コミュニケーション能力じゃなくていい。人を説得できる力が欲しい。

小さい頃から人と喋るのがそんなに得意ではない。大人になってもそれは変わらなかった。職場では大体上司と仲が悪くなり辞める。致命的におべっかが使えないのだ。それでも大人になってからの方が人付き合いは楽な気がする。極力仕事では必要のない集まりとかは参加しなければいいし、職業的にも営業の方が行う接待やお客様との関わりというものは少ない。

上司じゃなくても、クラスメイトとかでも喧嘩まではないが、上手いことグループとかに入れるタイプではなかった。ありがたい事に仲の良い友達はいるが、なんとなくその子たち以外のことは覚えていないレベルの仲だ。嫌いとかではなかったし、今考えればスゴク良い人もいたが、私はうまくできなかった。

子供の頃からそんな感じだったので、就職を考えたときに営業職やサービス業は無理だと思った。結果、転々と職を変えているが基本的にデザイナーとして働いてチラシを作ったりWEBの更新をしたりしている。

就職する時に考えていたのは、デザイナーというのは与えられた内容をまとめて魅力的に見えるようにする人だ。だから、人とそんなに話さなくても大丈夫だと思っていた。しかし、実際に働き始めてデザイナーはめちゃくちゃ喋らなくてはいけない、コミュニケーションを取らなければならないということに気付いた。

与えられた課題に対して、提案とか質問とかは発生することは理解していた。役職が上がれば後輩とかができて教える立場になることも知っていた。でも、想像していた以上に喋らなければいけない。人によるとは思うが、私の上司だった人のほとんどはきちんと説明をしない。疑問や提案をしてもあまり明確に導いてもらえない。自分で内容をまとめて整理して質問事項をあげて、こうしたほうがいいのではないか、ああした方がいいのではないかと案を出してお伺いを立てて完全に出来上がった状況になってやっと意見を出して貰える。何の為の上司だふざけんなよ。

まぁ、私の場合は極端かもしれないが（どの会社もブラックではなかったことだけが救いだ）、作ったものを見てもらえば理解を得られるのだと思っていたのは全て幻想だった。

私の作ったものがパッと見てすぐ理解を得られるレベルに達していないということも解っている。その点においては力不足でごめんなちゃい。打ち合わせ・プレゼンなど喋らなければならない機会は数多くある。その都度、向いてないなぁ〜と思う。そんな理由から私は転職するたびに、極力インハウスと言われるような自社の宣伝に関わる仕事を選んできた。外部のお客さん相手だと本当に要らんことまで言ってしまって営業さんの邪魔になるのが目に見えているから。自社の人だったら何言ってもいいとは思っちゃいないけど、まだ気が楽だ。

今からデザイナー職を目指している若者(若者以外にも最近はWEBデザイナーを目指そう！みたいな広告もよくみかけるけど)にお伝えしたい。制作の仕事をするだけと思っていてもすごい喋らなきゃいけないぞ！まぁ、会社や立場によると思うけど、でも想像よりも喋らなきゃいけないぞ、気を付けろ！喋るってお互いのコミュニケーション能力で成り立つものだと思っていた。お互いに譲って何を言いたいのかを察し合って擦り合わせていくものだと思っていた。そんな事ばっかりではないのだ、役職が上がってって下の人たちに気を使われてばかりのおじさん達は、自分が正解だと思って訳分からんことを言ってくるから質が悪い。私もどっちかと言えば自分が正しいと思ってるタイプだけど、そうじゃないことも知っているから難しい。相手の要望と問題点をきちんとまとめて、案を練り説得する話ができないと無視される。これは、コミュニケーション能力が低いからこそ磨かなければならない力だと思う。コミュ力ある人は、普段のやり取りで気に入って貰えて話を聞いてやろうという姿勢を取って貰いやすい。それができない人間は、きちんと理路整然と喋れないと意見することなど許されないのだ。

週明けにまた意味の解らない打ち合わせに呼ばれている。めんどくさい。おじさん達のゴールのない癖に目標だけを立てたがる打ち合わせ。打ち合わせしたよなっていう満足感を得る為だけのやつ、不毛だ。あー、嫌だ嫌だ。おじさんの機嫌を損ねずうまく自分の意見を伝えられるコミュニケーション人間になりたい。でも、その結果意味の解らんおじさんからの接触が増えるのは全力で避けたいから難しい。生きていくのは難しい。