思い、アニコム楽しそう!!!と感じました。それで入社を決めたんです。
転職エージェントもいろいろいる中で、在田さんから「こんな部署にはいくな」などとアドバイスをもらったのも参考になりました。笑

そしてすぐ転職しましたよね。

どういう流れで転職することに?
それから半年くらいアニコムで働いて、その後ベーリンガー(当時メリアル)へ転職しました。基本外資系企業は即戦力を求めがちなんですが、その当時、メリアルは即戦力にこだわらずポテンシャル採用してくれていました。その案件を在田さんが聞いたとき、私を思い出してくれたんです。働きだしたばかりだけど、このチャンスは次いつ来るかわからない。悩むくらいなら、来た玉は打てるかわかんないけど、とりあえずバットを振る!!!バッターボックスに立つ。数打てば当たる!そんな思いでメリアルを受けたら採用してもらえたんです。

あの時に清水さんがバッターボックスに立っていなかったら、今の仕事にはついてないだろうし、Beyond VETにも登壇してなかったはず。縁ってあるよね。。。と在田も感慨深く振り返っていました。

ここで、話は清水さんの普段のお仕事の内容に変わります。

MR(医療情報担当者)ってどんな仕事?
よくある勘違いなんですけど、「お薬を売る人」と「MR」は違うんです。
薬を売るのは代理店、特約店にあたります。
一方でMRの仕事は、病院にいって自社の商品のメリット・価値を説明することです。それによって自社の製品を採用してもらい、採用してもらった薬をどう改良していくかをまたコミュニケーションを取っていきます。そして飼い主さんに製品を選んでもらって使ってもらうまでのサポートをする。その一連の業務を担います。
さらにもう1つの役割が、「お薬を売る」代理店・特約店に積極的に売ってもらうように働きかけることです。あとは、獣医師会とか学会に対して企業の顔として、セミナーなどの提案をしていく窓口も担ったりもします。

そんなMRのお仕事をするなかで、清水さんの強みって何なのでしょうか?
清水さんのBASiCSにそって話を展開していきます。

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Battle field に「田舎>都会」って書いてあるの面白いですね
都会と田舎の違いについて、もちろん満員電車も嫌なんですが、それ以上に
「動物病院って田舎だからって飼い主にとって何か大きな差があるわけでもない」と思うんです。田舎は家賃安いけど、診療費もすごく安い訳ではないですし。
それで「田舎は飼い主の意識低い」と言われますけど、僕は「知らないから意識が低いだけ」だと思っています。だからむしろ教育をしていけばこれから伸びる余地が都会よりも大きいと思うんです。そこに対して自分にできることが大きいと思っています。

なるほど。ただ、誰かと違うことをやればいいのではなく、自分の強み・経験・考えを元に納得感のあるキャリア設計をするのが重要ですよね。と在田が添えます。

次に、着目したのがCustomerの中に動物看護師の専門学校が入っていることでした。

なぜCustomerに「動物看護士専門学校」?
動物看護師の専門学校でお話しさせてもらうと、今後病院に就職する時に、「あの時聞いた薬だ」と思ってくれる動物看護師さんが将来的に増えると思っています。さらには飼い主対応も教育していけば、自分が一人一人に説明するよりも、自分の分身としていろいろな地域にいって飼い主に啓蒙してくれる!!と思ったんです。

確かに短期目線だと最大風速は出るかもしれないが、再現性がなくなりがちですよね。長い期間で自分の価値提供を考えて、意味付けや関係性構築をしていくのが重要ですね。

そして面白いのが、Assetに「投資」が入っていること。

Asset に「投資経験」があるのはどう活きている?
みんなお金好きですよね?笑 
僕、実は学生の時から、小額ですが株式投資をしていました。
投資というのは「小額で大きなリターンを得る」という考え方ですよねこの観点からの物事の見方っていろんなところで役に立つんです。
例えばペット保険のアニコム も、動物が健康であればあるほど支払う保険金が少額で良いという考え方になるので、動物たちの健康につながるような投資活動を行っていくわけです。そういった全体としての産業構造の理解が不可欠そいう意味合いでは、「投資」というのは重要な観点になっています。

そうやって自分の経験の、ワクチン・予防・ペット・投資を繋げられることがすばらしいですね。
全体をまとめると清水さんのSelling messageはどんな感じなんでしょうか?

