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嫌いじゃないんだよ、スポーツ。

 子供の頃からスポーツが嫌いだった。スポーツから貰ったものなんて何も無い。

 毎年くる野球のシーズンや、オリンピックやW杯などの大きな大会の生中継で好きなテレビ番組がなくなるのもつまらなくて嫌。

 見るのもするのも好きじゃない。

 小学生の頃、毎年冬に体育の授業で持久走があった。運動神経が悪い部類だったし、太り気味でもあった私は、いつも最下位。持久走は大嫌い。クラスメイトがどんどん先を走っていく。最後尾を呼吸を乱しながらノロノロと走る私の後ろを、先生が見守りながら同じペースで少し後ろを走ってくれるのも、なんだか惨めだし申し訳ないし、いたたまれなかった。高学年になった頃には、持久走の時期は体調不良と偽って、体育の授業を休んでいた。

 でも、スポーツが全部嫌いだった訳じゃないと、大人になって気付いてしまった。私が嫌いなのは、運動神経が鈍い自分と、集団に馴染めないことと、必死にまっすぐ練習できない自分だった。

 体育でやったポートボールやドッジボールは楽しくて好きだった。家で姉と遊んでいたバドミントンも好きだった。でも、部活とかは運動部に入りたいとは思わなかった。

 マンガならどんなに熱血でも楽しく読めるし、感情移入もめちゃくちゃする。でも、実際のスポーツではどうしてもできない。スラムダンクもハイキュー!!もROOKIESも大きく振りかぶっても夢中になって読んだ。でもBリーグもVリーグもプロ野球も見ない。唯一、中学生の時に何の大会だったかは覚えていないが、テレビで中継をしていたバレーだけは楽しくて母と放送がある度に見ていた。女子の日本代表だった熊前選手がかっこよくって好きだと思っていた覚えがある。その大会しか見ていないのに、名前を覚えているくらい好きだと思ったのかと、これを書きながら自分でもビックリしている。20年くらい前なのに不思議だ。

 私はどこかで憧れているのだ。チームでおこなうスポーツに真剣に取り組める人たちに。小中高と部活でも運動部を避けていた理由は、人付き合いの面倒さ故だ。もちろん、単純に練習に打ち込む自信がなかったのもある。でも、1番は人間関係を上手にできる気が一切しなかったのだ。大人になるにつれて先輩後輩などの上下関係から全力で逃げてきた学生時代を呪った。運動部に入っていたらもう少しまともにコミュニケーションを取れる大人になれていたのではないか。そんな気がして仕方がない。仕上司ともうまくできない。その方法がさっぱり解らない。きっとスポーツをしてこなかったからだ。

 運動不足で何かスポーツを始めたいと思っても、始め方が解らない。社会人サークルを調べてみてもノリが分からなくて入るのが怖い。スポーツマンガを読めば、真剣に自分とチームを高めていく主人公たちが羨ましくなる。真剣に取り組む姿勢と真っ直ぐさに憧れる。それは私にはないから。自分になくてできないから遠ざけてきたんだと情けなくなってくる。

 自分で思っているよりも嫌いじゃないじゃないか、スポーツ。

 私はこのまま憧れているだけなんだろうか。遠巻きに見てるだけじゃなくて何か始めたい。楽しいと思って、スポーツを観られるようになりたい。

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Berico/ベリコ
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