そんなときには、納豆ご飯
日曜、今日は結婚式後のアフターパーティーにお呼ばれした!
"銀座"の結婚式ときいて、白のレースに紺色のリボンがチャームポイントのお気に入りのドレスを着て、久しぶりに着飾ってみる。
楽しみだ!だけどひとつ不思議なことは、数年前に数回程ランチに行ったことのあるだけの私を、なぜこの大切な日に招待してくれたのだろうか、ということだった。
友達と合流して、いざ会場へ。
まるで緑の箱の中に迷い込んだみたいに錯覚するデザインの天井の高い廊下をぬける。
エレベーターのドアが開くと、「海外にきた?」と錯覚してしまうほど、絵に描いたようようなスラッとした人々が、シャンパン片手にフランス語を話していた。
そうか!旦那さんは、フランス人だと言ってたな。
カウンターで私もシャンパンをうけとると、白髪のきれいな目のおじいさんが乾杯しにきてくれた。思わず「Bonjour!」と挨拶すると、「おー、あなたフランス語話せるの?」みたいなことを言われた気がして、急いで「No,no」と否定すると、少し寂しそうな顔をされてしまった。あー、フランス語が話せたらよかったのにーー!もっと気の利いた言葉でも覚えておけばよかった。あとでもう一度話しかけてみて唯一わかったことは、彼はどうやら新郎のパパらしい。
そして、新郎新婦が入場。
思わず「わっ!」と声が上がるほど、すてきなドレスだった。桜をモチーフにしたピンク色のドレスに、所々白いレースがふわっとついている。ウエスト部分には白い大きなリボン。まるでディズニープリンセスのようだった。
新郎新婦や会場の方々と少し会話をしつつ、目で見ても楽しい小さな小さなハンバーガーやチーズを口にする。中でもピンク色の一口サイズのシュークリームが絶品で、三つも食べてしまった!
しかし会場にいる人と話す中で、ふと気づいたことがあった。
それはだれも新郎新婦とそんなに深く仲良い関係ではないということ。
親族も少なくみえたが、やはり一次の式典で帰ってしまった人が多いらしい。
参加者たちは、たった一度の二人の大切な会を心からお祝いしているというよりも、華やかなパーティーの一つに参加しているという感じにもみえた。私も含めてそういう気持ちだった。
二人は本当に幸せなのだろうか。
誰の何のための、この日なのだろうか。
私の中で途端に今まで華やかにみえていた景色が、サッと空虚なものに変わってしまった。
以前エチオピア人同士の結婚式に参加させてもらったことがある。その時は、小さな市民センターの一部屋で、みんなで輪になって踊ったり、エチオピア定番料理のインジェラを食べたり、あたたかく楽しい時間だった。
何が大切かは、その人によってちがう。
一つの出来事に対しての見方や解釈も、その人によってちがう。
だからおきた出来事も、その人自身についても、決めつけてはいけない。
できる限りより良い方の考えを、ただ自分が「選ぶ」ことだけが私のできることだろう。
今回私が感じたことが全てではないのはわかっている。けれど、一度感じてしまった空虚さは、私の中で違和感となってひっかかって、なかなか取れなくなっしまったのだ。
そんなことを悶々と考えながら帰路についた。
どうやら行きの楽しみな気持ちは、会場のどこかにおいてきてしまったようだ。
ドレスをおくために、実家へ帰る。
家のドアを開けると、母と犬がいた。
その途端、小さくて美味しいものをたくさん食べてきたはずの私のお腹は途端に動き出した。
「あーお腹減った!晩ご飯なにー」と私にかえる。
「食べてきたんじゃないの?」と言いながら、母が嬉しそうに用意をはじめる。
その間に私はお風呂に入る。
お風呂上がると、「魚、久しぶりでしょ?」とシャケを出してくれた。
夜はお米を食べない派だから、私の晩ごはんにお米はいらない。それを母は知っている。
でもその時私はどうしても、納豆ご飯を食べたくなった。
この空虚さとサヨナラしたい、
そして私は実感したかったんだと思う。
シンプルでふつうに美味しい私の好きなものこそ、これが私の日常であり、それが納豆ご飯である、と。
いただきます!
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