積立投資をさらに効果的にする投資手法を公開!それは「エンハンスト・ドルコスト投資法」だ!
積立投資における大きな誤解?
まず、積立投資において、よくある誤解について。
普通、自分の積立投資の評価額の損益率を見て、プラスだと「儲かってる!」と喜び、マイナスだと「損してる・・・」と落ち込みがちだ。しかし、実は積立投資を行っている間は、むしろマイナスの方がよいのだ! それはナゼか??
積立が全て終了した時点で評価額がプラスなら儲かっていることになるが、まだまだ積み立てている途中でプラスになっていると、今までの平均買い単価よりも高い値段で今月分を買うということになる。
逆に、今マイナスであれば、これまで買ってきた値段よりも今月は安く買える、ということなのだ。だから、積立期間の途中でプラスであることは必ずしも喜ぶべきことではなく、理論的には、買い付けをしている期間はずっとマイナスで、積立が終了した瞬間から急騰してくれるのが最も儲かるのだ。現実には、そう上手くはいかないだろうが・・・
だから、マイナスの時は悲しむのではなく、「バーゲンセール期間が来た!」と喜ぶべきなのである。しかもドルコスト平均法なら、その期間には今までよりたくさんの株数を勝手に買ってくれるのだから。
相場の上昇・下落、自分の損益率に応じて積立額を増減させる
そこで、ドルコスト平均法のこの特性を活かして、さらに効果的にしようと思えば、自分の積立投資がマイナス評価になっている時は積立額を増やし、大きくプラスになっているときは積立額を減らす、ということをやればよいのだ。
だから今回のような大きな下落局面でやるべきことは、間違っても積立投資の解約や停止ではなく、逆に月々の投資金額をむしろ増やすべきなのだ。これまで毎月1万円積立投資をしていた人は、1万5千円や2万円に増やせれば理想だ。
ただ、どういう時に積立額を増やし、どうなれば逆に減らすのか、というのを自分の相場観だけでやると、結局、「当たるも八卦のバクチ」になる。だから相場観など一切入れずに、シンプルなルールを決めておけばよい。
自分の相場観でやらず、積立額を増減させるルールを決めるべし!
例えばこんなルールにしてはどうか。
積立投資の「評価損益率」が、
▲20%~20%なら積立金額はそのまま変えない(1万円/月のまま)
▲20%を下回れば増額(1万円/月 → 1.5万円/月)
+20%を超えれば減額(1万円/月 → 5千円/月)
そうすればドルコスト平均法をさらに強化できて、安い時にはさらに多く買って、高い時はもっと少なく買う、ということになるになり、ならすと通常のドルコスト平均法よりさらに高いパフォーマンスが期待できる。
これが、名付けて「エンハンスト(強化した)ドルコスト投資法」だ。
ドルコスト平均法を少し工夫することで、通常よりもっともっと積立投資を活かせるはずだし、積立期間が長い若い人ほど時間効果が効くので、最終的にはより大きな差になるはずだ。「ほったらかし投資」でも十分儲かるとは思うが、それでは退屈で物足りない、という人はこのあたりから始めてみてはいかがだろうか?
先程の例でも、▲10%でまず1.5万円にして、▲20%では更に2万円にする、など色んなバリエーションが考えられるので、自分なりに工夫して楽しんでください。
最後に、文章ではとても分かりにくいが、通常の「ドルコスト平均法」の効果と、それをさらに強化した「エンハンスト・ドルコスト投資法」の具体例を以下に示したので、詳細を検証したい方はこちらで確認してください。数字が苦手な人は、上のカッコ内の結論だけ応用すればいいと思いますが。
<参考>
~ドルコスト平均法の効果~
【ケースⅠ:時価が変動しない場合】
毎月、1万円ずつ積み立て、時価1,000円のインデックス投信を買ったとすると、10口買える。時価1,000円がずっと変動しないままこれを1年間続けると、
総投資額は、1万円×12か月=12万円
総口数は、10口/月×12か月=120口
1口当り簿価は、12万円÷120口=1,000円
実際の時価は日々上下に変動するので、次に以下のようなケースで考えてみる。
【ケースⅡ:時価が上下に±30%変動する場合】
期間①:最初の4ヶ月間は30%下落した700円
期間②:次の4ヶ月間は30%上昇した1,300円
期間③:最後の4ヶ月間は【ケースⅠ】と同じ1,000円
<期間①>
総投資額は、1万円×4か月=4万円
総口数は、1万円÷@700円=14.29口/月×4か月=57.14口
1口当り簿価は、4万円÷57.14口=700円
<期間②>
総投資額は、1万円×4か月=4万円
総口数は、1万円÷@1,300円=7.69口/月×4か月=30.77口
1口当り簿価は、4万円÷30.77口=1,300円
<期間③>
総投資額は、1万円×4か月=4万円
総口数は、1万円÷@1,000円=10口/月×4か月=40口
1口当り簿価は、4万円÷40口=1,000円
<年間合計>
総投資額は、4万円×3期間=12万円
総口数は、57.14口+30.77口+40口=127.91口
1口当り簿価は、12万円÷127.91口=938円
注目すべきは、同じように毎月1万円を積み立てて、年間の総投資額はどちらのケースも同じ12万円であるにも関わらず、
保有する口数は、【ケースⅠ】120口<【ケースⅡ】127.91口
1口当り簿価は、【ケースⅠ】1,000円>【ケースⅡ】938円
と【ケースⅠ】より【ケースⅡ】の方が「安く、たくさん買える」のだ。
~「エンハンスト・ドルコスト平均法」の効果~
さらに、下落した局面では買入金額を増やし、上昇した局面では買入金額を減らすとどうなるか?
【ケースⅢ:時価変動に合わせて買入金額を増減した場合】
期間①:時価が30%下落した700円の時→買入金額を1.5万円に増額
期間②:時価が30%上昇した1,300円の時→買入金額を0.5万円に減額
期間③:時価が前の例と同じ1,000円の時→買入金額は1万円のまま
<期間①>
総投資額は、1.5万円×4か月=6万円
総口数は、1.5万円÷@700円=21.43口/月×4か月=85.71口
1口当り簿価は、6万円÷85.71口=700円
<期間②>
総投資額は、0.5万円×4か月=2万円
総口数は、0.5万円÷@1,300円=3.85口/月×4か月=15.38口
1口当り簿価は、2万円÷15.38口=1,300円
<期間③>
総投資額は、1万円×4か月=4万円
総口数は、1万円÷@1,000円=10口/月×4か月=40口
1口当り簿価は、4万円÷40口=1,000円
<年間合計>
総投資額は、6万円+2万円+4万円=12万円
総口数は、85.71口+15.38口+40口=141.09口
1口当り簿価は、12万円÷141.09口=850円
年間の総投資額は、このケースでも同じ12万円である。しかし、
保有する口数は、
【ケースⅠ】120口<【ケースⅡ】127.91口<【ケースⅢ】141.09口
1口当り簿価は、
【ケースⅠ】1,000円>【ケースⅡ】938円>【ケースⅢ】850円
と【ケースⅡ】よりさらに【ケースⅢ】の方が「安く、たくさん買える」!