役目を終えたモノが、新たなモノの出発点になる~「捨てない。展」を訪れて
港区青山の Itochu Garden で行われていた、「捨てない。展」に行ってきました。以下、概要と感じたこと、考えたことです。
不要になったから、役割を果たしたから…… と様々な理由で、世の中のあらゆるものが日々廃棄されている。
大切にしていたモノ、欠かせない役割を果たしていたモノを、手放したその先を考えさせるような展示だった。ペットボトルや梱包材など生活に密着した物の処理方法についてのパネルや、使われなくなった「跳び箱」「ソーラーパネル」をアップサイクルして作られたインテリアなどがあった。
この展示は、 伊藤忠商事株式会社が主催し、産業廃棄物処分業の株式会社ナカダイなどが協力している。
日本では、排出される廃棄物のうち54%がリサイクルされている。ナカダイでは、さらなる可能性を求めて「捨てる」業界と「使う」業界の垣根を越えて、不要になったモノの流れを最適化する提案を行っている。
運ばれてきた廃棄物は、まずリユースできないか考える。リユースは処理コストや環境負荷がないため、最初に検討すべき方法だが、廃棄物処理場の現場にはない選択肢だった。
次に、リサイクルを考える。材料リサイクル、熱エネルギーリサイクル、いずれにもできなかった廃棄物のみ焼却、埋めたてされる。こうして、株式会社ナカダイでは、およそ99%をリユースまたはリサイクル処理している。
「捨てない。展」という名でありながら、”捨てない。という心で新しい捨て方に出会う” ”ゴミを減らしましょう より、何かに使えるかな? を考える方がおもしろい” と、全体的に”捨てる”ことを良しとしている点に少し違和感を感じた。
展示にあったように、リユース、リサイクルをすること、アップサイクルをすることはとても楽しいし、大切なことであると思う。
しかし、現在の技術ではリサイクルができたとしても、完全に資源が循環しているわけではない。リサイクルの過程でのエネルギー損失に加え、廃棄物や製品を輸送する過程でも資源を消費している。
リサイクルはとても大切な技術で、これからも進歩していくと思うが、環境問題、ゴミ問題において夢のような解決策ではない。
私たちは生活の中でモノや資源を大切にし、捨てると使うが一体化したモノづくりや、消費の仕方が変わることで、社会の中からゴミという概念自体が無くなったらいいなと思う。資源循環の環(わ)が閉じ、役目を終えたモノが、新たなモノの出発点になる、そんな社会になって欲しい。そして、そのための変化の糸口になりたい。
「システムが変わるのを待っていてはいけない。私たちひとりひとりがシステムなのだから。」
私たちの価値観、そして行動の変化が求められている。