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ドーナツと野村萬斎

これは2016年の私に本当に起こった(私だけが)怖い話だ。何故2016年と言い切れるかというと、あまりの恐怖に、一人で抱えているのが嫌でfacebookに書いたからだ。記録に残っていた。便利な世の中である。タイトルにしておいてなんだが、野村萬斎様ご本人は一切関わりない。なんなら出てこない。野村萬斎で検索してたどり着いた方には本当に申し訳ない。

それは、仕事帰り20時くらいだっただろうか。いつも立ち寄る自宅近くのセブンイレブンに行ったのだ。当時はレジ前でドーナツを販売することが流行っていた頃だった。私はレジと反対側のお弁当コーナーを見ていた。そして、ついでにドーナツも買おうとふとレジの方に目をやった。

ドーナツは専用のケースにキレイに並べられていた。そしてケースの上に取り付けられたPOPを見て驚いた。そこには大きく、「野村萬斎」と書かれていた。

なぜ、萬斎様のお名前がドーナツケースの上に飾られているのだろうか…。コラボか何かで味の監修をしたのだろうか。私は不思議に思いレジに近づいた。

棚の半分まで近づいた時に私は愕然とした。

野村萬斎なんて書いてなかった。

そこに書かれていたのは「素材と製法」だった。
(と、の部分だけちょっと小さくなっていた)

全然違う。違うというか、何一つあっていない。どうして野村萬斎と思ったのか当時の自分に聞きたい。当時の自分も自分に聞きたかったと思う。いや、恐らく聞いていた。なんで野村萬斎だと思ったのかと。萬斎様のことなんてそんなに日頃から考えていないのに。どうしてなの。のぼうの城は面白かったけれど。

仕事でストレスを抱えていた私は、本当に疲れているんだと思った。
自分のことが信じられなくなった。

愕然とした心のまま、お弁当とドーナツを買い帰宅した。

帰宅してすぐにこの出来事をfacebookに書いた。次の日見たら、友人がコメントをつけてくれたいた。「素材の材が、村に見えたことだけは解った」。友人は優しく、暮らしは続く。そんな事が起こったが4年後の私も元気だ。変わったことと言えば眼鏡を作ったことくらいだ。

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Berico/ベリコ
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