二 権威主義と過覚醒
警察社会は階級社会である。また、警察組織は職階とは別に(警視、警部、警部補、などの)階級が設けられているため、他の組織に比べ上下関係がはっきりし、上意下達が徹底されている。警察組織において、しばしば上位者に対して下位者の服従がみられるのはそのためである。警察官は職務規範としてその構造を受け入れていることから権威主義的傾向にあると考えられる。
人間の行動や判断の基になる考えをパーソナリティというが、人が生まれつき備えている性格的なものに加えて家庭環境や周囲との人間関係、成長の過程で作られるものとされている。以下のような傾向が見られる権威主義的パーソナリティであるが、特に、⒈の”権威への従順”や⒍の”硬直した思考”、⒌の“異質性に対する敵意”などは警察官として奉仕する過程で身につきそうなものであると感じられる。
これらの権威主義的傾向は準軍組織に顕著であるが、加えてストレスに晒されることによって起きる身体の過剰な警戒状態『過覚醒』もまた警察官に顕著である。