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僕が考えた新しい編み方がきっと世界中で使われる

「ジグザグ編み」という新しい編み方を考えました。
これは将来かぎ針編みのスタンダードな技法になると思います。

なぜならこの編み方には伸縮性があるからです。
かぎ針編みなのにメリヤス編みに匹敵する。

なおこの記事は編み物にあまり馴染みがない人にジグザグ編みのことを知ってほしくて書いたものなので、とにかく早く編み方が知りたいんだという方はこちらの解説動画をご覧ください。

どれくらい画期的なことか

編み物に詳しくない人にはあまりピンとこないかもしれませんが、これはとてつもなく便利で、作れるものの幅を大きく広げることになります。

身の回りでよく見かける編み物製品、例えば手袋や靴下、セーターなどには伸縮性がありますが、これらは全て棒針編みの技法で編まれたものです。
実は糸を編むという編み物の技法は1つではなく、その大きなくくりの中にはいくつかの異なる技法が含まれています。

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特に大きなジャンルが「棒針編み」と「かぎ針編み」の2つです。
この2つは使う道具も編み方も違うので、できる編み地の特性も異なったものになります。
その違いのひとつが伸縮性です。

棒針編みの編み地には伸縮性がありますが、かぎ針編みにはありません。
そのため棒針編みでは先ほど例に挙げた手袋、靴下、セーターなどのような衣類系を編む技術が発展し、かぎ針編みではしっかりした編み地を活かしてバッグやアクセサリー、あみぐるみという人形などが多く作られてきました。

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編み物という大きな分類の中には伸縮性がある技法もない技法も含まれていますが、これまで伸縮性がないと考えられていたかぎ針編みの領域で伸縮性を出せる編み方が生まれたという点に新技法の意味があります。

例えば手袋では編み地が伸縮するからこそ履き口で引っかかることなく手が入り、隙間なく手首にフィットします。
これは従来は棒針編みの領域でしたが、今やかぎ針編みでも同じことができるのです。

本当にそれだけの性能があるか確かめる

果たして本当にジグザグ編みは棒針編みに匹敵する伸縮性能を持っているのか。
かぎ針編みになじみのある人ほどにわかには信じがたいと思います。

そこで同じくらいのサイズの編み地を用意したので、これを引き伸ばして検証してみましょう。
棒針編みのメリヤス編みと1目ゴム編み。
かぎ針編みの細編みとうね編み、そして新技法ジグザグ編みを比べてみます。

メリヤス編みは棒針編みの基本的な編み地で、1目ゴム編みはそれよりもさらに伸縮性のある編み方です。

細編みはかぎ針編みの基本的な編み目で、うね編みはかぎ針編みの中では比較的伸縮性のある編み方として選びました。

メリヤス編み

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メリヤス編みの最大伸び率は100%程度。

ジグザグ編み

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次にジグザグ編みを見てみるとこちらも伸び率は100%程度です。
ジグザグ編みの伸縮性能がメリヤス編みに匹敵することが確認できました。
他の編み方とも比べてこの性能が全体の中でどのくらいの位置にあるのか見てみましょう。

1目ゴム編み

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1目ゴム編みの伸縮性能は圧倒的で170%に達します。
最も伸びる編み方は棒針編みの中にあるというのは間違いありません。

細編み

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一方のかぎ針編みですが、細編みの編み地はほとんど伸びないことがはっきり見てとれます。
この固さを知っている人ほどジグザグ編みの伸縮性に驚くことでしょう。

うね編み

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そしてちょっと特殊なのがうね編みです。
こちらも段に対して横方向には細編みと同じくほとんど伸びません。
しかしこの編み方は縦方向に伸びるのです。

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その場合の伸び率は80%ほど。
数字としてはそれほど悪くはないのですが、手首にしても足首にしても頭にしても伸縮性が欲しい状況では横方向に伸びる方が使い勝手が良い場合が多いんですよね。
なので伸縮性を求めるという意味では使い所が難しい編み方です。

ちなみに縦方向の伸縮性について他の編み地も見てみると、メリヤス編みでは80%ほど。

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ジグザグ編みは縦にはあまり伸びず40%程度という結果になりました。

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さすがにゴム編みには及びませんが、ジグザグ編みの伸縮性能がメリヤス編みと同じ程度あるということは確認できました。
そして同時にメリヤス編みとは異なる点も見えてきました。

ジグザグ編み独自の特性

その一つが縦方向の伸縮性の違いです。
メリヤス編みは縦にも横にもよく伸びます。
一方ジグザグ編みは横方向には伸びるけれど縦にはあまり伸びません。

また編み地が伸びたときの隙間の開き具合にも違いがあります。
メリヤス編みでは編み地が伸びると隙間が開きますが、ジグザグ編みではほとんど見えません。

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横方向への伸縮性という点ではジグザグ編みとメリヤス編みの性能はほぼ同じですが、その他の点で様々な違いがあるのでそれらの個性を活かすことが重要です。

たとえば上記のジグザグ編みの特性はバッグを編むのに向いています。
重いものを入れても下側に伸びることがなく、大きなものを入れるときは横方向に伸びることで対応でき、しかも伸びても隙間が開かないからです。

その他の違いとして重さや厚さが挙げられます。
先ほどの検証で使った10cm角の編み地の場合、メリヤス編みの重さは4.4gでしたが、ジグザグ編みは9.5gになりました。
ジグザグ編みの方が2倍以上重くなり、厚みも出ます。

これはデメリットにもなりえますが、裏を返せば丈夫で防寒性能が高いとも言えます。

これまでは伸縮性のあるものを編もうと思ったら棒針編み以外に選択肢がありませんでした。
しかしこれからは伸縮性に加えて柔軟さ・軽さといった要素を重視するなら棒針編みで、丈夫さ・厚さといった特性が欲しいならかぎ針編みのジグザグ編みでという選択肢があります。

ジグザグ編みはまだ生まれて間もない技術です。
これからさらに開発が進み編めるものが増えていくでしょう。
かぎ針編みで伸縮性という新しいフロンティアが広がっています。

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