「おつまみガチャ」は、どこからやって来たのか
「ベルリン酒場探検隊レポート」
硬貨を入れてガチャガチャ回すと、好みのピーナツ缶が出てくる「おつまみガチャ」(勝手に命名)。ベルリンの酒場でたまに見かけていたが、なんと東京のおしゃれなビアパブで同一商品を発見した。いったい「おつまみガチャ」はどこからやって来たのか。
レポート提出者:久保田由希
「おつまみガチャ」(勝手に命名)とは
(われわれが「おつまみガチャ」と呼ぶ物体)
われわれベルリン酒場探検隊が勝手に命名した「おつまみガチャ」とは何か、まずは説明したい。
これはナッツ缶の自動販売機である。
透明な筒状内は9つ(たぶん)に分割されており、各スペースに各種フレーバーのナッツ缶が積まれている。お客は円筒の透明部分を左右に回転させて、筒正面部分に好みの缶を合わせ、指定金額のコインを投入口に入れる。そして投入口横にあるレバーをガチャガチャと回すと、缶が出てくる仕組みだ。
「おつまみガチャ」からピーナツ缶を購入した様子は、過去記事「酒場に鎮座する、謎の物体の数々は」で写真入りで紹介したので、詳しくはそちらをご覧いただきたい。
通常「ガチャ」と日本で呼ばれるカプセル入りおもちゃは、自分の希望する商品を選ぶことはできない。この「おつまみガチャ」は商品を選べるという点で「ガチャ」と呼ぶのは正確ではないと思うのだが、円筒やハンドルをガチャガチャと回すことから勝手に命名した。どうかご留意願いたい。
なぜ東京のおしゃれなビアパブに?
これまでベルリンで約50軒の酒場を探検した中で、「おつまみガチャ」を見つけたのは3軒だ。母体が少ないが、確率にすると6%か。よくあるとは言えないものの、希少というほどでもないだろう。
(ベルリンの酒場で。これは目立たない場所に置かれていた)
(ガチャで買ったピーナツ缶をつまみに)
しかし、これと同じものが東京にあったのである。しかもベルリンの酒場とはかけ離れた、おしゃれなクラフトビアパブで。クラフトビールのタップが数十種類ズラリと並んだその端に、見慣れたあの円筒が立っていたのである。
(東京のおしゃれな店内にあると、おしゃれに見えてくるから不思議だ)
(そして東京でもピーナツ缶をつまみに)
「すみません、こ、この円筒は……?」と思わず近くのスタッフにたずねてしまう。
「こちらはナッツの缶でいろんな種類がありますので、お好きなものをこの位置に合わせていただいて」と、丁寧に説明してくれる。説明どころか、実際に円筒を回してくれて、こちらにコインを投入してください、そこのレバーを回してください、と至れり尽くせりである。ベルリンの酒場とは大違いだ。それがいいとも言わないが。
無事に缶を入手すると「こちらのマシンはスペインから取り寄せたんですよ」とスタッフから衝撃発言が。
なに? てっきりドイツの商品かと思っていたら違ったのか?
「おつまみガチャ」よ、君はいったいどこからやって来たのだ?
画像検索でたどっていくと
そこで調査を開始することにした。
とはいえ「おつまみガチャ」の正式な商品名も社名もわからない。こういうときは画像検索だ。
ピーナツ缶、自動販売機、などと思い浮かんだドイツ語を並べ、画像検索にかけてみる。すると、出てきた出てきた、おつまみガチャの写真が。
(画像検索の結果)
該当する写真が掲載されているページを順番に見ていくと、この商品のドイツでの販売代理店が見つかった。どうやらこの商品はSally自動販売機という名称で、SALYSOLというスペインのメーカーの製品らしい。
今度はSALYSOLのホームページへ飛ぶ。するとそこには……
(SALYSOLのHPより)
これだ! おつまみガチャ! 君はスペインからやって来たのか!
ベルリンの酒場でしか見たことがなかったから、てっきりドイツ製かと思っていた。申し訳なかった。よく考えてみればナッツなのだ、ドイツ製というよりナッツ原産国のどこかではないかと推測するほうが自然かもしれない。
ちなみに今回の調査で過去に購入したナッツ缶を見たところ、われわれは常にハニーピーナツを買っていることが判明した。この商品にはほかにもチリピーナツや、わさび風味などもあるのだ。同じところにとどまっているのはよくない。おつまみガチャでも新たな挑戦をしようと心に誓ったのであった。
……と、ここまで書いてこの商品が日本でも通販で簡単に手に入ることがわかった。「サリソル」で検索すればたくさん出てくるではないか。つまりだ、ベルリン酒場のおつまみを日本でも簡単に味わえるということだ(?)