住宅ローンの滞納そして差し押さえ
家や家財に「差押」と書かれた紙を貼られるドラマのようなシーンは実際なかなか起こらないとしても、どうなったら家を差し押さえられるのか?
また逆の立場から見て、差し押さえ物件はお買い得なのか?
購入するときの注意すべき点は?
家の「差し押さえ」について解説しましょう。
[差し押さえ]住宅ローンを滞納すると、家を追い出されるか?
差し押さえとは、国の執行機関(裁判所)が、債権者の申し立てに基づき、債務者の財産の事実上・法律上の処分を禁止する行為の事。
つまり、お金を支払えない状態が長く続いたときに、債権者がお金を回収できるように、財産を勝手に売ったり処分したりするのを禁じるのが、差し押さえです。
不動産においては、債務者(競売の場合は所有者)は、差し押さえの効力により、不動産の売却などができなくなります。
その後、「強制競売」または「強制管理(不動産から得られる家賃収入を債権者に配当すること)」が行われます。
簡単に言うならお金を返せないならこっち(債権者)で売ってお金回収しますという事ですね。
一般的な差し押さえの流れは?
例えば住宅ローンを滞納したとしても、すぐに差し押さえられ、競売にかけられるわけではありません。
競売になるまでには、以下のように段階を踏んで、債権者や裁判所からさまざまな通知書が届きます。
・督促状
督促状には、支払期日までに入金が確認できていないこと、滞納期間やその金額、「期限の利益」を喪失する可能性について、また、滞納が続く場合は競売や一括請求をすることもあることなどが記載されています。
この時点ではまだ「お知らせ」に近い意味合いがありますが、これに従わず、さらに滞納が続くと、電話が来たり、催告書(最終的な督促状)が届きます。内容もより厳しいものになっていきます。
・期限の利益の喪失通知書
滞納が始まって3~6カ月くらいを過ぎても支払いが行われない場合、「期限の利益の喪失通知書」が届きます。
つまり、この通知書が届いたら、住宅ローンの分割返済の約束は無効となり、債務者は、残債を一括で支払わなければなりません。
・代位弁済通知書
債務者は残債を一括して返済できないでしょうから、ローン保証会社が代わりに返済します(代位弁済といいます)。
債務者のもとには、ローン保証会社からローンの残金を代わりに支払ったという通知書が届きます。
これ以降は、保証会社から返済を求められるようになります。
・競売開始決定通知書
さらに保証会社への支払いがない場合、保証会社が地方裁判所に競売を申請。
これが認められると、最終的に家の差し押さえが行われます。
家が差し押さえられ、競売が開始されることが決まった、という競売開始決定通知書が送られてきます。
このあと、裁判所の執行官、不動産鑑定士が対象物件を訪問し、競売基準価格を査定。その後、競売にかけられ、落札者が入金を済ませると、物件の所有権は落札者に移ります。
任意売却とは?競売との違いは?
住宅ローンの返済が滞ってしまっても、すぐに家を差し押さえられて競売にかけられるわけではありません。
強制的に競売にかけられてしまう前に「任意売却」という方法をとり、持ち主自身が家を売却することも。
もし買い手がいれば、価格面など、競売よりも有利に進められることが多くなります。
任意売却は、競売の入札が開始された後では難しくなるため、早めに相談してみましょう。
また、物件売却をするための期間も重要。
任意売却は、競売開始前に行う必要があるため、妥当な売却価格かどうかなどを考慮するには、十分な期間が必要です。
自分が「買う」側の場合、差し押さえ物件はお買い得?注意すべき点は?
差し押さえ物件は原則として広告に出ないので、仲介会社に行ったときに「差し押さえがついていますが」と紹介されるケースが多いと思います。
自分が「買う」という立場で考えた場合、最大のメリットは、市場価格より安く買えるということ。
ただし、購入したい場合は慎重に考えましょう。
また、競売と違って国税庁や税務署が売りに出す「公売」なら、価格は市場価格並みですが、競売より安心な点が多いということも知っておきましょう。
まとめ
・住宅ローンを滞納したらすぐに家を差し押さえられるわけではない
・競売の入札が開始される前なら「任意売却」という方法も選べるので要相談
・自分が「買う」場合は、リスクも多いので慎重に考えたいもの
任意売却や競売にならない為に購入の際は無理のない返済計画を考えましょう。
競売についてはまた別の機会に。
ではまた!