私のSelling messageは【小動物臨床業界のステークホルダーがそれぞれの立ち位置から今より一歩進んだペット、飼い主への治療、価値を創造、提供できるお手伝いを行います】です。

企業で働いているものの、「小動物臨床が好き!!」っていうのがやっぱりベースにあります。もっと従事者の待遇よくなるはずだし、飼い主さんに向き合う時間も増やせるはず。動物病院という箱を通じて、治療の価値、薬を使ってどういういいことがあるかを想像してはじめて飼い主さんにとっても価値があるものになるはずだと思うんです。そうした価値を提供するためのお手伝いができる、というのを自分のメッセージにしています。


ここからはQ&Aタイムに入ります。

様々な企業に出す中で、動物に関係ない企業を受けることはありましたか?
実はMicrosoft社を受けました!!単純にMicrosoftやwindowsが好きだから受けようと思ったし、動物病院のIT化とか、電子カルテとかいろいろできると思ったんです。そしてグループディスカッションの1次試験も通りましたが、やっぱり大学院いこうと思ったから二次試験には進みませんでした。
結局「受けてみたかったら受けてもいいじゃん」精神ですね。
企業側からすると困っちゃうかもしれないですが。。。笑
清水さんの枠組みを外れる考え方って誰かから影響を受けているのですか?
大学の研究室の教授の影響が一番大きいですね。40人で6年間過ごし、半分公務員になるような府大ですが、その中で獣医師免許を持っているけど医学部(東京医科研、岡大)で研究して、出身校でもない府大の教授になった先生でした。教授自身が獣医の外にバックグラウンドを持っているからこそ、獣医師の世界の狭さを感じていたようです。その方の影響で、自由な発想でキャリアを考えられるようになった。特に教授から積極的に発信するような人ではありませんでしたが、自分から聞けば何でも答えてくれるような方だったんです。

考えてみれば「自分から聞く」ってすごく大事ですよね。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」なんて言いますけど、自ら疑問を聞ける人は強いなって思います。

そういえば僕、獣医学科に入る前に、日本獣医師会のホームページに問合せフォームがあるんですけど、獣医学科への進学について、そこにめっちゃ質問出してました。笑
回答も公表されるので、きっと今でも僕の質問と回答がホームページに残ってると思います。


ワーク内容(BASiCSを作る)

前述のBASiCSというマーケティングのフレームワークに沿って実際に自分の特性やリソースを洗い出し、自分の価値を求めてくれる領域や、その領域への売り込み方を言語化するワークショップを行いました!

取り組みやすいように、BASiCSの中でも、ステップを踏んで埋めていきます。

まずはBattlefieldとCustomerから埋め、自分が価値提供する相手について書き出します。

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そして次にその相手に対して提供できる価値として自分が持っているものを、AssetとStrengthに埋めていきます。この2つの違いが少し難しいのですが、Strengthは自分の強みであるのに対して、Assetは、その自分の強みを生み出している根拠となるものを指しています。

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そしてこれらのまとめとして、自分の価値を言語化してまとめ、Selling messageにします。

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シートが埋まった後は、最後に1人1分で全員が発表。

初回からの成長に石井は感極まって号泣していました。
こうやって、みんなが自分の未来を描けるようになって、やりたいことを見つけて、だんだんと行動できるようになっていく姿が我々の励みになりますし、我々も常に学ばせていただき、チャレンジし続けられます!!

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最終回でもないのに突然号泣する石井


次回イベント予告

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次回は11月15日(日)の開催です。次回のゲストは、小動物臨床に関わる方なら知らない人はいないはずのこの2人!

日本一従業員満足度の高い動物病院を作りを目指す:豊田 陽一先生
夜間救急の第一人者:中村篤史先生

をお呼びして、3時間拡大版でお送りします!

<第5回イベント詳細>
【対象】 進路や転職などの将来に不安を抱えるUnder32の獣医師・獣医学生
【日時】 2020年11月15日(日)17:00~20:00
※終了後、自由参加の飲み会を開催します🍺交流するもよし、お悩み相談するもよし、好きなことを語り合うもよし!一緒にワイワイしましょう!
【場所】 Zoom
【參加費】 無料
【登録方法】 以下のnote記事内Googleフォームよりお申し込みください


過去イベントの開催報告

第1~3回の開催報告は以下からご覧ください。


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