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34週6日目 膝枕


今回は、妊娠とは関係の無い、ただの日記だ。

この日の前日、夫は仕事で疲れ果てて帰ってきた。
寒いところにいたからか、あんまりにも冷えているのですぐに湯船に浸かるように伝えた。夫はゆっくり湯船に浸かったあと夕飯を食べ、眠そうに早々と自室へ引き上げていった。

朝私はいつもよりはゆっくり起きたが、夫はまだ起きない。朝ごはんを待てなくて一人で食べ、着替えたあとに夫は起きてきた。別室で寝ているので夫が何時に寝たのかは知らないが、少なくとも十時間以上は寝ていただろう。
テーブルには椅子二脚とベンチがある。私がベンチに座って二日前に来たばかりの洗濯乾燥機の取扱説明書を読んでいたところ、食後の夫が膝に寝そべってきた。
ベンチの空いたスペースに長い脚を折り曲げて寝る夫が窮屈そうに見えたのでソファに移動しようと提案した。
ソファの前にベンチを移動させて机代わりにし、取扱説明書を置く。
私はソファの左端に寄って座り、夫は私の膝にまた寝そべった。
しばらく、私は手に持った説明書を読んでいて、私の読んでいる裏側に来るページを夫が読んでいたが、そうやってゆっくりしているうちに、ぼんが起きたようで、胎動を感じ始めた。
夫も頬で感じたようだった。
説明書は、実際に洗濯機を操作しながらでないとよくわからない、というページまで来ていたのでベンチに置いた。
エアコンをつけずに過ごしていたが、着ていたふわふわのフリースと夫の体温で私には心地よい温度だったし、夫も寒いとも暑いとも言わなかった。
夫が、気持ちいい。と言い出した。膝枕の具合もよく、フリースが頬に当たる感触も良かったようだ。私も、二人で胎動を感じながらのんびりゆったりしているのが気持ち良かった。
幸せを噛み締めるとはこういうことか。と思ってそのことを伝えると、夫もそのように感じていて、こういう風に幸せを感じるのってもう無いかもね。と言った。
このまま寝れるわ…と言った夫はすぐに寝息を立て始めた。
あれだけ寝てまだ寝れるのか、と思いながら夫の寝顔を見るのもまた幸せだった。スマホは手に届かない距離にあり、夫の寝顔が撮れないことを残念に思った。脳裏に焼き付けておこうと思った。

幸せは生理現象に邪魔をされてしまい、お手洗いが我慢出来なくなって膝枕は終了した。

夜お風呂上がりにスキンケアをしながら、今朝のことを幸せだったなぁ。と思い出した。
膝枕したのは多分初めてだったが、膝枕くらいいつでも出来て、でも今朝の幸せを再現しようと目論んで膝枕したとしても、あの幸福感はもう訪れないだろう、と続けて思い、涙が出た。

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