重さが消える
人から受けた感情は
重さとして体感することがあるんだ
そう感じて以来
ずっとその感覚が気になっていた
同じように
手で払いのけるようにしてみても
動く気配はないし
動け!と念じても
全く動かない
あれは気のせいだったのかな?
そう思いはじめると
“そんなことはないよ”
と理由のない自信が
自分の中のどこかから
湧いてきていた
その時感じた重さは
一晩寝ると気にならなくなったり
数日で消えたりしていたいので
自然となくなるものなんだな
くらいに思っていた
ある時
すごく落ち込んでいる人の話を
聴く機会があった
私を相手に一所懸命話してくれるので
聴く体制に入って聴いていると
あぁまた重たくなっていくなぁ
なんて感覚になっていった
正直話の内容はそんなに真剣に聴いていない
私の興味はその重さに移っていた
その重さは相手の重さと同じ
なんとなく感覚として伝わってきた
話の内容は置いておいて
この重さだったら辛いよな
なんて思っていたくらいだ
重さって動くのかな?
と動かそうとしても
やっぱり動かない
それどころか
自分が重さを実感すると
こりゃ大変だ
そりゃ辛いよね
なんて重さに対して思えてくる
これがずっと自分の中にあったら
本当に辛いだろうな
と自分ごとに感じてきた
すると
重さが急に表面に
浮き上がった感覚になり
ふわっと重さが溶けていった
あっ・・・
消えた・・・
そう思ったら
相手の表情が和らかくなり
聴いてくれてありがとう
といって話は終わった
何が起こったのかわからない
相手に対しても
自分に対しても
わかったことは
重さが自分からふわっと消えたこと
同時に相手の表情が柔和になり話が終わったこと
これだけだ
この前は動いたのに
今度は消えた
何が起こっているのか
自分の中で更に謎は深まっていくことになった