有象&無象 【500字小説】
特殊な人ってのは何かが突出してる人なんだよ。
例えば、エンジニア。
彼らは多言語の羅列を理解して、未知を作り出せるよね?
この国には150万人くらいしかいないんだってさ。
多く聞こえるけど、職業従事者の数って考えれば限られたもんだよ。
あと、テニスプレーヤーなんかもそう。
小さくはあるものの、何百km/hもの球をいとも簡単に打ち返すじゃない?
プロとして生計を立てられるのは、世界で数百人程度なんだとか。
そういえば、最近のアイドルはみんな、歌もダンスもできるんだもんなぁ。知ってた?
おまけに顔も良いなんて。
何十人もいるグループの全員がだぞ?
今じゃ、女の子の半分は「アイドルになりたい」と思ったことがあるんじゃないかな。
っていうか、そこら辺にいる人だって何かが突出してるんだ。
例えば、あのじーちゃんたち。
毎日この公園に来てパークゴルフやってんだぜ。
俺にはそんなバイタリティはねーよ。
おまえだってそうだよ。そう。おまえ。
その忍耐力とか精神力、どこから湧いて出てくんだよ。
どんだけ働くんだっつーの。
え?おれ?
おれは何も持ってねーよ。
多言語を読み解く力も、回転する球を打ち返す腕力も、歌って踊れる魅力も、80年ものの活力も、滝壺の石のような精神力も忍耐力も。
五角形のプロフィールがあったら、凹んでんじゃないの?笑
そんな人間、世界で俺一人だけだよ。な?
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