【11】Cinnamon
かかりすぎていると風味がキツい。そういうものはしばしば敬遠しがちになるが、無かったら無かったで物足りない。「生活」でも同じこと。旅行のような甘み、スポーツのようなスパイス、単調になりがちな生活に少しのアクセントを与えてくれる。
あくまでアクセントだという事は忘れてはいけないのだが、時に人は更なる刺激を求めてしまう。もっと色々なところへ行きたいだとか、色々な本を読んでみたいとか、趣味に時間を費やしたいということに。そんな生物的欲求を消すことは難しいだろうが、ある程度我慢できるのも人間の優れたところだと思う。
「辛さ」、とにかく辛いものが好きな人がいる。その人自身も最初から飛び抜けた辛さを求めたわけではないだろうと思う。最初はピリ辛だった好みも、徐々に刺激に慣れ、「もうちょっと辛いのが欲しいな」と重ねていった結果に激辛を求めるようになったのかも知れない。
そういった「欲求」と紙一重のところに「向上心」がある。
あくまで個人的な認識の範疇だが、欲の強い人は、イコール向上心の強い人である傾向がある。色々な人と仕事や趣味などで交流しながら得た認識だ。欲のない人は平和的で素敵だと思うし、多くを望まなければ足掻き苦しむことも減ると思うと時たま羨ましいなぁとも思う。そんなことを考えながら、自分は欲深い部類の人間であることを認識した。
そしてこの頃、少し悩んでいる。仕事には向上心を持って取り組んでいるつもりだが、一緒に働いている人にそこまでの向上心もなければ月日に対するスピード感の違いを感じるのだ。その緩やかなスピード感に合わせてしまっている自分もいるが、その事に焦りを感じている。
「やめてしまえば」と言う意見が出ると思うが、5年以上をかけて積み上げてきた今の状況を手放すことは勿体ないように思い、それなら向上心の弱い仲間ごと持ち上げてやろうと思ってもなかなか1人のパワーでやりきることの難しさを痛感している。
未来への展望を描かない人と一緒にいて不安しか感じない自分。僕が知っていることは、常に上を目指すぐらいの気持ちでなければ現状の維持もできないのが人間の仕組み。体力はまだまだ落ちてないよ、と言う人の体力は知らぬまに落ちているように。現場らから遠ざかれば技術も落ちるし、知識も常に吸収しなければ時代に置き去りにされてしまう。そんな現実が怖くないのだろうかと不安に思いながら一緒に働いている。
30代になり、人生のターニングポイントは遠くない。仕事や住む場所を変えるとしたら今のうちが良いだろう。自分の結婚や家族との将来について考えた時、どう動くのが正解なのだろうか。
「明日もし晴れたなら迎えに行くよ」
もちろん嬉しいけど 天気予報見てないのかな 君らしいね
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