【数学検定】 平均の速さから瞬間の速さ
先日、例によって息子が数学検定3級の問題を解いておりまして、「平均の速さ」を求める問題がありました。
課題設定
ボールなどを自由落下させる時に、手を離してからの経過時間が $${x}$$ の時に落下する距離 $${y}$$ は $${y=4.9 x^2}$$ で表される、という設定でした。
高校で習う物理の言葉で言えば自由落下ですから重力加速度を ${{g}}$とすると
$$
y = \frac{1}{2} g x^2 \fallingdotseq 4.9 x^2 (\because g \fallingdotseq 9.8)
$$
ですからね。よく見たら、たしかに頂点が原点にある2次関数だから、数学としては3級の問題として適当なんですね。
小問1
さて、元の問題の1つ目は2秒後にどれだけ進んでいるか?という話ですが、文字$${x, y}$$の役割が分かればすぐですね。 $${x=2}$$っていうことですから、$${y=4.9 x^2}$$に代入して
$$
y = 4.9 \times 2 ^ 2 = 4.9 \times 4 = 19.6
$$
めでたしめでたし。最悪、この問題だけは当たって欲しいところですね。
小問2
今度は、3秒後から7秒後までの平均の速さを求める問題。平均の速さは
$$
平均の速さ = \frac{進んだ距離}{経過時間}
$$
ですから、分母と分子がそれぞれ分かればいい、と。簡単そうな分母の経過時間ですが、
$$
7-3
$$
ですね。ここで敢えて計算せずに取っておきます。次に分子の進んだ距離ですが$${y=4.9x^2}$$に代入すると
$$
4.9 \times 7^2 - 4.9 \times 3 ^2
$$
ですね。ということで
$$
\begin{align*}
平均の速さ &= \frac{4.9 \times 7^2 - 4.9 \times 3 ^2 }{7-3} \\
&= \frac{4.9 \times (7^2-3^2) }{7-3} \\
&= \frac{4.9 \times (7-3)(7+3)}{7-3} (\because 因数分解 a^2-b^2 = (a-b)(a+b))\\
&= 4.9 \times (7+3) (\because 分母分子を7-3で割る) \\
&= 4.9 \times 10 \\
&= 49
\end{align*}
$$
となりますね。数学検定3級の問題としては、ここで終わりです。
瞬間の速さへ
さて、「3秒後から7秒後までの平均の速さ」について考えます。3秒後は固定し、7秒後、6秒後、..と少しずつ3秒後まで近づけていくとしますね。思考実験というやつです。一般的に3秒後から $${3+h}$$ 秒後まで考えるとしたら、平均の速さは
$$
平均の速さ = \frac{4.9 \times (3+h)^2 - 4.9 \times 3^2}{(3+h) - 3}
$$
ですね。もう少し計算を進めると、、
$$
\begin{align*}
平均の速さ &= \frac{4.9 \times (9+6h+h^2 - 9) }{h} (\because 2乗の展開公式)\\
&= \frac{4.9 \times (6h + h^2)}{h} \\
&= 4.9 \times (6 + h) (\because h\neq 0なので割りました)
\end{align*}
$$
ですね。検定の問題では、7秒後、つまり$${h=4(=7-3)}$$ですので、上で計算したものと一致しています。平均の速さを求めるだけであればここでストップして良いですが、仮に思考実験続きとして $${h \rightarrow 0}$$、つまり$${h}$$をどんどん $${0}$$ に近づけてみることを考えてみます。
実際にはボールの瞬間の速さを求めることを意味します。
じゃ、↑で計算した式 $${4.9 \times (6+h)}$$で、$${h \rightarrow 0}$$の時にどの値に近づくか、と考えると $${4.9 \times 6=29.4}$$ですね。
今日はここで説明を止めますが、高校数学の言葉を敢えて使えば、式 $${y=x^2}$$の$${x=3}$$における微分係数を求めたことに相当します。
厳密に説明しようとするともう少し言葉を尽くす必要がありますが、元々の発想的には平均の速さを求める過程の経過時間の幅をどんどん小さくして「究極的にどの辺りに落ち着きそうなん?」という問に行き着きそうです。
数学検定に限らず、物理的・社会的な現象と数式を行き来して考えるのは面白そうですね :)
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