『やってくる』(郡司ぺギオ幸夫 著 医学書院)/浦河出身の作家、馳星周さんの『少年と犬』(文藝春秋)が直木賞を受賞!
『やってくる』(郡司ぺギオ幸夫 著 医学書院)
「考えてどうなるものでもない。でも、考えて、やきもきして、焦って、諦めて、ぼんやりしていると、突然、感じる。文脈が固定されていたときにはとうてい見つからなかったような何か、そのときには予想もしなかった何かが『やってくる』のです」(本文より)
医学書院の「シリーズケアをひらく」の新刊、『やってくる』が出版されました。
著者は早稲田大学基幹理工学部・表現工学専攻教授の郡司ぺギオ幸夫さんです。
「人工知能」と「天然知能」、これがこの本を読んでいくときのキーワードです。
「人工知能というのは機械的な知性に限ったものではありません。私はむしろ現代人の多くが人工知能化していると思っています」(本文より)
人工知能に「外部」はわからない。お掃除ロボットの「ルンバ」は吸い取れるものはたとえそれが大切な指輪であろうと何かに欠かせない部品であろうと、みんな「ゴミ」として扱います。逆に大きな紙ゴミなどは吸い込めないのでスルーします。つまりルンバにとっては大きな物体は「外部」なので、存在しないのと同じです。人工知能は徹底して「外部」を排除するのです。
それに対して、「天然知能」は「外部」を感じとります。
「文脈が固定されていたときにはとうてい見つからなかったような何か、そのときには予想もしなかった何かが『やってくる』」
そのポイントは「ズレ」です。「ズレ=スキマ=ギャップ」が「問題」と「解答」の関係をこじらせ、その「スキマ」に何かが「やってくる」。それを感じるのが「天然知能」だと言えます。
これは「統合失調症」などの経験ととても共通する感覚と言えます。なにせ「統合」が「失調」している(つまり「ズレ=スキマ=ギャップ」、「ミスマッチ」、)ということなんですから。その意味で、べてるには「天然知能」のエキスパートがたくさんいるなと思います。
郡司さんが以前べてるに来られたときに、とても居心地がいいと言っていた意味がこの本を読んで少しわかったような気がしました。
郡司さんの著書『天然知能』(講談社選書メチエ)、医学書院の情報サイトに掲載されている「なぜダチョウ倶楽部の竜兵は、 気づいたら熱い湯に入っているのか」などもあわせて読んでみることをおすすめします!
浦河出身の作家、馳星周さんの『少年と犬』(文藝春秋)が直木賞を受賞しました!
直木賞発表のときには、浦河町は歓喜に沸きました。テレビなどで流れていた、馳星周さんが池田町長と発表を待っていた居酒屋「さかずき屋」はべてるの関係者も普段よく行く店。馳さんもそこが行きつけと新聞の記事に書いてあって、それにも驚きです。
「家族のために犯罪に手を染めた男。拾った犬は男の守り神になった―男と犬。仲間割れを起こした窃盗団の男は、守り神の犬を連れて故国を目指す―泥棒と犬。壊れかけた夫婦は、その犬をそれぞれ別の名前で呼んでいた―夫婦と犬。体を売って男に貢ぐ女。どん底の人生で女に温もりを与えたのは犬だった―娼婦と犬。老猟師の死期を知っていたかのように、その犬はやってきた―老人と犬。震災のショックで心を閉ざした少年は、その犬を見て微笑んだ―少年と犬。犬を愛する人に贈る感涙作。」
ぜひ読んでみてください!
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