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マッチングアプリで初めて会ったシングルマザーの話


みなさんはマッチングアプリで会った1人目のことを覚えているだろうか。俺は強く印象に残っている。
就職した会社で働き1年が経った頃、俺はようやく一人暮らしをするための資金を貯めることに成功した。

「これからは女の子を家に呼びまくるぞ!」

ワクワクしながら俺はマッチングアプリをダウンロードした。
それからは毎日、毎日、ひたすら右スワイプをした。
下手したら腱鞘炎になる勢いだった。
そこで1人のシングルマザーとマッチした。偶然、住んでる地域が同じだったのでトントン拍子で俺の家に来ることになった。

「セ⚪︎クスってこんな簡単にできるものなのか…シングルマザーってことは子育て経験ありってことだよな。赤ちゃんプレイしたいなぁ…」

すぐに部屋の掃除に取り掛かる。

「だがこのイカ臭い部屋をなんとかしなければ…」

ファブリーズを丸々使い切った。
よし、これで準備完了だ。
ドキドキしながら待っていると「ピンポーン」と音が鳴った。
いつもよりインターホンの音色が美しく聞こえた。
なぜなら今まで宗教の勧誘BBAかNHKの集金しか俺の家に訪れなかったからだ。
ドアを開けると、写真よりも数倍綺麗な美女が立っていた。

「俺は今からこの美女と赤ちゃんプレイできるのか!?いやまて、ここで取り乱したら童貞ということがバレてしまう。落ち着け」

それからの俺は冷静だった。
彼女を部屋に案内して、彼女と共通の趣味のゲームの話をすることにした。

「趣味がゲームって書いてたけど何するの?」『こ…』
「こ?」
『荒野行動』
「え?マジ?俺もめっちゃするんよ」
『ほんと?』
「うん!よかったらデュオしようよ」
『え!いいよ!しよしよ!』

これは仲良くなれるチャンスだ。

「ドン勝させてあげるね笑」
『え?けっこう上手いの?』
「うん。まあ暇なときずっとやってるからね笑」
『頼もしいなぁ笑』 

さぁてと、このままいいところを見せてゲームもセ⚪︎クスも優勝しちゃうかぁ。
しかし、ゲームが始まった途端、彼女の態度が豹変した。

『ピン刺したとこに降りて!2人で降りないと、敵が来たときカバー遅れるから!』
「違うとこ降りちゃった」
『何してんの!まって、右から足音する!左から回ってカバーしに来て!』
「あ…あ…」
『ここは戦場だよ?!気を抜かないで!2キルした!そっちは?』
「もうやられた…」
『はぁ…もう…だから1人で降りるなって言ったじゃん』
「ごめん…」

そんな彼女の立ち回りは見事だった。1対複数に慣れている。

『基本私はソロスクワッドでプレイしてるからね。ソロデュオなら余裕かも』

敵にエイムを合わせるのがとにかく上手い。
全弾ヘッドショットをぶっ放す。
彼女の15キルドン勝で試合終了。

『あー。楽しかった!じゃあ子ども待ってるしそろそろ帰るね』
「うん。じゃあね」

その後、俺は朝まで泣きながら荒野行動をプレイした。


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