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第1回バーゼル国際声楽コンクール

2020年1月以降、私達の生活は大きく様変わりいたしました。コロナ禍による音楽界へのダメージは想像以上のもので、私も、東京・海外公演の本番を控えていましたが、全中止となってしまいました。何よりも辛かった、苦しかったことは、将来海外留学を夢見て日々研鑽して来た有望な生徒さんが、『先生、私は音楽を諦めます。これは運命です。』と、一通のメールが来た時、かける言葉が見付かりませんでした。

いつも元気に笑顔であふれていた歌声、楽しみにしていた演奏会、みんなで集まる合唱団の練習等、ロックダウンの期間中だけでなく、今現在も以前のような形には戻れません。様々な業界のトップの方々とお話させて頂く機会に恵まれた時、ある方がこう述べました。『元の形に戻ることは難しい、それを嘆いても元には戻らない。今できる形態で前に進もう。』そう、笑顔で微笑んでくださいました。

そのお言葉を頂いた時、すぐにスイスの先生方にご相談をいたしました。『オンラインによる声楽コンクールを開催することが可能であるか』伺ったところ、『貴女だけにしか出来ないことがある。私達は応援します。今出来るベストを尽くしましょう。』激励の言葉を頂きました。在日スイス大使館を始め、音楽留学に関わる音楽留学アンドビジョン、スイス留学.com様も快く後援に入ってくださいました。

世界には様々なコンクールが存在し、特色もコンクールによって異なります。ヨーロッパの音楽教育における経験で忘れられなかったこと、それはコンクール・オーディション等の総合評価の方式を採り入れてらっしゃる、ある教授とお話させて頂いた時、とても素晴らしい音楽教育であることに感銘を受けたことです。今指導する立場となり、その重要性を再認識しています。

この総合評価によるフィードバックは、コンクールを挑戦する全てのエントリー者へ、次のステップへと繋ぐ大きな役割を果たすことを確信しています。そして現在、現役で活躍される日本を代表するオペラ歌手の方々にも、快く審査員に入って頂きました。各審査員、様々な国で研鑽し、オペラ歌手として活躍され、大変素晴らしい実力のある方々です。

スイスからは、3名の審査員に入って頂きました。まず、スイスにて大変定評のある、Edit SIEGFRIED-SZABO先生です。声楽家にとって大変重要なインナーマッスル強化、呼吸の安定性による自意識について書かれた『Der Weg zur Mitte』は、ヨーロッパで高い評価を受け、声帯トラブル、声嗄れ、ヒステリー球の治療等にも貢献されています。Leonid先生は、古典から現代曲まで、バーゼル歌劇場にてレパートリーを習得され、歌手から絶大な支持を受けていらっしゃいます。室内楽、オーケストラと多く共演されているピアニストのValentin VALENTIYEV先生も審査に入ってくださいます。

グローバルに経験豊富の先生方が、『第1回バーゼル国際声楽コンクール』の審査員としてお集まりいただけたこと、『今、出来る取り組み、学びを継続する』ことにご賛同頂き、この場を借りて深く御礼を申し上げます。

エントリー部門は、高校生・大学生/院生・ヤングアーティスト・プロフェッショナル・愛好家と、幅広い世代の方々がエントリー可能なように、設置いたしました。オンラインコンクールの特質を生かして、スイスと日本を繋ぎ、今までにない新しコンクールがいよいよ始まります。

この1年、じっくりと取り組まれた曲・今伝えたい・届けたい音楽を、世界にたった一つしかない貴方の声で、是非エントリーしてください。コンクール終了後には、全エントリー者へフィードバックを電信にてお送りいたします。総合評価及び講評は、今後歌を続けられていく中で、モチベーションとなることを心より祈っています。

またエントリー期間中には、審査員の先生方からコンクール・オーディションの体験談等、インタビューいたします。是非参考にして頂ければ幸いです。

https://www.klassikwettbewerbbasel.info/

バーゼル国際声楽コンクール実行委員長 河村典子