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演出

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#舞台

『罪と罰』の問いと答え5 エレーナ・ゴルフンケリ

概して休止(ポーズ)の手法は、この日本人演出家が好むもののひとつだ。それが彼流のアクセントである。小さな、そして同じくドラスティックな編集を経たマルメラードフ(ルスタム・ナスイロフ)も、休止の手法をベースに作られている。果てしない自分語りのセリフから切り取られて残された断片を道連れに、何度か酔った足取りで橋の下から這い出して来ると、マルメラードフは(ドストエフスキーの原作ではしっかり馴染みになったはずの)ラスコーリニコフを見ても知らんぷりのまま、演出家が「ストップ」の声を掛け

『罪と罰』の問いと答え2 エレーナ・ゴルフンケリ

そして今回は日本流演出のロシア版である。何よりも興味深いのは、この地の、BDTの舞台で、京都で行われたことの多くが、より明確化されていることだ。時にはそれが全く新しい形で展開されている。それでこんな問いが生まれる――ロシア人の俳優たちが演出家の解釈に影響し、彼らが何か自分たちの、独自のものを持ち込んだのか? あるいは演出家自身が、改めてロシア的な土壌に合わせた形で、何らかの部分やモチーフについての考察を深めた、あるいはまったく発想を変えたのか? そう、影響もあったし、また発想

『罪と罰』の問いと答え1 エレーナ・ゴルフンケリ

近年ドストエフスキーの小説『罪と罰』への関心が増しており、演劇界においても同様である。関心が高まるとともに、演劇界がこの小説及び作者に寄せる問いの数も増えている。古典作品が時代を経るうえで、これは自然な現象であり、作品はますます難解なものとなる。古典は世界とともに時間の中を移動しながら、その時々の〈与えられた状況〉を吸収し、昔から知られた筋を様々な見知らぬ方向へと展開させていく。二人の人間を殺した主人公ラスコーリニコフは、後悔したか? その後悔の代償は何だったか? 自己を確立

騒音。稽古場レポートより0125

みなさま お疲れ様です。 今日の稽古では騒音問題の解消に時間を割く前に全体の構成をもう一度考えてみようということで、前半は話し合いをして、後半で演算の16〜37までを組みました。 ・前半は舞台が揺れない ・後半のあるタイミングで舞台が不安定になる ・舞台が不安定になって以降はこれまでの動きのモチーフは踏襲されつつ、舞台が大きく動く&音をたてるという大地の変化によって全体の動きが大きく変わっていく 例: →これまでジャンプをしていたディスタンスの人は動かなくなる(寝たりしゃ

騒音。稽古場レポートより0116

みなさま お疲れ様です。 先週はなかなか稽古場レポートをお送りできずにすみません。 発語のルール(お囃子と台詞の関係)をいろいろと整理中です。 先週まとめたルールと台本で、今日の稽古の冒頭に添付台本の5頁半ばくらいまでやってみた動画を撮影しましたので共有します。 https://youtu.be/4mQm1DxYBRY まだまだ上手くいっていないところも多分にありますが、 演算の変化をカットではなくフェードでやっていくような流れになっています。 (演算に使用していた「

騒音。稽古場レポートより0105

今日は稽古場で直径6400mmの舞台を見立てて稽古してみました。 狭くて想定していた動きができないといったことはありませんでした。 また、狭い中に閉じ込められているというイメージは必ずしも悪くないとは思いました。 とはいえ、もう心持ち広い方がよいのではないかということで、 6600mmを盆舞台(っていうんですかね)の直径として確定したいと思います。 吊り機構の中心と盆舞台の中心をずらすという案について、今日少しお話しましたが、楽器の置き位置含め、平面図にだいたいのイメージを