人に声をかけられる⑤

心斎橋のクリスタ長堀という地下街。
ふらりとしていたら大学生くらいの女の子に声をかけられた。

同性だったこともあり
なんとなく足を止めてしまった。
彼女は立ち止まった私の顔を見てこう言った。

「バイブルってご存じですか？」

え、知ってるけど。
え、バカにしてる？

でも、どっちの意味？
普通に聖書のこと？
いや自分の心のバイブル的な
大事な教え的な意味？
ってゆうか、バイブルってそういう意味よね？

目の前の彼女に「はぁ」と気の抜けた返事をしたら
次々と言葉を浴びせられた。

「聖書ってすごいんですよ」
「ノーベル賞を取ってる人の大半が聖書を読んでるんです」
「その中の教えを守って育てられたり、自分で考えたりしてるからノーベル賞をとれるような素晴らしい人物になるんです！」

熱く語る彼女に私は再び「はぁ」と応えた。

盛り上がる彼女は続ける。

「私、世代や仕事など関係なく、色んな人とカフェとかに集まって聖書を読みとく活動をしてるんです！一緒にやりませんか！？」

「いや、やらないです。」

彼女は愕然とした顔をして
せめて連絡先だけでも、と言ってきた。

いや、本当にいらないです。

なんかすごい活動をしてるのかもしれないけど、
本当に申し訳ないけど、
心から結構ですって思いました。

断る強い気持ちって、大事だな。
まぁ、ある程度ガッツリ聞いてしまってる訳ですが。