2006年-バリ島関連写真_011

【創作日記】バリ島・旅日記-その4


2017/10/02: ブログ転載記事

朝の散歩に出かけていた私は、知人と約束していた時間から少し過ぎたころホテルへ戻った。

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ホテルの庭園を通ったとき、屋外用ソファでくつろいでいた知人を見つけた。

「遅かったですね。迷子になったのかと思って心配しましたよ」

「すみません。現地の人と話をしていて遅れてしまいました」

「英語は通じましたか?」

「いや、日本語で声を掛けられました。日本語を上手くしゃべる男でしたね」

「ああ、ガイドですね。まぁ、信用のできる人もいるけど、日本と同じでいろいろな人がいるから、注意したほうがいいですね」

知人は落ち着いた口調で言った。

「はい。話をしただけだから、大丈夫でした」

「そろそろ街を散歩しましょうか。ああ、そうだ。繁華街に鏡屋さんがあるんです。面白い鏡があるから見に行きましょう」

私は知人に誘われて、街に繰り出すことになった。宿泊しているホテルから20分ほどの距離に、その店があるという話しだった。

ホテルから離れて歩いていくと、バリ島の街並みは私には刺激的で珍しく映るものばかりだった。

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和洋折衷の三階建ての建物の近くに、藁葺の平屋建ての建物が建っていたりする。そのような光景を見ていると、なぜか、既視感のような、郷愁のようなものを感じる。

なぜ、そのように感じるのか。皮膚感覚なのか、私には理由は分からなかった。

しばらく繁華街をぶらぶら歩き、目的の店に入った。

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カウンターにいた女性店主は、愛嬌のある笑みを浮かべながら近づいてきた。

知人はうれしそうに、その店主に英語で話しかけた。

店主はにこやかな表情で、片言の日本語で応えた。

「タイヘン、オセワニナリマシタ」

「参ったなぁ」

知人は一本取られたというように、両手を広げおどけてみせた。

壁に色々なかたちの鏡が展示されている。私は好奇心に駆られ、店の奥まで足を運んで鏡を見て回った。

「ここにある鏡は、メキシコ製です」

「初めて見ました。珍しい鏡ですね」

「そうでしょう。前回訪れた時に購入して知り合いのお客さんに勧めてみたら、全部売れましたよ。珍しいものを好む人はいるもんです。まだまだ、他にも見てもらいたいものがあるんです。そろそろ店を出ましょうか」

知人はそう言って、出入り口に足を向けた。


※この【創作日記】はフィクションであり、実在する個人、団体等とは一切関係ありません。

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