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よどんだ気持ち

納涼会だった。3年か4年ぶりくらい。

全く楽しくなかった。
みんなはタダ飯を
楽しんでくれただろうか。

酒も飲まないのに
焼肉に参加して
人が酔うのを眺めている。

本当に楽しんでいる笑顔の間で
つまらなそうにしている顔を見ると
参加しなかった人間の顔も浮かんでくる。

私もホストでなければ
この場所にいたくなかった。

喧騒でも頭の中の懸案事項の
ささやかな音が
その切れ目やリズムまでハッキリと
鼓膜を刺激する。

こんなとき走れたらな。

母親の生命。
経営。
他所からのクレーム。

そんなことばかり気になる私は
この立場は向いていないかもしれない。

翌日目が覚めて
教会へ行き
子供を宥めすかして
母親に会いに連れて行く。

美しかった黒髪が
まばらになった母親の目の奥を覗き込む。

恥ずかしげもなく
人前で母の手を握る。

昼間から花火をする子供達。
暗くても明るくても花火は
自分の役割を全うする。

子供が話しかけてきても上の空。

そのまま仕事に戻る。

少し仕事して
空き時間に走る。

炎天下。

倒れられるなら倒れてしまいたいのだろうか。

もう自分がどうしたいのかわからない。
目標が、ポリシーがある人間が羨ましい。

全ては神の思し召しに。

決めるのは神。

私は受け取る。

全てを感謝する。

短い距離だけれど
走り切った。

きっと人生も同じ、
あっという間に
暑い中を走り終わってしまう。

花火が消えるように。

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