
PCオーディオに挑戦㉒:TDKラムダ・III
☆プロローグ
前回の『PCオーディオに挑戦㉑』でTDKラムダのコモンモード&ノーマルモードチョーク、及び、対パルスノイズフィルター、RSMN-2010を一台、同2016を2台導入したというレポートを書いた。その際、タカチ電気のアルミダイキャストケースを使って、ノイズフィルター用の台座を自作した。前回はRSMN-2010は、半ばまで完成した「ジオング台座コッパースペシャル」に設置した。RSMN-2016はアルミダイキャストの上に置いただけだった。ジオング台座は中身にアースマテリアルを封入しておらず、RSMN-2010の2箇所のシャーシ固定用ネジを、ケース内部でメカニカルアースするところまでであったが、素晴らしい再生音となった。
今回の調整はRSMN-2016の2台に対するもの。エルサウンドのリニア電源の前段にあるRSMN-2010と台座には手を加えていない。
①基本的には同じ工程で2台のRSMN-2016用のジオング台座を、半ばまで、製作して設置した。②RSMN-2016の出力側の端子に直付けしていたのを、圧着端子をつけて結線した。また、ドレイン線を半田付けした。
③RSMN-2016の端子台の両側でケーブルを固定するネジとワッシャーをチタン製のものに換装した。
①〜③のどれが良くてどれがイマイチだったのかは、判然としない。あえていうと①が少ししくじった部分があったが、それを補ってあまりあるのか、そもそもマイナスにはなっていなかったのか、再生音の向上は相当なものだった。
☆ジオング台座コッパースペシャル
エルサウンドのリニア電源用のRSMN-2010に続いて、オリオスペックのCanarino DC power supply 12V用のRSMN-2016にもハーフウェイ・ジオング台座コッパースペシャルを製作した。アースマテリアルなしである。

2台のRSMN-2016は、タカチ電機工業 TD型アルミダイキャストボックス TD12-18-5Bの上に置いただけの状態であったが、そのケースを加工し、メカニカルアースが実現するように設置した。

今回、銅箔を三重にした。RSMN-2016のシャーシはFGになっており、端子台真ん中のアースが接地されている。このシャーシとタカチのケースの間に敷く0.08mm厚の銅箔テープを三重にしたのは、FGの増強、ケース表面のダンピング、何より、銅箔テープという可塑的な材質をかますことで、シャーシと硬質なケースとの一体性を高めたい、という理由である。
それが今回製作した2つの台座は、浮いている。剥離紙をつけたままの0.08mm厚の銅箔テープが入らない程度だが、ケースから浮き上がっている。

上述したように銅箔テープを三重にしたためシャーシのネジ止め箇所が沈み込み、他は沈んでいないからである。対角線上の2点でネジ止めする設計がそもそも間違っているのだが、私もその弱点を増幅してしまった。銅箔テープの厚みを増したことに加えて、チタン製のスプリングワッシャーを追加して、裏からの張力を強化したのである。結果的に、シャーシ2箇所は沈み込み、他が最大0.1mmほど浮いており、シャーシと台座の一体化を損なってしまった。
確かに再生音は、台座なしと比べて、爆上がりなのだが、この不安定さは次にケーブルを換装する時に処置したいと思う。たぶん、浮が目立つ箇所に直接銅箔片を貼れば済む問題であると予想する。うまくいかなければ、台座の三重にした銅箔テープを減らす。それでもダメならば、やりたくないが、ネジ止めを緩める。
☆圧着端子と半田付け
RSMN-2016の端子台の二次側も圧着端子を付けた。端子台を綿棒で拭くと1週間足らずの使用で黒ずんでいた。使用した圧着端子の新品を拭いてみたが黒くならない。つまり、端子台で暴れて摩擦が起こっていたのだろう。暴れはもちろん、黒ずみが増えれば音質は劣化する。SPケーブルにも言えることだろうが、適切な端子を付けてコンタクトの長期的な安定化をはかるべき。

これまでドレイン線も端子台に挟んでいたが、導体に圧着端子を付けたところ、ドレイン線が端子台に届かないことはないが、甘噛みみたいな状態になってしまう。これも暴れと接点の黒ずみを増長させる要因となるので、ニチフの端子に半田付けすることにした。なお圧着端子はぴったりのサイズなのでドレイン線は通せない。
半田こて台がないので、スマホ置きを使って、半田付けに挑戦してみた。まず、要らない部材で練習を重ねること2時間くらい、やっと導体と端子の接着に成功した。(^^) それから2時間くらいまた経って、ドレイン線を端子に半田付けできた、、、と思うが、「初めての半田付け」を信用してもしょうがないので、結局銅箔テープを巻き付けて固定した。(爆)



☆チタンネジ
一頃前、磁気?を使った電源ケーブル、ラインケーブル、SPケーブルが、高級品なのに、いや、高級品だからなのか、ずいぶんと流行った。しかしオーディオでは、一般に、磁気というのは除去すべきものである。消磁はレコードだけの話ではない。光学ディスクでも必要だし、果ては、プレイヤーやアンプを消磁する電源クリーナーまであった。あまり変化が分からなかったが。
例えばFURUTECHの電源プラグは、磁性体は使用していない旨がちゃんと明記されている。磁性は、信頼できるメーカーが良いとしているものを除いて、基本的に遠ざけた方が良いのは間違いない。


それで、ネジとスプリングワッシャーを、チタン製で生地のものに交換した。念のため、ネジも端子台も電子機器クリーナーで洗浄した。



RSMNの端子台で換装したチタンネジとチタンワッシャーは、ドライバーで締めた感触が良い。見た目も、黄銅の生地よりは、格好いいよね。音?チタンだからかどうかは分からないが、最高だ。悪くなりようがない、磁性がなく、ダンピングが強くなるのだから。
☆まとめ
TDKラムダのノイズフィルターを純デジタル領域のACライン1系統につき1つずつRSMNを挿入した。そのRSMNに内部がメカニカルアースとなっている台座を作って設置した。また、RSMN-2016の端子台のネジとワッシャーを2セット分、チタンに交換した。
音痩せは、ゼロ、どころの話ではない。音数はいや増し、音楽は固有の深さで泉のようにおおらかに表出する。
バイオリン協奏曲でソリストではなく、オケの音数が増えたという話を最近書いたばかりだった。しかし、3台のRSMN &ジオング台座では、フォーカルポイントであるソリストやボーカルは、そのグァルネリの美音をいっそう艶やかにし、ボーカルはブレスする唇のかそけきから息のバイブを生み出して、想いを音波に変える。



今後、AC側はアースマテリアルの研究を愉しみながらジオング台座コッパースペシャルを段階的に進めるのと、5.5SQに変えていくとしよう。
次にDCライン。純粋デジタルの領域に差し当たり3本のDCケーブルがある。全てケーブル直だしの改造を検討している。そしてDCケーブルを可能な限り短く、つまり50cm以内に接続としたい。電圧変動に打ち勝ち、揺るがない大電流のカナルにしたい。その際にトロイダルコアやノイズフィルターを活用しながらその是非を、はっきりとした聴感で、識別できるようにしたいと思う。