フレグランスと「男」「女」

フレグランスに「レディース」「メンズ」「ユニセックス」ってありますよね?
よく悩む方もいらっしゃいますが、複数本持っている方程気にしない事が殆どだと思います。

私自身も全然気にすることはないと思っています。フレグランスにおける「メンズ」「レディ
ース」「ユニセックス」って、利用者の性別の棲み分けではなく、「このフレグランスに性別を敢えて付けるなら…」くらいの、言わば「フレグランスそのものに対するまあ取り急ぎのイメージ」として掲げている、くらいのものがほとんどだと思っています。

「そうは言っても気になるよ…」
そんな方に私が「香水の(性別)用って全然関係ないな…!」と思ったエピソードを2つ。

1.強面ダンディ×フローラル(レディース)
私がまだ学生で、家具屋でバイトしていた頃のお話。
その店には「Yさん」という男性がいた。
身長は190cm程(自称)、家具を運んでいる為筋肉質。ツーブロック×オールバックの髪型に、趣味は煙草とウォッカというなんともダンディなナイスミドル。いつもビシッとスーツを決めたYさんは、私以外の方からは「ヤクザ」と影で呼ばれており(大変失礼)、本人もまた、「怖く見られる」「ヤクザみたいだろ(笑)」「小指があって良かった」とたまにヤクザギャグ(?)も飛ばしていた。加えて、責任ある立場ということで厳しく接する事もあり、年下からは威圧感の為か緊張を持って接せられていた。

反対に、私だけは非常に懐いていた。親世代の大声に慣れており、父も長身×筋肉質、加えて人の外見(強面)をあまり気にしない私には単純にビビる要素が無かった。ギャグのノリも合った(ノリが良い方なのだが、皆様ビビってここまで辿り着けない)。
そんな私に対してYさんも親しみを持って接してくれ、何かとお供に私を付けるようになった。

家具屋は共同作業が必要な業務が多い。滞在時間の長かった私は真っ先に手で「おいでおいで」と呼ばれ共同作業、そのうち周囲から「Yさんはslotが好き(好意的の意)だね」と言われるくらいになっていた。

私はYさんと共同作業をするのが好きだった。汗は滲むし走り回る事もあったが、Yさんと話せるのは楽しく、何より近づくとなんともいえない物凄く魅力的な香りがしたからだ。

Yさんはいい香りがする。
近づくとよりハッキリと香った。ジャスミンとマグノリア?ネロリ?濃厚な中にも瑞々しさのあるフローラルな香り。ただ、Yさんの場合は喫煙者なこともあり、そこに煙草の香りが加わる。これがなんとも良い香り。一匙のオリエンタル感もある女性的な花の香りに、煙草が加わる事で途端にダンディさが出る。花々の香りと喧嘩することなく俄然一体と混じり登り立ち込め、一気に厚みが増す。そして、あまり言いたくないがこの香りは少し汗ばんだ時に真の威力を発揮した。汗の香りも加わる事で雄みが増し、何ともセクシーな香りだった。ここだけの話、初見で嗅いだ時は動揺して2度見(?)した。

後にslot調べでファッションフレグランスのレディースの香水だと判明。似合いすぎて仰天した。

従業員の中には「近づくと香水臭い」という女性もいたので、さり気ない香りでは無かったと思う。ただ、そんな近づく人を選ぶ香りである所も本人にピッタリだと思い、そこも含めてやはり魅力的な香りだと思った。

2.お淑やかマニッシュ×アロマティック(メンズ)
学生の頃、Nちゃんという女性がいた。彼女は白い肌にふんわりと愛らしいピンクが似合いそうな雰囲気の顔立ち。反対にスタイルは爽快な黒髪のベリーショートに、マニッシュな服装を好んでいた。ふんわりとした話し方で、棘のある言い方もしない彼女は、私含むたくさんの人から愛されていた様に思う。

私とNちゃんは複数人の仲良しグループに所属しており、学校のイベントの際に私達グループが手伝う事になった。

たまたまNちゃんと2人きりで物品を運ぶ事になり、エレベーターホールで階表示のランプを眺めながら、ふと「爽やかな香り」を感じて振り返った。キョトンとするNちゃんと、「爽やかな香り」。気が付けば「なんかいい香りしない?Nちゃん?」と口から滑り落ちていた。

小さく「えっ」と漏らした後、「私かな?…お店で凄い良い香りの香水買っちゃったの。今日付けてみたんだけど、臭い?」とNちゃんは気恥しそうに下を向いてしまった。
「全然!凄い良い香りするな〜と思って!似合ってるよ!」と答えると、Nちゃんはパッと見慣れた笑顔で返してくれた。
この頃は沼にハマっていなかったので、香水が物珍しかった私は掘り下げて色々聞いてみた。そうするとNちゃんの使用していたフレグランスがメンズ物であると分かった。…メンズ!?

当時香水に疎かった私は女性のNちゃんかメンズの香水をつけてる事が衝撃的であった。加えてNちゃんの顔立ちはハンサムと言うよりも愛らしく、確かにスタイルはマニッシュであるが、それでも尚女性らしいと感じさせる彼女が…。

Nちゃんの使用していた香水はアロマティック(ハーブ感は無かったはず)なメンズ香水。爽やかなグリーンの香りに瑞々しいシトラス、甘みの無いウッディが輪郭を縁どりボケた印象は感じさせない。キリッと香り立つが力強さよりも透明感を感じさせるようなアロマティック。正にメンズ…。

だがしかしこの香りは彼女に実にピッタリだった。
愛らしい顔立ちや話し方にマニッシュなスタイル。一見すると相反して見えるこの2つを上手く「この香り」が繋ぎ止めていた。勿論香りがなくとも年中魅力的なNちゃん。だがこの香水を纏うことによって、女性性を感じる雰囲気と男性性を感じるスタイルがグラデーションの様に一体化し、「Nちゃんの香り」として自立していた。
似合いすぎ…そしてその香りをコーディネート出来るNちゃん凄すぎ…。



以上が私の「香水の(性別)用って全然関係ないな…!」と思ったエピソード。
巷での流行り、廃り、勿論香水にもあると思う。「皆が良いって言ってたのにしっくり来ない…」そんな時は「香水が似合わない」のでは無く、「その香水」が似合ってない可能性もあると思う。
そんな時は性別含め「テキスト」に囚われず、敢えてこれ!というものを纏ってみるのも手かもしれないです。

このnoteを記してみて、改めて私も似合わないかもしれないけど、メンズやアニマリックをを開拓してみようかなあ…と思った次第です。

皆様も良いフレグランスライフを!

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