呑んだくれ男と醜い女
何とも酷いタイトルですが、ある小説に関するお話です。
それは、
<Chí Phèo>
これは、その昔、Nam Caoという人の書いた<Chí Phèo>という短編小説のタイトルでもあり、主人公の名前です。
この小説は封建社会に対する批判が主題になっていて、ベトナム古典文学の傑作としてよく知られている、とても有名な作品。
日本語にも翻訳されていて「チー・フェオの死」というタイトルで出版されているそうですよ。
ストーリーはこんな感じ。
孤児として生まれた<Chí Phèo>は人として扱われず、村の権力者に強要されて汚い仕事をしながら、酒と喧嘩に溺れる暮らしをしていましたが、病気になってしまった時に<Thị Nở>という女性に優しくされます。
<Chí Phèo>は本来は人としての「心」を持っているのに、人として扱われない。
一方の<Thị Nở>も優しい「心」を持っているのに、容姿が醜いということで、除け者扱いされていたため、二人には合い通じるところがあり、やがて恋に落ち結婚を考えるものの<Chí Phèoは人ではない>という理不尽な理由で、彼女の親族から拒否されてしまいます。
傷ついた<Chí Phèo>はこんな自分(人として扱われない存在)にしたのは村の権力者のせいだと、権力者を殺し、自らの命も絶ってしまいます。
なんとも物悲しい話ですね。
で、この<Chí Phèo>と<Thị Nở>なんですが、現代の会話の中で、「人」を形容する言葉として使われることがあるんです。
”昼間から酒ばかり飲んでいてだらしない生活をしている”ような人のことを
<Chí Phèo>
”容姿の醜い女性”のことを
<Thị Nở>
と陰で呼んだりするそうです。
本来の小説の内容やテーマからはちょっとずれちゃってる気もしますが、、、
<Chí Phèo>は現在でもテレビドラマや映画のモチーフになったりしていますし、ローカルの居酒屋などには、<Chí Phèo>と<Thị Nở>の人形が置かれていたりもします。(写真)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?