キャラじゃないなんて甘えてるから逃してばっか
超歌手・大森靖子さんの曲のタイトルに、『ミッドナイト清純異性交遊』がある。わたしは、この曲を初めてラジオで聞いたとき、このひとは言葉遊びの天才だ!と思った。
曰く、歌詞はスマホでぽちぽち作成することも多く、琴線に触れた言葉をメモにストックしているらしい。そんな彼女の、『ミッドナイト清純異性交遊』の歌詞の中で一番すきなフレーズは、“キャラじゃないなんて甘えてるから逃してばっか”
他にも、「わかってほしいとか思わないけど、わかんないとかちょっとどうかと思う/GIRL’S GIRL」という歌詞が好きで、微妙な感情を表すのに長けているな〜といつも感動する。
西野カナさんみたいなコテコテの歌詞に共感できたことはないけれど靖子ちゃんの歌詞にはいつも共感する。
言葉の企画、第3回目の今回は、「名付けの企画」。
『あなたのまわり(社会・仕事・趣味・家庭など)で、
よく見掛ける事象に名前をつけてください』
ふと、靖子ちゃんのこの曲名を思い出した。
「不純異性交遊」をもじった、「清純異性交遊」。
言葉遊びは大好きだけれど、名付けは大の苦手だった。
わたしの言葉遊び好きの始まりは、西尾維新さんの作品にハマったことがきっかけだと思う。
高校2年で「構造の比喩を見つけて造語を作りましょう」っていう授業の時から、自分で言葉を生み出す楽しさにはまり、でも全然思いつかない…!といつも行き止まりも感じ、それを繰り返してきた。
(当時はちょうど、”就活“から”終活“ ”婚活“みたいな言葉が出始めたばかりで、構造の比喩って面白いな〜でも難しいな〜と思っていた)
わたしが講義前に考えていた、「良い名付けの法則」はこちら。
1.語呂がいい(耳に残る語感であること)
→一度見たり聞いたりしただけで覚えられる
2.ある程度、社会的に意味や文脈が共有されている
→諺や慣用句を文字ったものなど
3.その言葉があることによって、事象そのものが分かりやすくなっている
そして、阿部さんの講義を受けて、改めて知った法則がこちら。
1.A×Bの単語の組み合わせ
→感想文庫、HELPUSH
2.みんなが知ってる強い文脈をずらす(歴史・故事成語)
→アレンジャーズ、飛んでジム行く夏の女子
3.見立てて名前付け(ビジュアルから名付ける)
→しつもんニョッキ、電車内狛犬
4.既にある名前に違う響きを持たせる
→ジャパネットたかた、ワイファーーーイ
事前に考えていた、「良い名付けの法則」と合致するところは、ほとんど2に集約されていた。
わたしはいつも、言葉尻だけで音の面白さだけで選んできたような気がする。
名付けにとって大切なのは、土台となる「意志」。
なぜ作られたか?なぜ必要なのか、が一番重要。
輪郭がなかったものに、輪郭をつけてあげるのが名付け。
言葉遊びだけでなく、本質を見極め、土台を確立し、その上で語感や語呂を意識することが大切なんだな、と気付かされた。
前回の講義でも、今回の講義でもそう。
わたしは、本質を見抜く力が弱く、上澄みを掬って落ち着きがちなのだということがわかった。
それじゃだめだ、伝わらない。
もっと本質を、深掘りしなくっちゃ。
わたしが阿部さんのことを知ったきっかけでもある「感想文庫」
についても言及されていて、なんだか嬉しくなった。
講義内で、実際に20分間で2つのテーマについて名付けるワークが設けられ、近くに座っていた8人くらいで取り組んだ。
まず最初の10分、個人で考えた後グループで共有した時、グループの皆の瞬発力に驚かされた。
わたしは、10分ではほとんど案を出せなかったのに対し、グループの皆は10に近い数を考えられている人もいて、悔しさと、凄い!という気持ちと。
限られた時間の中でアイディアを出す力がまだまだ足りないな、と思った。アイディアの瞬発力をつけたい。
そのためには、日々の生活の中で起こる事象に、ガンガン名付けをしていって、練習する必要がある。
たまーに自分の中のバズワードみたいなものがあるのだけれど、それも数日すると忘れてしまうから、靖子ちゃんみたいにちゃんと、書き留めておきたい。
言葉の企画とはまた、すこし違うのだけれど。
この講座に通い始めて、「凄い…!」と思う人に出会う機会が増えた。
というか、みんな凄い。
だけど、自分の自己肯定感の低さから、凄い…!という感情でいっぱいいっぱいになってしまって、何が凄いのか、凄さの秘訣はなんなのか、聞いたり、言語化することができずに、ただただ「凄い…」と思うばかりの毎日。
この「凄い」の中身を、もうちょっと言語化すべく、深掘りしていきたいと思った。
”キャラじゃない“なんて甘えるのは、もうやめるね。