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『治したくない―ひがし町診療所の日々』(斉藤 道雄) / 『「脳コワさん」支援ガイド』(鈴木 大介)の紹介


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『治したくない―ひがし町診療所の日々』(斉藤 道雄、みすず書房)

元TBSの斉藤道雄さんの最新の著書。
斉藤さんが浦河について本を出すのは、『悩む力』(みすず書房、2002)、『治りませんように』(みすず書房、2010)に次いで3冊目です。

「ひがし町診療所」は、川村敏明先生が2014年5月1日に開院した精神科の診療所で、浦河日赤病院の精神科病棟が休止して以降、べてるのメンバーたちはみんなここに通院しています。

『治したくない』では、斉藤さんが診療所の日々に溶け込みながら、その日常の様子をえがいています。

「この三十年、多くの患者や医療スタッフとともに進めてきた『浦河の精神医療』を、ただ守るのではない。もっと大胆に伸ばし、広げ、変えてゆく。」(『治したくない』より)

川村先生は長らく日赤病院の精神神経科部長をしていました。そうした病院中心の医療体制から、医者をはじめスタッフたちがみんな地域に出て診療所を開院したことによって、浦河にはまた新たな精神医療が展開されてきていると言えます。

「治せない」、「治さない」、そして「治したくない」へ。

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見学者に診療所を案内する川村先生。

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待合室でくつろぐ早坂潔さん。

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診療所の暖炉。

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『治したくない』に出てくる「幻米」の田んぼ風景。



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『「脳コワさん」支援ガイド』(鈴木 大介、医学書院)

「脳コワさん」とは、病名や受傷経緯などが異なっていても、脳に何らかのトラブルを抱えた当事者のこと。

べてるにもいろいろな病名を持つ人たちが集っていますけど、みんなで一緒に当事者研究なんかしていくと、疾患カテゴリーをこえて、意外と「あるある」「わかるわかる」「あ、それ私と同じだ!」が出てきますよね。

疾患ごとの「違い」に着目する「医学」に加えて、「困りごと」の「同じ」に着目するしたのがこの『「脳コワさん」支援ガイド』です。

「原因」が何であれ、「対処法」は共通している。それは「困っていること」「困り方」が共通しているからです。

著者は脳梗塞を経験して高次脳機能障害を持つ鈴木大介さん。清水さんのグラレコもわかりやすくて、理解の助けになります。

とりわけ「認知資源」という解説がとてもわかりやすくて参考になりました。今後の当事者研究などでもたくさん登場しそうです。


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