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私のスキルシート
異動を検討されてるのかな。スキルシートを書く機会があったので、うーん、スキルなんてあったかな?ちょっと悩んで、自分なりに、書いてみた。……普通なら、MySQLでビッグデータが扱えます、とか、PythonでAIが扱えます、とか、動画編集できます、とか書くんでしょうか。そういうの、得意というほどじゃないので、ていうかやらされたくないので、パス。でちょっと悩んで、自分なりに、書いてみた。
1.帰納法
ごちゃごちゃした事象から最大公約数を求め、本質的でMECEな表現にまとめます。この問題の本質は何か?(多くはプロセスやコミュニケーションでなく、誰かの精神のボトルネック・人間関係)、この作品の面白さはどこにあるか(意外な遊びや動機に例えられることが多い)、など。
使用するツール:大脳内前頭葉前頭連合野
2. アイデアスクリーミング
何かしら新規もしくは戦略検討のためアイデアを出す場合、うーんうーんと唸るのではなく、私は脳の中のニューロンのつながり(スキーマ)を意識的に3次元のマインドマップとしてイメージして検索でき、自在に自分の引き出しを開けることができます。
使用するツール:大脳内海馬および後頭葉、側頭葉、頭頂葉
3. ゲーム理論などの戦略思考スキル
相手がある課題があるとき、自分たちのPro-Conだけでなく、そのアクションに対する相手のPro-Conも想像して、最適解を模索できます(囚人のジレンマ)。また状況分析するときに市場でなくても何の事象でも常に4P(上下左右)を見据えて分析します。
ツール:ロジカルシンキング
……これは昔会社をやってた時に雇ったオージーに言われて気づいた方式だ……。彼は陽気で楽観的、なんでも屋さんで私の片腕だった。それで、どう交渉しよう?と彼と協議してた時、私がいくつか考えられる策をあげたあと、彼は言った。
「So what do the opponent think of each?Let’s think.(じゃあ、それぞれに対して敵はどう考えるか?一緒に考えましょう。)」
なるほど、相手の立場になってこの案が受け入れられるかも考えるのか。じゃあ、1はない無いですね。3は要求レベルを落としましょう、という具合になり、交渉はうまく行った。彼は翌年独立開業したが、私は握手して抱き合って、彼の成長と成功を祝ったのだった。
4. ビリヤード、アーチェリー、ゴルフ、射撃(短距離)
一人で集中して、狙って当てる競技が結構得意です。同様に、新商品を考案して、思った通りのスマッシュヒットを当てていくぐらいの実績は多数あります(当たらないものは辞退する)。
ツール:各道具
5. 感動
普段寡黙ですが、私が本心で少しでも語った時、少しでも物語を書いたとき、会食をセッティングしたときの場所と空間の選定、お互いが嘘なく本気で少しでも一緒に仕事した時、相手に感動を与えることができます。
ツール:ハート
……私は感動するために生きている気がする。芸術や文学、天文や物理学の最新の知見、アニメや映画などのサブカルを必死で追い続けてるのは明らかにそのためだ。それ故、引き出しが多いし、私自身制作でもあるから作り手の視点で同時に冷めた目で見ることもできて、それがノウハウに、スキルになってきている気がする。書いておこう。書いちゃおう。
6.
まだ欄があるのかいな…… 私ヤレヤレ、と思ってため息をついた。
ため息……。
私、最近いろんなことがあって、それは全て失敗ばかりで、打ちのめされている。それで仕事でどうしても許せないことがあって、辞めますって言っちゃってから、しばらく経ったのだが、事態は好転していない。納得行かない慰留の説得をされ続けてるまま、何となく流されてる。そんなの私らしくないけど、私が意固地になってるのは分かっているのだけど……。今もその職場で何も事情を知らない秘書から、このシートを送信され、意図も分からずに、書かされているのだ。もう、意図を聞いたりする気力も無い……。
今もその辞めようとしている新品でおしゃれでだだっ広い青山のオフィスに一人残って、で支給されたPCは使わずに自分の持ち込みMacBook Proで記入しているのだ。
……ふと、繋いだ大きいデュアルディスプレイの壁紙として設定されている、私の推しキュア、キュアマリンこと来海えりかが、私の方を横目でじっと黙って見ていることに、気がついた……。
「チミは何をしているのかね…。」
そう言われてる気がした。えりかはお調子者でギャグキャラで変顔が楽しくてそれが人気のキャラ、と一般に思われているのだが、実は主人公のつぼみが出来ない時は強引に後押ししていたが、しかし出来るようになってきたら遠目で温かく見守っているという優しく思いやりのあるキャラクターなのだ。
そして、敵が強大な時は、率先して先鋒として真っ先に敵と戦い、やられてみて相手の攻撃を見極めてくる。危険を犯して、真っ先に。
まるで私みたいなやり方だ……。
今気がついた、そのことに。
その彼女がいま、無言で私を見つめている。
私はしばし美しい彼女の横顔に見とれていたが、ハッと気がついて、キーボードを、叩いた。
6.プリキュアの知識
プリキュアの全シリーズ・全話・全キャラクター(敵味方脇役)・名言・必殺技・グッズなど、すべて把握しており、それが日本の女児の情操教育に非常に寄与していることを説明でき、必要に応じて聞き手に当社の商品が何がどう響くか・また今、現場で何が大事かを、プリキュアに例えて説明する事ができます。
ツール:TV
と、パパッと打ち込んで、一読して誤字がないことを確認し、ファイルを保存して、秘書さんに何も書かず返信に添付して送りつけ、PCを閉じてバッグに入れて、オフィスを消灯して後にした。
そうだ。
私にはプリキュアがあるのだ。
プリキュアを全部見ている私にとっては、どんなツールを習得しているか?学歴がなんぼか?IQがメンサか?などのスキルのアピールなんて意味、ナイナイ。プリキュアを全部見てます、それだけで、意味、分かるでしょ?そう言いたかった。そう書けばよかったんじゃ無いの私、という思考ばかりが頭の中をぐるぐると駆け巡っていた。
異動があるのかな。でも、「それ」が分からないところに、私が行くわけないじゃない。何を考えているのか、会社。
私はイライラしたまま、大きなエレベーターに一人乗ってグランドフロアまでのボタンを押した。そして下降する際、早くつかないかとソワソワしている時、その全面ミラーな鏡に佇んだか細い姿が写っているのが見えた。
それは私の推しキュア、キュアマリンこと来海えりかだった。
彼女は私の方を横目でじっと黙って見て、そして言った。
「チミは何をしているのかね…。」
そんな気がした。
えりかがいま、無言で私を見つめている。
美しい横顔で、遠目で温かく見守っているのだ。
えりかがそんな時は、間違っていない、と言うことなのだ。
私は何をしているのか……。何をしたいのか……?
見えてきた気がする。
私は非常口から足早にオフィスを後にした。外のおしゃれな青山のオフィス街は漆黒で、小雨がパラパラと降っていたが、私は傘を差さず、足早にオフィスから離れることを優先した。
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