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QBハウスで刈り上げて B

中途半端に伸びた刈り上げをカリッとさせる為、
人生2度目のQBハウスへ。
前回とは違うお店に入った。

店に入り券売機でチケットを買い順番を待つ。

前回と違うお店に入ったが、お店の作りはどこも同じなのだろうか。
3つのカット席と3人の美容師さん。違うお店だが同じ人数と同じ席数。
席は全て埋まっていて、私の前に高校生くらいの男の子が待っていた。

5分くらいで真ん中の席の方が終わり、
高校生がその席に案内されていく。
これなら直ぐに私の順番が来るなと思い、ぼんやりと店の外を見ていた。

10分も経たず、入り口に一番近い左側の席の男性が
カットを終えて席を立った。
美容師さんたちが「ありがとうございました」と男性を見送り、
担当していた若い美容師さんが、
床に散らばった切り落とされた髪を掃除し始めた。

次は私の番だなと、案内を待っていると
若い美容師さんは空いた席と逆の右端でお客さんの髪を整えている
推定ベテランの美容師の元に近づいて行った。
そして、交代してその席に座るお客さんに
「担当します〇〇です」と自己紹介を始めた。

うん?どうした?

交代したベテランさんは、空いた席に行き、何かを整えてから、私の元に来て席へと案内してくれた。

何故だ。何故代わったのだ。

私の前に並んでた男の子は、前の人が終わってすぐにそのまま案内されていた。なぜ、ベテランさんが担当していた人は見るからにもう終わりかけだった。何も今代わらんでも最後までベテランさんでいいじゃないの。

勝手に推測するが、私はまがいなりにも女性である。そして、髪の長さはミディアムくらい。この日は丁度、花柄のワンピースを着ていた。可愛い感じにしていた。QBハウスの利用者はほとんどが男性であろう。つまりは気を使われたのではないだろうか。

ちょっとしたニュアンスなどを、短時間で希望通りの仕上がりにするには若いスタッフでは恐らく経験不足なのだ。入店してからそんな合図や何かしらのやり取りはスタッフさんの間ではなされていなかった。それなのに、自然にさっと交代がされた。最初から一見の女性が入店したときの事は決まっているのだろうか。慣れていないスタッフのターンの場合は然り気無く交代するという暗黙の了解があるのだろうか。不思議だ。

我々の知らないところで、いろんな仕事の中にルールがあるのだと働く人々に思いを馳せる。スムーズなオペレーションって、小さなルールの繰り返しよね。

ベテランさんが私に尋ねる。

「どんな感じにしましょう?」

「(長い部分を持ち上げて)この辺まで2ミリで刈り上げてください」

「え?2ミリで?」

「2ミリで」

「ツーブロックみたいなことですか」

「あ、そうですそうです」

「(もみあげあたりを指して)横の方はどうしましょうか」

「あ、刈ってください」

折角ベテランさんを担当にしていただいたのに申し訳ない。
私の希望は刈るだけだ。刈り上げるだけだ。2ミリにしてくれ。
さっきまでベテランに刈られていた男性にも謝りたい。
最後まで担当して貰いたかったであろう。申し訳ない。

ブイーンという小気味好いバリカンの音とともに
私の伸びっぱなしだった髪が刈られていく。

扱うバリカンをいくつか変えながらキレイに整えてくれるベテランさん。
15分もしないうちに私の髪の一部はキレイに刈り上がった。

さっぱりだぜ。

ベテランさんにありがとうと伝え、席を立つ私。

短時間でカットを終えたお陰で、予定していた電車にも乗れた。
その日は奈良で楽しいライブを見て家路に着いた。
やたらと寒い日だったので、刈り上げた首元が寒かった。

家に帰りコートのポケットを探ると
QBハウスを出るときに貰ったビニールに入ったおしぼりが出て来た。

このおしぼりは、いつ使うのが正解だったのだろう。

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Berico/ベリコ
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