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ホップについて②【ビール用語辞典】ホップ由来の香りはどうやってつくの? クラフトビールがより楽しくなるコアな知識

今回のテーマはアロマホップ

前回はホップの苦味についてでした。今回はホップの香りについてです!
苦味については過去記事をご参照ください!

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ホップの香りについてどんな香りが思い浮かびますか?
シトラス、トロピカルフルーツ、スパイス、フローラル、メロン、松や大麻など様々なものがあります。 ホップの芳香は品種ごとにバラエティに富み、ビアスタイルのキャラクターを強調してくれます。たとえば、イギリス品種のホップは概してフルーティーな特徴を持ち、リッチな味わいのエールと非常によく調和します。一方のドイツ品種のホップはフラワリーもしくはスパイシーな特徴を持ち、シンプルで爽やかな味わいの淡色ラガーとうまくマッチします。

ホップの香り成分ってどんなもの?

ホップのアロマ成分は、ルプリンの中にあるホップ精油で、ルプリン中の香気成分は500種類以上あるといわれていますが、ホップの全重量から見ると0.5~2.0%程度しか含まれていません。

ルプリン

その中でミルセンフムレンカリオフィレンという3炭化水素だけで成分の7割以上を占めています。それら3成分がビールの香りを決定づけていると今までは言われてきました。
しかしながら、Hazy IPAが流行してから、上記の考え方では説明できないアロマが登場するようになりました。ミルセン、フムレン、カリオフィレンはいずれもホップのアロマ成分の大多数を占めていることは間違いないが、液体に溶解せずビールのアロマにはあまり寄与しないとする研究結果が多く出ています。
それに代わりビールにもたらされるアロマ成分としてチオール類、テルペンアルコール類が注目されています。これらはホップに含まれる精油成分の中でも微量しか含まれていないませんが、強い芳香をもたらすことがわかっています。

ホップの香りを知るには?

一度でも生ホップやペレットホップを手に取ったことがある方はよく御存じかもしれませんが、ホップの香りはとても強く、ずっと嗅いでいたくなるような香りをしています。しかし実際にビールに溶け込む香りとホップそのものからする香りは大きく違います。それではどうすればホップの香りを知ることができるのでしょうか。よく手のひらで親指でつぶすと本当の香りがわかる、ホップを口に含むと鼻から抜ける香りで判断できる、といった話があります。ホップというのは特徴的な香りがするので、ほんのりそれらしい香りがすると感じるときはあります。
しかしながら先述したように香気成分の7割はビールに溶け込まない成分です。したがってホップの香りをいくら嗅ごうともそのホップの香りがビールに溶け込んだ時の香りだけを嗅ぎ取ることはできません。
それではどうすればそのホップの香りを知るこたできるのでしょうか。その方法はたった一つ、実際に使ってビールを作る以外にはないのです。
いまはまだどのホップがどの香気成分をどれぐらい持っているかは情報が少なく、使って試してみないとそのホップの特性は推察しづらい状況になっているのです。

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α酸とホップの香気含有量の関係

同一ホップであってもα酸は年代によって変わっていきます。ある年はα酸が5%だったとしても翌年には6%にその翌年には4%に・・・と年代によってバラバラです。
またホップの香気成分もその年度によって強度はバラバラです。
テルペンアルコールの中に”リナロール”という成分があります。柑橘の香りが特徴的な成分なのですが、この”リナロール”はホップ香気強度の指標と言われています。
このα酸とリナロールの年代ごとの変化をまとめたのが次のグラフです。

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このグラフを見てもらえばわかるように、α酸値が上昇すれば香気含有量もほとんどの場合上昇します。そして低α酸品種ほど香気の変化幅は大きくなります。しかし、その変化幅はα酸よりも香気の変化幅のほうが激しいです。また、’10~’12までの変化を見てもらえばわかるように、その年代によってはその関係が100%成立するとは言えません。
したがって新しい年代のホップを使用する場合は、同一ホップであろうとも少しずつ様子を見ながら使用することが香りの安定を図るのに必須になってきます。

アロマホップの投入タイミング

・煮沸終了直後(Boil 0min)
煮沸終了直後にてホップ投入。温度が100℃のため苦みがついてしまうが香りも比較的多く残るタイミングである。苦みをつけつつ香りも載せたいときに実施することが多い。ちなみに煮沸終了5分前にホップを大量に投入して作る製法を「ホップバースト製法」という。

・ワールプール(WP)
WP実施直前にホップを入れることで急速なかき混ぜによりホップの香りを麦汁に溶け込ませる。この場合は香り付けを目的に行っているため高温度帯での投入は想定外のIBUの上昇及び香気成分の揮発につながってしまうため低温度帯にて実施する必要がある。理想は70℃以下である。

・発酵タンク(Fermenter)
発酵タンクにてイーストピッチと同時にホップを投入。長期間漬け込むためビールに香りがとても強くつく。また、香気成分であるリナロールが溶け込みやすく、チオール成分の代謝によって香りが変化し、麦汁には柑橘系やトロピカルフルーツなどの香りがつきやすいといわれている。

・ドライホップ(Dry Hop)
発酵を終えたビールにホップを長時間浸して、煮沸で得るよりも強いホップ・アロマをビールにつけることをいう。漬け込む機関としては目安は7日程度が望ましいといわれている。香気成分であるミルセンがビールに溶け込みやすくなるため松脂のようなオイリーな香りが比較的つきやすい。ミルセンは酵母とくっついてしまうため、発酵と同時に入れた場合はこの香りは残りにくい。

・コールドホップ(Cold Hop)
コールドクラッシュ実施後にホップを投入すること。漬け込み期間は2~3日間と短く、飲んだ時に鼻から抜けるような香りであるフレーバーではなく鼻を近づけた時のダイレクトな香りをビールに乗せるイメージの製法である。SessionIPAなどに使いやすい。比較的新しい手法であり、近年少しづつこの製法を使用した「ColdIPA」という商品が出てきている。

ホップタイミング

代表的なアロマホップ

・Cascade(カスケード)アメリカ産
アメリカ産ホップの中でもっとも有名なホップの1つ。強い柑橘系やマスカットのような香りが特徴的。

・Nelson Sauvin(ネルソン・ソーヴィン)ニュージーランド産
名前の通り、白ワインのフルーティさ、ニュージーランドのマルボロ産ソーヴィニヨン・ブランの風味があるホップ。

・Saaz(ザーツ)チェコ産
花や草のような香りを持つ"ノーブルホップ"の一つ。大手ビール会社のビールにて多く使用されており、ラガーやピルスナーなどに使われることが多い。

・Galaxy(ギャラクシー)オーストラリア産
クリアな柑橘系とパッションフルーツが合わさったようなアロマとフレーバーをもつ。ポリフェノール含有量が多く、HazyIPAを作るのに濁りを作るのに適しているホップである。

・Huell Melon(ヒュールメロン)ドイツ産
メロンのような香りが特徴的なホップ。甘い香りに乗せることでメロン感が上がる。単体での香りは瓜に近くほんのり青臭さもある。

次回はホップについてもう少し細かいお話

生ホップを使いたいのだけどどうすればいいの?生ホップやペレットホップ以外にどんなものがあるの?などさらにディープな話をしていきます!

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