【創作】閑話 ①
文官さんから教えてもらった、この世界の雑学。
その中に数字の話がある。
こちらの世界は、ほぼ十二進法で成り立っている。
数字の表現は日本と同様で、こちらの世界でも数字を表す記号が文字とは別に存在していた。
0から11の意味を持つ12個の数字専用文字がある。
表記方法もほとんど日本と変わらず、右端揃えで、右が1桁目になるし、桁が増えれば左に増えてゆく。
足し算、引き算、掛け算、割り算という計算方法や考え方はそこそこ知られており、分数もあるが、割り算は余りを分数で出し、小数点という考えはないらしい。
例えば 37÷12の答えは、3と1/37
小数点について気になったので、文官さんだけでなく、宰相補佐こと補佐さんにも質問し、自分なりに説明してみた。
が、小数点がいかに計算しやすかろうと、円周率みたいに延々続く割れない数字は、分数の劣化版と考えられるだろうと言われた。
割り切れないヘイト、すげぇ。
それ以外にも、13日の金曜日みたいに、縁起の悪い数字は割り切れない奇数なのか尋ねてみた。
この世界は12進法なので、奇数は1,3,5,7,9,11。
1は一番初めの数字、1位など優劣における最上のものだそうで、1は優れた数と考えられているそうだ。
3は3と4の掛け算で12が出来上がる、という考え方から、女神様の愛し子的な数字扱いらしい。
……愛し子?
要は何か贈り物があったら、5個1セットよりは3個か4個で1セットの方が良いとのこと。
5は最も避けたい数であるそうだ。
けっこうな真顔で教えてくれた。
7については、星の周期で重要な72という数の中にある7なので、割り切れないけれど外せない数字。
7人目を忘れるな=大事なことを忘れ、人の道を踏み外すな。という意味の諺もあるそうだ。
9に関しては奇数だが、愛し子の3と3が合わさったもの。また足していくと、72という数にたどり着く(9×8)ので問題ない数字。
11もまた、桁上がり前の最大の数であり、女神を表す12に最も近いとされ、広義に努力する人を表すこともあるんだそうだ。
結果、この世界における年月の歩みに関わる数字や、何かの単位の中にほぼ入ってこない5という数字が嫌われている。まあ、理由を聞けばわからないことも無いな。
クラスメイトで考えると、誰ともで話すけど、放課後ぼっち的な ?!
おい、やめろ、こっちを指差すな!
逆に、12という数は女神様に深く関わる数字なので、とても大切にされている。
数字ではなく、文字の中に12を意味する表意文字があることからも、その信仰の程はわかりやすい。
日本語に例えると十や百、恒河沙みたいな単位と概念が混在する漢字が近いかな。
ちなみに、12という数字は3と4が手を取り合ったことで出来上がっている愛の結晶という、謎の桃色メルヘンな話が一般常識だそうだ。
冴えない陰キャには辛いぞ、異世界常識いぃぃ。
逆に、5という数字は公然と嫌われていて不憫だ。
日本でいうところの 4=死、9=苦しい、みたいな、迷信的な嫌われ方をしているように思える。
何でも、嫌われてる理由が例の桃色メルヘン話に関係しているらしく、≪4と3が手を取り合って愛し合っていたのに、4が善悪の二つに別れてしまい、悪い方の片割れ2が愛し子の3を独占した≫ ことから、浮気や別れる、破滅、孤独に捨てられる等という迷信が根付いているようだ。
…何だそれ。
桃色メルヘンな上に、数字擬人化かよ(汗)
なので慶事の贈り物に5という数字は持ち込まないのが賢明だと教えてもらった。
それ以外の割り切れない数字達も、おめでたい場では余り好まれないのだそうだ。
世界が変われば常識が変わるんだと感心した。
(とある設定の異世界で、召還された勇者サンの独り言的なお話。設定を作るのは好きだが、本編書くほど熱量も文才も無いので、こんな感じの閑話ばかり書いてます。)