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PCオーディオに挑戦⑪:エヴァ

☆プロローグ

仕事から帰ってくると、リッピングマシーンの入った箱と、板のような包みが玄関にあり、嫁が酒井さんから何か届いたよ、と。

リッピングマシーンが不良でドライブの交換修理を終えたものを送ってもらう際に、一緒にEVAのデモ機を送ってもらえることになっていたのであった。

MISTRAL EVA for canarinoFils9

EVAの試聴の準備は万端。前回の『PCオーディオに挑戦⑩』で、多少強引なところはあるがコトヴェールとiPower2のコンビを、リニア電源によって乗り越える一連の試みにおいて、電磁波吸収材を試した。それはEVAの効用を客観的に評価するため。前回の記事の最後でアースを電源タップのC2P2に接続した。ノーマルモードフィルタとコモンモードフィルタを持つコトヴェールを、ノーマルモードのみのC2P2の前段に戻してダブル・フィルタとし、リニア電源は壁コン直結にした。アースはC2P2の端子についているので、canarino DC power supply12Vの2台に効くようになっている。前回の記事では、専用アースで何も感じないとしたが、低音の質感が上がっている。ペダルを踏んだピアノの低音は、ビリビリするロマンティシズムだ。

ブラームスの「クラリネットソナタ」と言えば、ウラッハとデムスの古い録音を思い出すだろう。飄々としたウラッハのクラを吹き消さんばかりのデムスのあの情熱を、しかし、ここでの斉藤一也が超えることはない。他所で発散してるからだよ。ピアノで、全部、頑張れ。


EVAをPCの下に敷き、前回から適当に置いたパルシャットやMWAシートはそのまま。しかし、PCの下に入れていたパルシャットはDACの真下に置いた。新しい電磁波対策としてEVAを購入する必要があるならば、既存のものに加えて試聴した方がいいだろう。

オーディオボードとPCの間に銀の縁が見える。電磁波を吸収して熱変換する媒体を薄いアルミ板を2枚貼り合わせた格好のEVAの厚みは1cmを切るので、ボードに載せる機材の重心は上がらない。

☆試聴した

私のシステムで試聴する限り、EVAによる電磁波吸収とは定位を抜本的に直すことのようである。マイクとそれに向かって飛び込んでいく音の関係を露わにする、真の定位、絶対の定位、純粋-定位が織りなす音楽空間が現出する。「PCオーディオに挑戦⑥」の最後で批判的に書いたことであるが、システム上流による最下流、すなわちルームの諸条件の克服というやつなのだろうか。EVAは非常に強力で、スペースも費用もミニマルである、と言えるのではないか。

前回まではカルテットではなく、トリオだった、、、

サックス・カルテットが、4人編成になった。端のサックスから、別のサックスを拾うよう調整されたマイクに向かう、飛来する音の軌跡まで見えるようだ。

サイの歌声が電波障害のノイズのように聞こえて嫌だったが、、、

サイの顔が鍵盤の上の位置に移動した。EVAを足さないと、ノイズのような声が左chのバッフルの位置。EVAをかますとサイが音楽空間に入る。ピアニストが歌っている感じになるのだ。サイの位置がピアノの音が作り上げる音像の外部にはもはやなく、不可解な雑音から、鼻歌になり、音楽作品の一部になっている。あともう少しで、ピアニストが歌いながらピアノを弾く音像が完成するだろう。