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ホップについて④【ビール用語辞典】皆さん大好きHazyIPAの”濁り=HOP Haze”について! クラフトビールがより楽しくなるコアな知識

今回はHazyIPAの”濁り”

「HazyIPAを作りたいんだけどどうしたらいいの?」「ホップをたくさん入れれば濁るって言われたけど濁らない、、、。」などの疑問をお持ちの方は是非見ていってください!
ホップについては最後の投稿になります。過去記事はこちらをご参照下さい。


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ホップを限界まで使ったスタイル”Hazy IPA”

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クラフトビールと言えばホップの香りが強いビールが人気があります。特にIPAの人気は高くIPA専門店があるほど”クラフトビール=ホッピーなビール”という印象が強いです。そんな中、3年ほど前にクラフトビール業界に衝撃を与え、常識を変え、クラフトビール界の頂点に君臨したスタイルがあります。それが”HazyIPA(別名NEIPA,JuicyIPA)”です。
HazyIPAの詳しい説明については調べてみてさい!下記ご参考に。

ホップをたくさん使っているからこそ、経験したことのないような香りを感じられるビールです。世界中のブルワリーもいかに濁らせるか、いかに香りを爆発させるかを競い合うかのように大量のホップを使用してビールを醸造しています。HazyIPAはまさに”ホップジュース”です。

ホップをたくさん使えば濁るわけではない!!

そんなHazyIPAですが世間一般的な考え方は「ホップをたくさん入れればその濁りが残る」というものです。これはHazyIPAが登場したときに『ホップを入れすぎた結果濁っちゃったビール」と言われていたのが一番の要因ではないでしょうか。確かに、ホップをたくさん入れればビールにはそのホップの粕やポリフェノールが蓄積し一時的には濁ります。ただ、ホップのみで作られた濁りはあくまで一時的なのです。
皆さんも瓶に入ったHazyIPAを買って冷蔵庫に入れて置いたら瓶底にほかのビールとは比べ物にならないような澱があった時がありませんか?実際に作ったことがある方は、HazyIPAを作ったときに瓶詰したときは濁っていたけどいざ冷やして飲んだらそんなに濁ってなかった、、、なんてこともあったはずです。ホップだけでの濁りではすぐに沈んでしまいます。

”HOP Haze”の要因

HopHazeを生み出すものは何でしょうか。それは『DryHoppingによるPermanentHazeの一種』です。PermanentHazeとは主として共有結合のことで1度発生すれば消えない濁りです。つまりビールのなかでPermanentHazeを生み出すことがHazyIPAの消えない濁りを作るための必須条件になります。そのPermanentHazeを生み出すのが麦芽由来のタンパク質とホップ由来のポリフェノールなのです。それではどういったタンパク質とポリフェノールが必要なのかをお話していきます。

麦芽のタンパク質

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麦芽のタンパク質はHOPHazeにおいて最も重要な要素の一つです。麦芽の製麦においてプロテオリシスと呼ばれるたんぱく質の分解過程があります。

〈プロテオリシスとは〉
高分子タンパク質→中低分子タンパク質→ペプチド→アミノ酸
この過程の中で生まれる中低分子タンパク質は液中に抽出され、かつ浮遊しやすくなるためポリフェノールと結びつきやすくなります。
中低分子タンパク質は製麦過程が長ければより多く生成されます。
この中低分子タンパク質に”プロリン”という成分があり、それが非常に多く含まれているのが”FlakedWheat”だといわれています。
FlakedWheatについては過去記事をご参照ください。

実際にFlakedWheatを使うことで濁りやすいビールが完成します。しかしこれだけでは濁りません。ここにホップのポリフェノールが加わることでHazeが生まれます。

ホップのポリフェノール

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HOPHazeにはタンパク質(プロリン)の豊富なモルト以外にも欠かせないものがあります。それがホップです。ドライホップされたホップは麦汁の中でタンパク質と結合し、結果として濁りにつながっていきます。
そしてそのタンパク質と結びつくホップの中の成分が”ポリフェノール”です。”ポリフェノール”はホップ全体の5%ほどといわれています。
ポリフェノール量はホップによって違いがあります。その判断基準はα酸の含有率と関わりがあるといわれています。
α酸についてはこちらの記事をご参照ください。

α酸が多い品種はポリフェノール量は少なく、α酸が少ない品種はポリフェノール量は多くなります。つまりはビタリングホップはHOPHazeの発生につながりにくく、ドライホッピングはデュアルホップよりもアロマホップのほうがHOPHazeに有益だと考えられます。
そのなかで最もポリフェノール量が多いホップは”Galaxy”と言われており、FlakedWheatとGalaxyを使用したHazyIPAは濁りやすいといわれています。
また、ドライホッピングでのポリフェノール抽出量はホップ全体の約半分といわれています。さらに抽出されたうちの半分弱が沈殿し、残りが液中に残留します。したがって、HOPHazeを発生させるには大量のドライホッピングが必要ということになります。

HOPHazeと発酵の関係

HOPHazeには酵母の力も関係しているとよく言われています。
発酵の仕組みについては過去記事をご参照ください。

発酵中は酵母がタンパク質を変性しきっておらず、ポリフェノールが反応すべきタンパク質がとても多い状態です。したがってこのタイミングでのホップ投入(発酵開始直前でのホッピング=ディップホッピング)はホップのポリフェノールと麦汁中のタンパク質が結合しやすく、麦汁も濁ります。しかしながら、このタイミングでの濁りは酵母のFloculation(発酵後の酵母が固まって沈むこと)により沈んでしまうため、HOPHazeの直接の起因とはなりません。
ビールを作っていると、発酵中は濁っていたのに温度を下げて置いておいたら濁りがなくなった、、、なんてことありませんか?これはタンパク質とポリフェノールが結合したものの、酵母とともに沈んでしまっている状態です。
それに対して発酵後は発酵においてタンパク質を使ってしまっているため、液中のタンパク質量は少ないです。しかしながらこのタンパク質は沈みにくいため、このタイミングでホップを投入することで結合したタンパク質とポリフェノールは沈まず麦汁中に残り、HOPHazeとなります。
したがってホップの投入タイミングの中ではドライホッピング(発酵後のホッピング)が効果的であり、同時に凝縮性の弱い酵母を使用することで発酵前に投入したホップによって発生したHazeも沈殿することなく、HOPHazeを作ることができるといわれています。また、酵母は貧栄養状態だと窒素を入手するためにタンパク質を分解してしまいます。そのため窒素化合物などを添付してあげることもHazeを作る1つの方法として注目されています。

HOPHazeのコントロール

以上の要因によりHOPHazeは発生しており、その量を調整することでHazeをコントロールできます。その他にもHOPHazeに寄与している要因はたくさんあります。
〈その他要因〉
アルコール度数:エタノール濃度が高いと沈殿が起こりずらい
PH:Mash‐5.4~5.5(通常のMash時のPHは5.2が理想)
  ※PHが高いとタンニンの抽出が多くなりビールに渋みがつくので注意!
  発酵‐~4.2
麦汁のタンパク質量:プロテインレスト工程の省略、カラギナンを使用しない

次回からはビール醸造の工程についてです!

これまで材料についてお話してきました。次回からはより実践的な醸造に関わる内容となります。初回はマッシングについて!

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【過去記事】

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